妊娠初期に出血したけど赤ちゃんは大丈夫?気になる原因と対処法

1. 妊娠初期の出血は意外と多い

妊娠初期は、妊娠4週~15週頃のことをさします。

この時期はまだ胎盤ができあがっておらず、とても不安定な状態です。

このため、ちょっとした原因で出血することがあります。

全妊婦さんのうち、約4割が「妊娠初期に出血したことがある」というデータもあります。

妊娠初期の出血は意外と多く心配のない出血もありますが、中には医師の治療が必要な出血もあります。

そこで今回は、妊娠初期の出血の原因と対処法についてまとめました。

2. 妊娠初期ってどんな時期?

妊娠初期は、受精卵が子宮内膜に着床し、細胞分裂をくり返して成長していく頃です。

また、母体はつわりなどの症状があらわれ始め、体調の変化に戸惑う人も多いでしょう。

妊娠初期は、それまで分泌されていなかったホルモンが一気に分泌され始めるため、からだにさまざまな症状があらわれやすくなります。

赤ちゃんにとっては、心臓や中枢神経系ができあがる大切な時期になります。

3. 妊娠初期の赤ちゃんの状態は?

妊娠初期(妊娠4~6週頃)の赤ちゃんは、まだ人の形をしておらず「胚」と呼ばれます。

そこから猛スピードで細胞分裂をくり返し、妊娠7~11週頃には「胎芽」と呼ばれるようになります。

妊娠12週以降は、だいぶ人の形が形成され「胎児」と呼ばれるまでに成長します。

妊娠5週頃になると

妊娠5週頃(生理予定日1週間後)になると、超音波で赤ちゃんが入っている袋(胎のう)を確認することができます。

子宮内膜に胎のうが確認できれば、正常に妊娠しているということになります。

胚は猛スピードで成長する

この頃の受精卵は、猛スピードで細胞分裂をくり返して成長します。

妊娠4~8週頃は「絶対過敏期」

妊娠初期、中でも妊娠4~8週頃は「絶対過敏期」と呼ばれます。

この時期は、赤ちゃんの心臓や中枢神経系などがつくられる重要な時期です。

この時期に母体が薬を飲むと、胚の発達に影響がでる可能性があります。

薬の服用はなるべく控えるようにしましょう。

やむを得ず服用する場合は、必ず産婦人科医の指示を受けてからにしましょう。

4. 妊娠初期の母体の状態は?

妊娠初期の母体は、ホルモンバランスが急激に変化する時期です。

このため、さまざまな不調があらわれやすくなります。

妊娠するとホルモンはどのように変化する?

受精卵が子宮内膜に着床すると、さまざまなホルモンが分泌されるようになります。

このため、母体は疲れやすく、つわりなどさまざまな症状があらわれるようになります。

プロゲステロン

妊娠初期の胚の成長を助けます。

また、胎盤をつくるのを助けたり、乳腺の発達を促します。

子宮の収縮を抑え、流産を予防します。

hcg(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)

受精卵が着床したあと、分泌されるホルモンです。

卵巣内にある黄体に作用して、プロゲステロンの分泌を助けます。

ちなみに、妊娠検査薬は尿中のhcgを検知するしくみになっています。

エストロゲン

胎児や胎盤の成長を促します。

また、乳腺を発達させるはたらきもあります。

プロラクチン

母乳の分泌を促すはたらきがあります。

産後すぐに母乳が出せるよう、妊娠初期から徐々に分泌されます。

リラキシン

卵巣内の黄体と胎盤から分泌されます。

出産にそなえて骨盤をゆるめるはたらきがあり、妊娠初期から分泌されます。

子宮の収縮を抑え、流産を予防するはたらきもあります。

妊娠初期の症状は?

妊娠初期は、さまざまな症状があらわれます。

  • 下腹部痛
  • 腰痛
  • 足の付け根が痛い
  • 眠気
  • 吐き気、嘔吐、下痢
  • 便秘
  • 頭痛や胃痛
  • 唾液が多くなる
  • においに敏感になる
  • 胸の張り、乳首が痛い
  • 出血
  • 一日中だるい
  • 気分の浮き沈みが激しい

これらの症状があらわれる理由は、先に述べたホルモンの分泌が関係していると言われています。

つわりはいつからいつまで?

