流産とは?どれくらいの確率で起こる?種類・原因・兆候・対処

1. 流産とは

妊娠22週目未満で胎児の発育が止まり、妊娠が継続できなくなった状態が流産です。

妊娠22週目以降で胎児が死亡した場合は、死産と呼ばれます。

「妊娠22週目」が区切りになる理由

妊娠22週目以降は、母体の外でも胎児が生存できる可能性があります。

妊娠22週目以降に人工妊娠中絶ができないのも、このためです。

2. 流産の種類

稽留流産

胎児が死亡し、子宮内に留まった状態です。

自覚症状が少ないため流産に気付きにくく、検診で判明することが多いです。

子宮の内容物が自然に出るのを待つこともありますが、たいていは手術できれいに取り出します。

進行流産

子宮口が開き始め、文字通り流産が進行しつつある状態です。

進行流産が始まると止めることはできず、完全流産・不全流産のいずれかが起こります。

完全流産

強い痛み・出血とともに、子宮の内容物が自然に出てしまった状態です。

子宮の内容物がすべて出てしまった場合は、手術は必要ありません。

不全流産

子宮の内容物の一部のみが排出された場合は、不全流産と呼ばれます。

完全流産同様、強い痛みと出血をともないます。

手術を行って、子宮内に残ったものを取り除く必要があります。

化学流産

着床が成立したものの、受精卵が育たず妊娠に至らなかった場合を指します。

妊娠検査薬で陽性反応が出たにもかかわらず通常通り生理が着たら、化学流産かもしれません。

「化学流産」は正式な医療用語ではなく、妊娠・流産にもカウントされません。

切迫流産

切迫流産は、いわば「流産になりかけた状態」です。

以下の条件が揃うと、切迫流産と診断されます。

  • 妊娠22週目未満
  • 出血や下腹部の痛み・張りなどがある
  • 胎児の心拍が確認できる
  • 子宮口が閉じている

多くの場合、医師の指示に従って安静にすれば妊娠を継続できます。

3. 流産のおもな原因と発生確率

染色体異常

妊娠初期に起こる流産の原因としてもっとも多いのは、染色体異常です。

染色体異常による流産は受精した時点でほぼ決まっており、誰にでも起こり得ます。

流産は悲しいものですが、必要以上に落ち込んだり自分を責めたりする必要はありません。

異常のある受精卵は、自然淘汰される

若くて健康な精子・卵子からできた受精卵でも、一定の確率で染色体異常が起こります。

重度の染色体異常がある受精卵でも、妊娠が成立することはあります。

しかしその多くが成長途中で自然淘汰されてしまい、流産となります。

この場合、無事に生まれても重度の障害が残る可能性が高いです。

染色体異常が起こる確率

染色体異常による流産は、10~15人に1人の確率で起こります。

ただし、女性の年齢に比例して流産率も高くなります。

35歳以下なら15%、35~40歳なら20%の確率で自然流産が起こります。

40歳を超えると、約40%が自然流産になってしまいます。

母体が若すぎても流産率が上がる?

10代前半~中盤ではまだ子宮が未熟な人が多く、ホルモンバランスも乱れやすくなります。

高齢出産ほどではないものの、流産・死産や低体重児になるリスクが若干高くなります。

胞状奇胎

胞状奇胎は、染色体異常が原因で子宮内にブドウ状の組織ができる病気です。

胞状奇胎になると胎盤がうまく形成されず、ほとんどの場合受精卵の成長が止まってしまいます。

処置が遅れると絨毛ガンに進行することがあるので、できるだけ早く流産手術を行います。

なお、胞状奇胎はエコー検査で診断できます。

胞状奇胎が起こる確率

胞状奇胎が起こる確率は、全妊娠の0.2~0.3%と言われています。

過去に胞状奇胎を経験した人は、約10倍の確率(2~3%)で再び胞状奇胎になることがわかっています。

子宮外妊娠(異所性妊娠)

