妊娠中に起こる出血・不正出血とは?おもな原因と対処法

1. 不正出血とは?

生理・分娩時以外に女性器から出血が起こることを、不正出血と呼びます。

妊娠中の体はデリケートなので、さまざまな原因で不正出血が起こることがあります。

2. 比較的危険度の低い出血

着床出血

受精卵が子宮内膜に着床したとき、子宮内膜の表面が少し傷つくことがあります。

そのため軽い出血が起こることがあり、この出血が体外に出ると着床出血と呼ばれます。

生理予定日の1週間~数日前くらいにごく少量の出血があれば、着床出血かもしれません。

着床出血は誰にでも起こる現象ではありませんが、病気ではないので心配いりません。

内診・エコー検査などによる出血

内診・エコー検査・セックスなどによる刺激で、少量の出血が起こることがあります。

刺激を受けた直後~数日後に出血し、ごくまれに下腹部痛が起こることもあります。

出血は1日~数日で自然に止まり、胎児への影響はほとんどありません。

出血が起こりやすくなるケース

子宮膣部びらん

子宮膣部びらん(子宮膣部のただれ)があると、出血しやすくなります。

びらんそのものは胎児に影響しませんが、雑菌への抵抗力が落ちることがあります。

そのため、症状によっては膣洗浄や抗生物質(膣剤)で治療することがあります。

子宮頸管ポリープ

細菌感染やホルモンバランスの乱れなどが原因で、子宮頸管に良性のポリープができることがあります。

ポリープが小さければ自然に消えることもありますが、大きさや位置によっては妊娠に影響することがあります。

妊娠中は慎重に経過を観察し、必要があれば切除手術を行います。

3. 妊娠初期に注意すべき出血

絨毛膜下血腫

着床後の子宮内膜の出血が多いと、血腫(血のかたまり)ができることがあります。

血腫の大きさや場所によっては、褐色の出血が起こることがあります。

症状が重いと出血量が多くなり、下腹部の痛みや張りが起こることもあります。

絨毛膜下血腫になったら、流産のリスクが上がる?