つわりの時期は個人差が大変大きいものです。

妊娠初期で終わったという人もいれば、安定期に入っておさまった人、妊娠中ずっと続いたというケースもあります。

5. 出血しても心配はいらない?

妊娠初期に出血があると、本当に不安になるものです。

妊娠初期の出血の原因は何なのでしょうか?

特に心配のない出血をご紹介します。

絨毛膜下血腫(じゅうもうまくかけっしゅ)

絨毛膜下血腫とは、胎盤ができる過程で起こるものです。

胎盤をつくるには絨毛が大切

受精卵が着床すると妊娠の準備が開始されます。

絨毛と呼ばれる組織を子宮内膜へ伸ばして根を張り、胎盤を作る作業をおこないます。

胎盤が作られる過程で出血することがある

絨毛が子宮内膜へ伸びていく過程で、子宮内膜の血管が壊されて出血することがあります。

一般的には出血量はごく少量で体に吸収されるのですが、量が多くなってしまうと血が固まって血腫という塊になってしまうことがあります。

これを絨毛膜下血腫といいます。

絨毛膜下血腫は超音波検査で発見される?

絨毛膜下血腫の場合、超音波検査で発見されることが多いです。

しかし、とても小さな血腫だと発見できないこともあります。

出血量はどのくらい?

絨毛膜下血腫の出血量は実にさまざまです。

しかし、多くの場合は少量で終わるでしょう。

たまに大量の鮮血がみられることもあります。

腹痛や腰痛を伴うことも

絨毛膜下血腫の場合、腹痛や腰痛を伴うこともあります。

このため、流産の前兆と間違えられる場合も少なくありません。

子宮頸部びらん

子宮頸部びらんとは、子宮頸部がただれていることです。

自覚症状がほとんどない

子宮頸部がただれているとはいっても、病的にただれているということではありません。

赤く見えるので「ただれているように見える」ということです。

自覚症状もほとんどありませんが、約7割の女性が子宮頸部びらんだと言われています。

子宮頸部びらんの原因は?

先ほども述べたように、妊娠するとエストロゲンが分泌されるようになります。

エストロゲンの影響で子宮が刺激されると、子宮膣部が膨らみ、子宮頸管の中にある腺上皮が外側にめくれることがあります。

これがただれているように見えることから「子宮膣部びらん」と呼ばれています。

子宮頸部びらんは、生理現象のひとつなのです。

妊娠中は、子宮頸部が特に敏感になるため、症状が重くなって出血することがあります。

子宮頸部びらんは様子をみる

妊娠中の子宮頸部びらんは、様子をみるケースがほとんどです。

ただし、痛みや出血がある場合は妊娠中でも服用できる抗生物質を処方されることがあります。

子宮頸管ポリープ

子宮頸管ポリープとは、子宮頸部に腫瘍ができることです。

99%が良性ですが、稀に悪性の腫瘍の場合もあります。

子宮頸部びらんと同じく、約6~7割の女性にみられます。

妊娠するとポリープができやすくなることも

妊娠すると、ホルモンの影響などが原因で、子宮頸管ポリープができやすくなる場合もあります。

ポリープから出血しやすくなる

妊娠中は子宮頸管が敏感になっているため、ポリープがある場合は出血しやすくなります。

この場合、下腹部痛や腰痛などはありません。

6. 出血で心配すべき場合とは?