子宮外妊娠は、受精卵が子宮以外の場所(卵管など)に着床して起こります。

多くの場合何らかの処置が必要になりますが、10~20%の確率でそのまま自然流産となります。

子宮外妊娠が起こる確率

自然妊娠なら1%、体外受精なら5%弱といわれています。

母体の感染症

妊娠初期に以下の病原体に感染すると、流産・重い障害の原因になることがあります。

  • 風疹ウイルス
  • B型肝炎ウイルス
  • サイトメガロウイルス

トキソプラズマにも注意

トキソプラズマは寄生虫の一種で、庭土やペットの排泄物などからヒトへ感染することがあります。

トキソプラズマの抗体がない人が妊娠中に初感染すると、流産や障害の原因になることがあります。

抗体があるかどうかわからなければ、産婦人科で調べてもらうことがきます。

激しい運動などで流産することはある?

日常的な仕事・運動が流産の直接的原因になる可能性は、それほど高くありません。

ただし、ストレス・疲労・冷えが体調悪化の原因になることはあります。

こうした不安要素はできる限り避け、ゆったり過ごすほうが安心です。

4. 流産・異常妊娠のおもな兆候

流産の兆候は人それぞれですが、以下の症状には注意が必要です。

下腹部の強い痛み・張り

重い生理通のような痛みや、シクシクと強い痛みが起こることがあります。

また、今までにないほど強い張りが起こることもあります。

出血

妊娠初期の子宮はデリケートなので、些細なきっかけで出血が起こることがあります。

ただ、生理のような大量の出血や暗褐色の出血があったときは注意が必要です。

こうした出血は、子宮の内容物が外に出かけているサインかもしれません。

ひどい腰痛

妊娠中はお産に備えて骨盤がゆるむため、腰痛になりやすい時期です。

しかし、我慢できないほどひどい痛みや重たい感じがある場合は注意が必要です。

つわり・胸の張りが突然なくなる

異常がなくても、ホルモンバランスの変化によってつわり・胸の張りが消えることはあります。

しかし、同時に下腹部痛や出血がある場合は流産の可能性が高いです。

胞状奇胎のおもな症状

以下の症状がみられたら、胞状奇胎の疑いがあります。

  • 子宮が大きくなるのが異常に早い
  • つわりが極端に重い
  • 出血が増える
  • 出血に粒状の組織が混じる
  • 血圧上昇

子宮外妊娠のおもな症状

妊娠初期と同じ症状

子宮外妊娠の場合も、妊娠検査薬では陽性反応が出ます。

生理の遅れ・つわりなどがあるのに胎嚢がなかなか確認できない場合、子宮外妊娠の疑いがあります。

子宮外妊娠の有無を確認するためにも、検査薬で陽性反応が出たらすぐ産婦人科を受診しましょう。

下腹部の強い痛み

子宮以外の場所で場所で胎児が大きくなると、周囲が圧迫されて強い痛みが起こります。

痛みが徐々に強くなったり左右どちらかが強く痛んだりする場合、子宮外妊娠の疑いがあります。

不正出血

正常な妊娠でも、生理予定日ごろに少量の着床出血が起こることはあります。

生理予定日前後でもないのに出血したり、だらだらと1週間以上出血したりする場合は、注意が必要です。

生理痛が重い人・生理不順の人は要注意!

