妊娠のメカニズムとは?受精確率・着床率・流産の確率はどのくらい?

1. 妊娠が起こるメカニズムとは?

妊娠は、複雑な手順を経てはじめて成立する奇跡です。

まずは、妊娠に至るまでの流れについて解説します。

卵子が作られる

女性は、胎児の時点ですでに卵子のもととなる細胞を持っています。

出生時点で約4~8万個の原始卵胞がありますが、変性を続けてどんどん数が減少します。

原始卵胞は思春期ごろから成熟卵胞へ育ちはじめ、卵胞内の卵子が成熟すると排卵が起こります。

月経開始~閉経までの間に、400個前後の成熟卵胞ができると考えられています。

卵子の寿命

健康な卵子の寿命は、排卵後約24時間と言われています。

精子が作られる

男性の精巣では、精源細胞から精子が作られます。

卵子と異なり、精子は毎日新しく作られます。

1日に作られる精子の数は、約5000万~数億個と言われています。

精子の寿命

健康な精子の寿命は、射精後3~5日と言われています。

卵子と精子が合体する

膣内に射精された精子は、自力で泳いで卵管へ向かいます。

1回の射精で1~4億個の精子が排出されますが、卵管に到達できるのはわずか200個以下と言われています。

卵管で精子と卵子が出会うと、合体して受精成立となります。

原則として、受精できる精子は1個だけ

通常、1個の精子が受精すると受精卵の外側に膜が張られます。

この膜によって、他の精子の侵入が遮断されます。

双子ができるしくみ

自然妊娠の場合、約1/100の確率で双子を妊娠することがあります。

一卵性双生児

1個の卵子が同じタイミングで2個の精子と合体すると、一卵性双生児となります。

一卵性双生児はまったく同じ遺伝情報を持ち、外見的特徴がそっくりになります。

二卵性双生児

何らかの原因で卵子が2個排卵され、かつそれぞれの受精・着床が成立すると、二卵性双生児となります。

二卵性双生児は異なる遺伝情報を持ち、性別・血液型・外見的特徴が違うことがあります。

女性の家系に二卵性双生児がいる場合、二卵性双生児の妊娠確率が通常の約4倍となります。

排卵誘発剤を使用した場合、二卵性双生児の妊娠率が若干高くなります。

受精卵が子宮に着床する

受精卵は、子宮へ向かいながら細胞分裂を繰り返します。

受精後7~10日で子宮にたどり着き、子宮内膜と結合して着床成立となります。

全ての受精卵が着床に成功するわけではなく、着床をもって妊娠が成立します。

2. 妊娠成立後の流れ

着床した受精卵は細胞分裂を繰り返し、胎嚢(胎児を包む袋)へと成長していきます。

妊娠超初期症状

着床が成立しても、すぐに妊娠を確認できるわけではありません。

しかし着床成立後はホルモンバランスが大きく変わり、さまざまな心身症状があらわれます。

妊娠初期以前の「妊娠超初期」に起こることから、妊娠超初期症状と呼ばれます。

下腹部の痛み・風邪に似た症状・つわりのような症状など、さまざまな症状があります。

妊娠超初期症状で妊娠がわかる?

妊娠超初期の段階で、「いつもの生理前と明らかに違う」と気付くことがあります。

一方、「何も起こらなかった」「普段の生理前症状と区別がつかなかった」という人もいます。

また、1人目と2人目以降で症状が全く異なるケースもあります。

妊娠超初期症状はあくまで参考のみにとどめ、妊娠検査薬でチェックするのが確実です。

妊娠検査薬のしくみ

「妊娠かな?」と思ったら、産婦人科に行く前に妊娠検査薬を使う人が多いでしょう。

妊娠が成立すると、hcgホルモン(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)が分泌されはじめます。

妊娠検査薬は、尿中のhcgホルモンを検出して妊娠の有無を判定するものです。

生理予定日の約1週間後にhcgホルモンが50IU/mlとなり、検査薬で陽性反応が現れます。

産婦人科で妊娠と判断されるのはいつ?