次に、妊娠初期の心配な出血をご紹介しましょう。

切迫流産

切迫流産とは「流産しそうな状態」をさします。

症状だけで切迫流産と診断されることも

一般的に、切迫流産は患者の症状で診断されることが多いです。

出血と下腹部痛や腰痛の症状があれば、切迫流産と診断されることもあります。

心拍が確認されていればほぼ大丈夫

切迫流産と診断されても、心拍が確認されていれば約8~9割の赤ちゃんは助かると言われています。

流産

流産とは、妊娠が継続できずに赤ちゃんが流れてしまうことです。

妊娠12週までの流産は、全妊婦さんの15%が経験していると言われています。

この時期の流産は、ほとんどの場合胎児の染色体異常によるものです。

流産はいくつか種類があります。

完全流産

胎児が完全に流れている状態です。

不全流産

胎児や胎盤の組織が、一部残っている状態です。

稽留流産

出血や下腹部痛などの症状がないにも関わらず、胎児が亡くなっている状態です。

胞状奇胎

妊娠が成立すると、受精卵は胎児へと変化する「胎芽細胞」と、胎盤や卵膜へと変化する「絨毛細胞」にわかれます。

胞状奇胎は、絨毛細胞だけが異常に増殖を起こして水疱状になり、子宮の中を覆いつくしてしまう状態です。

胞状奇胎は、基本的に妊娠継続は不可能

胞状奇胎になると、基本的に妊娠を継続することはできません。

ただし、非常に稀ですが妊娠を継続できる場合もあります。

この場合、複数の医師による検査がおこなわれます。

絨毛性がんの原因になることも

胞状奇胎は、放置しておくと「絨毛性がん」になる可能性があります。

このため、異常増殖を起こした部分のみを除去する治療法と、子宮を摘出する治療法があります。

子宮外妊娠

受精卵は、通常子宮内膜に着床します。

しかし、稀に卵管や卵巣内など、子宮内膜以外の場所に着床することがあります。

これを「子宮外妊娠」と呼びます。

妊娠継続は不可能

子宮内膜以外の場所に着床した受精卵はどんどん大きくなるため、放置しておくと卵管や卵巣が破裂してしまい、母体が危険な状態になります。

このため、着床している部分を切除する治療法が選択されます。

母体が安定していれば次の妊娠をしてもOK

術後は、母体が安定しており医師の許可が下りれば、次の妊娠をしてもOKです。

卵管や卵巣は左右に1つずつあるため、手術により片方を失っても、もう片方の卵管や卵巣が機能していれば妊娠は可能です。

7. 病院を受診する目安は?

妊娠初期に出血したときの対処法をご紹介しましょう。

出血の色で緊急性が変わる?

妊娠初期の出血は、さまざまな色があります。

茶色

出血がみられる少し前に、子宮などから出血があった場合は茶色になります。

緊急性は少し低い場合が多いです。

ピンク色

おりものに血が混じるとピンク色の出血になります。

緊急性はあまりありませんが、不安であれば病院を受診しましょう。

鮮血

鮮血は、今まさに出血が起こっていることを示しています。

病院を受診したほうが安心でしょう。

今起こっている出血なので、病院を受診することで、原因を突き止めることができる場合もあります。

出血量が少なく痛みもない場合

茶色の出血が少量で、痛みもない場合は安静にして様子をみましょう。

出血が続く場合は、夜間でも病院を受診しましょう。

出血がおさまれば、次の健診時に出血があったことを伝えましょう。

どうしても不安な場合は、次の健診を待たずに病院を受診してもOKです。

出血量が少なくても痛みがある場合

出血量が少なくても下腹部痛や腰痛がある場合は、病院を受診しましょう。

切迫流産や絨毛性下血腫の可能性があります。

出血量が多い場合

出血量が多い場合は、夜間でも病院を受診しましょう。

夜用のナプキンをあてると安心です。

自分で運転するのは控え、パートナーに運転してもらうかタクシーを利用しましょう。

8. 妊娠初期の出血の対処法は?

妊娠初期に出血があった場合の対処法についてまとめました。

まずは安静に

病院を受診する場合を除き、まずは横になって安静に過ごしましょう。

落ち着いて病院を受診する

出血があった場合、とても動揺してしまうかと思いますが、落ち着いて病院を受診しましょう。

痛みで動けない場合は別ですが、妊娠初期の出血で救急車を呼ぶ必要はありません。

医師には落ち着いて出血時の状況を伝えます。

  • 出血の量や色
  • 痛みの有無
  • いつあったか、現在も出血しているか

場合によっては治療をすることも

出血で病院を受診した場合、その場で治療をすることもあります。

特に多いのが「プロゲステロン注射」です。

先ほども述べたように、プロゲステロンは子宮の収縮を抑え、妊娠を継続するはたらきがあります。

プロゲステロン注射をするだけで、出血や痛みがおさまることがあります。

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