妊娠初期は貧血になりやすい?何か対策は必要?薬は飲める?

1. 妊娠初期にも貧血になるの?

妊娠中の貧血といえば、妊娠後期に起こるというイメージがあります。

しかし、妊娠初期にも貧血になることがあります。

特に、妊娠前から貧血の症状があった人は、妊娠初期から貧血になることがあるので注意が必要です。

妊娠初期に貧血が起こると、どのような心配があるのでしょうか?

そもそも、妊娠すると貧血になる原因は何なのでしょうか?

対処法も含めてご紹介します。

2. そもそも貧血とは?

貧血とは、赤血球の数や血中ヘモグロビン濃度が、基準値よりも低い状態をいいます。

血液は酸素を運ぶ役割がある

血液の中には、赤血球や白血球があります。

赤血球の中にあるヘモグロビンは、酸素と結合し、全身に酸素を送っています。

赤血球やヘモグロビンが低下すると?

赤血球の数が減少し、ヘモグロビン濃度が低下すると、からだじゅうにじゅうぶんな酸素を送ることができなくなります。

言い換えると「からだが酸欠状態になる」のです。

からだが酸欠状態になるとどうなる?

酸欠状態になったからだは、少しでも酸素の量を増やそうとします。

その結果、呼吸の回数が増えて心拍数も増加します。

動悸や息切れ、めまいなどさまざまな症状があらわれるのです。

女性は貧血になりやすい

女性は貧血になりやすいと言われていますが、以下のような原因が考えられます。

  • 月経による出血
  • ダイエットによる栄養バランスの崩れ
  • 赤血球の産生を促す男性ホルモンが少ない

月経による出血

健康な女性の場合、月経は1か月に1回程度の間隔で起こります。

月経とは、妊娠せずに不要になった子宮内膜が酵素によって分解され、血液と一緒に体外に排出されることです。

子宮内膜だけがはがれ落ちるだけでなく、血液も一緒に排出されるため、貧血になりやすいのです。

1回の月経による出血量は、約20~140mlほどです。

ダイエットによる栄養バランスの崩れ

過度なダイエットが原因で、栄養がかたよってしまうことがあります。

特に鉄分を摂取しないと、鉄分不足による貧血になりやすくなります。

また、葉酸やビタミンB12が不足することで起こる、悪性貧血になることもあります。

赤血球の産生を促す男性ホルモンが少ない

男性ホルモンのひとつ「エリスロポエチン」は、赤血球の産生を促すはたらきがあります。

女性は男性ホルモンが少ないため、赤血球が少なくなりやすくなり、貧血になりやすいのです。

3. 貧血の種類は?

貧血とひとことで言っても、さまざまな種類があります。

鉄欠乏性貧血

鉄欠乏性貧血とは、ヘモグロビンの材料となる鉄分が不足することで起こります。

貧血の中では、もっとも多いタイプです。

脳が酸欠状態に

赤血球の中にあるヘモグロビンが減少することで、からだに酸素を運ぶことが難しくなります。

特に、脳に酸素が送られにくくなり、脳が酸欠状態になることがあります。

鉄欠乏性貧血のメカニズム

鉄欠乏性貧血のメカニズムは、大きく3つに分けられます。

鉄分の摂取不足

鉄分の摂取が不足することで、ヘモグロビンがじゅうぶんに作られなくなります。

鉄の必要量が増える

成長期、妊娠・出産時、授乳期などは、普段よりも多くの鉄分が必要になります。

多くの鉄分を摂取していても、鉄分不足になりやすいのです。

鉄の損失量が増える

生理や病気、大量の出血などで、たくさんの鉄が失われたために、鉄分不足になる状態です。

鉄欠乏性貧血の症状は?

鉄欠乏性貧血の症状は、以下の通りです。

  • 動悸や息切れ
  • 疲労感
  • 顔面蒼白
  • 頭痛、めまい
  • 立ちくらみや目がチカチカする

巨赤芽球性貧血

正常な赤血球が作られるには、ビタミンB12と葉酸が必要不可欠です。

巨赤芽球性貧血とは、ビタミンB12や葉酸の不足で、赤血球が作られなくなることで起こる貧血です。

赤血球だけでなく、白血球や血小板といった血液そのものが作られにくくなります。

別名「悪性貧血」とも呼ばれる貧血です。

巨赤芽球性貧血の症状は?