必ず流産になるとは限りませんが、症状が重いと流産・切迫流産のリスクが上がります。

エコー検査で大きい血腫が見つかったら、できるだけ安静に過ごしましょう。

流産・切迫流産

流産は、妊娠22週未満の時点で妊娠を継続できなくなることを指します。

妊娠初期の流産の原因としてもっとも多いのは、受精卵の染色体異常です。

胎児の心拍が止まると、長期間子宮内にとどまることができなくなります。

そのためどこかのタイミングで子宮口が開き、流産が起こります。

流産の種類

稽留流産

胎児の心拍が止まり、そのまま子宮内にとどまっている状態です。

自覚症状はほとんどなく、検診で指摘されて気付くことも多いです。

多くの場合、早い段階で流産手術を行います。

進行流産

子宮口が開き、流産が進行しつつある状態です。

強い下腹部痛とともに、レバー状のかたまりが混ざった鮮血が出ます。

数分以内に、完全流産・不全流産のいずれかに移行します。

完全流産

進行流産の後、胎嚢や子宮内の組織がほぼ全てが排出された状態です。

完全流産後は出血・痛みがしだいに消え、基本的に手術は必要ありません。

不全流産

進行流産の後、胎嚢や子宮内の組織の一部が排出された状態です。

完全流産と異なり、出血や痛みがだらだらと続くことが多いです。

流産手術を行い、残った組織をきれいに取り除く必要があります。

切迫流産

胎児の心拍は確認できるものの、流産になりかけている状態です。

切迫流産の場合、下腹部の痛み・張りや出血などの症状が起こります。

安静を保って適切に処置すれば、そのまま妊娠を継続できる場合も多いです。

異常妊娠

異常妊娠の場合、一部の例外を除いて妊娠の継続は難しくなります。

発見が遅れると卵管破裂やガンなどのリスクが上がるので、早めの対処が重要です。

子宮外妊娠

子宮外妊娠は、受精卵が子宮内膜以外の場所(卵管など)に着床して起こります。

着床した部分の組織が傷つき、少量の出血が起こることがあります。

出血以外に以下のような症状があると、子宮外妊娠の疑いが強くなります。

  • 妊娠検査薬で陽性反応が出る
  • エコー検査で、胎嚢がなかなか確認できない
  • つわりが起こる
  • 強い下腹部痛がある

胞状奇胎

染色体異常などが原因で、胎盤のもとになる絨毛組織が異常増殖を起こします。

着床後、受精卵の成長とともに以下のような症状が現れます。

  • 出血・茶色のおりもの
  • つわりがひどく、切迫流産の症状がある
  • 妊娠高血圧症候群のような症状(むくみ・タンパク尿・高血圧など)がある
  • お腹が大きくなるスピードが早い

4. 妊娠中期~後期に注意すべき出血

早産・切迫早産

妊娠22週以上37週未満で出産することを、早産と呼びます。

必ず死産になるわけではありませんが、週数が早いほど低体重・先天的障害などのリスクが上がります。

以下のような早産の兆候・症状がみられたら、すぐ医師に相談しましょう。

  • 下腹部の痛み
  • 等間隔で起こる下腹部の張り
  • 背中の痛み
  • 出血
  • 破水

切迫早産の場合

早産になりかかっている状態は、切迫早産と呼ばれます。

胎児を少しでも長く子宮内に留めるため、早い段階で安静を保ち適切な処置を行います。

早産・切迫早産のおもな原因

早産・切迫早産は、さまざまな原因によって起こります。

中には自覚症状がないものもあり、検診に行ったら「すぐ入院」と言われて驚くこともあります。

妊婦検診は必ず受け、気になることがあればすぐ医師に相談しましょう。

  • 妊娠高血圧症候群
  • 子宮頸管無力症
  • 子宮奇形
  • 子宮筋腫
  • 前置胎盤
  • 常位胎盤早期剥離
  • 糖尿病、妊娠糖尿病
  • 感染症(絨毛膜羊膜炎など)
  • 多胎妊娠
  • 喫煙
  • 疲労・ストレス

5. 正産期の出血

妊娠37週~42週未満の期間を、正産期と呼びます。

胎児の身体機能が十分発育しており、いつ分娩が起こってもおかしくない時期です。

おしるし

分娩の準備が整うと、子宮口が開いて子宮収縮が始まります。

このとき子宮口を塞いでいた粘液のかたまり(粘液栓)が剥がれ、おりものと一緒に体外に出るのがおしるしです。

おしるしは分娩の兆候のひとつであり、不正出血と区別されることも多いです。

おしるしってどんな出血?

お腹の痛み・張りはなく、粘り気の強い褐色~ピンクのおりものやゼリー状のかたまりが出ることが多いです。

人によっては半透明のおりものが出たり、ごく少量の鮮血が混じったりすることもあります。

おしるしが出てから数日~1週間以内に、陣痛が来ることが多いです。

内診出血とまぎらわしい!?

内診後に粘り気の少ない少量の出血があった場合は、おしるしでなく内診出血の可能性が高いです。

内診出血はしばらくすると自然に止まるので、それほど心配いりません。

常位胎盤早期剥離

通常、分娩が終わった後に胎盤が子宮内壁から剥がれます。

しかし、何らかの原因で分娩前に胎盤が剥がれるのが常位胎盤早期剥離です。

胎盤が剥がれると胎児に酸素・栄養を送れなくなり、早産・死産や重い障害につながるおそれがあります。

常位胎盤早期剥離のおもな症状と処置

剥離する面積によって若干変わりますが、おもな自覚症状は以下のとおりです。

  • 突然強い下腹部痛が起こる
  • お腹の張りが強く、カチカチになる
  • 出血が続く
  • 胎動が弱くなる、もしくは無くなる

常位胎盤早期剥離では、軽症の場合を除いて緊急帝王切開となることが多いです。

重症の場合出血多量で母体も危険に晒されるおそれがあり、子宮摘出が必要になることもあります。

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