普段の生理通が重い人や生理不順の人は、子宮外妊娠の出血を普通の生理と間違えることがあります。

しかし対処が遅れると卵管破裂などに至り、命にかかわることもあります。

5. 流産・異常妊娠のときの対処

流産が疑われたら、できるだけ早くかかりつけの産婦人科を受診しましょう。

自然流産を待つこともありますが、たいていは以下の処置が行われます。

流産手術

稽留流産と診断されたら、多くの場合は流産手術(掻爬手術)を行います。

また、不全流産で子宮の内容物が残った場合も手術が必要です。

流産手術は、子宮の中をきれいにして感染症を防ぐために行われます。

子宮内をきれいにすることは、次の妊娠のためにも重要です。

流産手術の基本的な流れ

まずは、前処置として子宮口を十分に開かせます。

ラミナリアで物理的に子宮口を開く方法や、薬剤で開く方法があります。

子宮口が十分に開いたら、麻酔をして子宮の内容物を取り出します。

多くの場合、日帰り手術もしくは1泊入院となります。

流産手術に保険は適用される?

流産手術の基本的な流れは、人工妊娠中絶と同じです。

原則として、人工妊娠中絶には健康保険が適用されません。(例外あり)

一方、稽留流産・不全流産後の流産手術には健康保険が適用されます。

切迫早産の場合

切迫早産と診断されたら安静を命じられ、必要に応じて入院・投薬することもあります。

仕事をしている人は休みを取って、自宅もしくは病院でしっかり養生しましょう。

自覚症状がなくても、医師の指示に従ってしっかり休みましょう。

元気なつもりでも、油断は禁物!

医師の指示を無視して無理をすると、本当に流産することもあります。

仕事を休んで家にいても、普通に家事をしてしまっては安静とはいえません。

「これくらい大丈夫」と無理をせず、周囲の力を借りましょう。

子宮外妊娠の場合

腹腔鏡手術

妊娠を希望する場合、卵管を温存しつつ胎嚢を取り出します。

症状が重い場合は、卵管そのものを切除することがあります。

開腹手術

開腹手術によって、卵管を切除することもあります。

卵管癒着のリスクが高い、もしくは卵管の損傷が激しい場合に行われます。

薬物治療

胎嚢がまだ小さく心拍がなければ、薬物治療を行うこともあります。

抗がん剤の一種を使ってhcgホルモンを低下させ、妊娠組織の成長を止めます。

6. 流産後のカラダの状態と生活

流産後の症状

流産手術・自然流産後、以下のような症状が出ることがあります。

多くの場合、長くても2週間ほどでおさまります。

出血・下腹部の痛み

子宮の癒着などが原因で、しばらく出血や腹痛が続くことがあります。

つわり

妊娠によって分泌されたホルモンは、少しずつ時間を掛けて減少していきます。

そのため、流産後もしばらくつわりの症状が続くことがあります。

日常生活

流産後に無理をすると回復が遅れ、場合によっては妊娠しにくくなることがあります。

家事や上の子の世話は最低限にとどめ、ゆっくり休んで回復につとめましょう。

仕事復帰はいつ?

流産後は最低でも3~4日、できれば1週間ほど休みを取るのが望ましいです。

妊娠初期はそもそも妊娠報告をしていないことが多く、流産のことを言い出しにくいかもしれません。

しかし、直属の上司や仲のいい同僚には事情を伝えておきましょう。

流産を理解してもらえば、復帰後もなにかとサポートしてもらえるでしょう。

精神的ダメージについて

流産は、女性の心身に大きなダメージを与えます。

体が回復しても精神的に立ち直ることは難しく、時としてうつなどの原因になることもあります。

必要以上に自分を責めたり、回復を焦ったりする必要はありません。

まずは自分の気持ちとしっかり向き合い、気持ちが落ち着いたら少しずつ普段の生活に戻りましょう。

流産後の妊活再開時期

流産後1~2回生理が来たら、医師から妊活再開の許可が下りることが多いです。

それ以前の段階ではまだ子宮が十分に回復しておらず、妊娠してもまた流産しやすくなります。

妊活再開まで長期間を要する場合

胞状奇胎になった場合、半年~1年ほど経過観察が必要になります。

同様に、子宮外妊娠の手術後も十分期間をあけなければなりません。

体が回復しても妊娠への不安が強い人は、妊活を無理に再開せずじっくり待ちしょう。

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