鉄欠乏性貧血の症状にくわえ、以下のような症状があらわれます。

  • 舌の表面がツルツルになる
  • 舌の炎症
  • 味覚の低下

また、ビタミンB12が不足することで、以下のような症状があらわれることもあります。

  • 知覚障害
  • 歩行障害
  • 興奮しやすくなる

再生不良性貧血

再生不良性貧血とは、血液が作られている骨髄にある「造血幹細胞」に異常があることで起こる貧血です。

赤血球や白血球、血小板が減ってしまう病気で、100万人のうち6人ほどにみられます。

溶血性貧血

赤血球の寿命は、通常120前後と言われています。

それが15~20日前後ととても短くなってしまうことを「溶血性貧血」と言います。

原因は、先天性のものと後天性のものに分かれます。

4. 妊娠初期の貧血の症状は?

妊娠初期の貧血の症状は、通常の貧血の症状とよく似ています。

  • めまい
  • 動悸・息切れ
  • 疲れやすい
  • 頭痛
  • 朝起きられない、やる気が出ない
  • 脳貧血の症状(立ちくらみ、目がチカチカする、目の前が真っ暗になる)

妊娠初期の貧血は、先ほど述べた「鉄欠乏性貧血」「巨赤血球性貧血」の2種類の貧血になる場合がほとんどです。

軽度の貧血は症状がでないことも

軽度の鉄欠乏性貧血では、大きな症状がでないことがほとんどです。

このため、妊婦健診の血液検査で気づくことがほとんどでしょう。

重度の貧血になると?

重度の貧血になると、脳に酸素がじゅうぶんにいきわたらず、脳が酸欠状態になります。

このため、立ちくらみや激しい頭痛、目がチカチカするなどの症状があらわれます。

5. 妊娠初期の貧血の原因は?

妊娠初期に貧血になる原因は何があるのでしょうか?

水分量の変化

妊娠すると、赤ちゃんを育てるために母体の水分量が増加します。

非妊娠時と比べると、約1.5倍に増えると言われています。

しかし、赤血球の数は妊娠前と変わりません。

分かりやすく言うと、血液が薄くなってしまうことで貧血になるのです。

胎児や胎盤に栄養を送るため

お腹の赤ちゃんは、母体の血液から栄養をもらって育ちます。

本来は母体に供給される鉄分が、優先的に赤ちゃんや胎盤へと届けられるため、母体のの鉄分が不足して貧血になるのです。

つわりの影響

つわりがひどい場合、食べ物を受けつけられなくなります。

母体の鉄分が不足しがちに

胎児は母体の鉄分をもらって成長するため、赤ちゃんには大きな問題はありません。

つわりの影響で鉄分の摂取ができなくなると、母体の鉄分がどんどん失われていきます。

まれに巨赤芽球性貧血になることも

つわりの影響により、まれに巨赤芽球性貧血になることがあります。

先ほども述べたように、ビタミンB12や葉酸が極端に不足することで起こる貧血です。

6. 妊娠初期の貧血の治療法は?薬は使える?

妊娠初期に貧血になった場合、治療法はどんなものがあるのでしょうか?

妊娠初期の貧血は、赤ちゃんに影響がある?

軽度の貧血であれば、胎児に影響を及ぼすことはまずありません。

しかし、重度の貧血の状態が続くと、お腹の中でじゅうぶんに育つことができない「胎児発育不全」になる可能性があります。

妊娠初期は、胎児の重要な器官ができあがる時期なので、早めの治療を心がけましょう。

貧血の治療は?

食事療法

軽度の貧血の場合、医師や助産師、栄養士から食事療法の指導がおこなわれます。

鉄分が豊富なレバー、牡蠣、あさりなどの栄養素を多くとるようにしましょう。

つわりで食べられない場合は、助産師や栄養士に指示をあおぎましょう。

妊娠週数が進むにつれて、貧血になりやすくなるので、妊娠初期からしっかりと鉄分を摂取することが大切です。

飲み薬

比較的重い貧血の場合は、飲み薬が処方されることがあります。

飲み薬は効果が高く、貧血の症状も比較的早く改善されます。

ただし、以下のような副作用があらわれることがあります。

  • 便秘
  • 下痢
  • 便が黒くなる
  • 吐き気

特に妊娠初期はつわりの影響があるため、副作用が強くでてしまう傾向があります。

貧血になるということは、体内に貯蔵されている「貯蔵鉄」が不足している状態です。

貯蔵鉄がじゅうぶんな量になるまでに、2~3か月かかる場合もあります。

貧血の症状が改善されるまでは、薬による治療を続ける必要があります。

注射

貧血の症状が重い場合や、飲み薬による副作用が強くでてしまう場合は、注射による治療法が選択されます。

注射による治療は、比較的効果が高いわりに、副作用もあまりありません。

しかし、毎日通院する必要があります。

飲み薬や食事療法と並行しておこなわれることが多い治療法です。

点滴

貧血の症状が重い場合は、点滴による治療が選択されることがあります。

点滴も、効果が高くて副作用もあまりありません。

治療にかかる時間が長くなるため、あまりおこなわれていない治療法でもあります。

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