妊娠5週目ごろから、エコー検査で胎嚢が確認できるようになります。

産婦人科では、子宮内に胎嚢が確認できれば通常の妊娠と判断されます。

妊娠検査薬で陽性反応が出たら、産婦人科を受診しましょう。

受診のタイミングによっては、胎嚢が確認できず再受診となることもあります。

心拍の確認

胎嚢が確認できたら、次回の診察で胎芽と心拍の確認を行います。

胎嚢の中の胎芽が成長すると、胎児になります。

胎芽と同時に心拍も確認でき、心拍が確認できると流産の確率が低くなります。

受診のタイミングによっては、胎嚢と胎芽・心拍の確認を同時に行うこともあります。

3. 受精が起こる確率は?

排卵のタイミングを狙って性交すれば、80~85%の確率で受精すると考えられています。

ただし、受精しても着床しなければ妊娠には至りません。

受精しやすいタイミング

受精を成立させるためには、精子・卵子ができるだけ新鮮な状態で出会うことが重要です。

排卵日当日より、排卵日2日前~前日に性交するほうが妊娠率が高くなります。

排卵日当日だけを狙って性交すると、精子と卵子が出会う前に卵子が古くなってしまいます。

排卵日を知るには…

基礎体温グラフで排卵のリズムを知ることはできますが、次の排卵日を正確に知るのは難しいです。

排卵のタイミングを正確に知りたい人は、排卵検査薬を使いましょう。

排卵検査薬の仕組み

排卵が起こる約36時間前に、尿中の黄体形成ホルモン(LH)の濃度が上がりはじめます。

LH濃度が一定レベルを超えると、検査薬がLHを検出して陽性反応が現れます。

排卵検査薬で陽性反応が出れば、数日後に排卵が起こると予測されます。

メーカーによって感度が異なる

排卵検査薬のメーカーによって、LHの検出感度が異なります。

LH分泌量が少ない人は感度の高いもの、LH分泌量が多い人は感度の低いものがおすすめです。

できれば複数の排卵検査薬を試して、自分に合うものを使いましょう。

化学流産とは?

着床しても妊娠が継続できなかった状態を、化学流産と呼びます。

妊娠検査薬で陽性反応が出たのに通常通り生理が来た場合、化学流産の疑いがあります。

「化学流産」は正式な医療用語ではなく、妊娠・流産にもカウントされません。

化学流産後は普通に生理が来るので、女性本人も気付かないことが多いです。

4. 受精が起こりにくくなる要因

卵子・精子などに問題があると、受精そのものが成立しにくくなります。

卵子に問題がある

卵子に問題がある場合、おもな要因は以下のとおりです。

  • 卵子が未熟
  • 透明帯(卵子を覆う組織)が硬い
  • 卵子の老化

精子に問題がある

卵子が健康でも、精子に問題があるとやはり受精率は下がります。

  • 精子の数が少ない
  • 精子の機能異常(運動能力が低い、透明帯を通過しにくいなど)
  • 精子の老化

男性の場合は35歳ごろから妊娠させる能力が下がりだし、40代以上になると急激に低くなります。

子宮・卵管に問題がある

卵管癒着や骨盤・子宮の炎症などがあると精子と卵子が出会いにくくなり、受精率が下がることがあります。

5. 着床が起こる確率は?

男女ともに不妊のもとになる要因がなければ、全体の着床率は20~30%ほどと言われています。

女性の年齢による着床率の違い

女性側の年齢が上がると、健康でも着床しにくくなります。

  • ~30歳…20~25%
  • 30~35歳…15%
  • 35~40歳…10%
  • 40歳~…5%

加齢によって卵子の質が落ち、受精卵の細胞分裂が進みにくくなってしまいます。

6. 着床が起こりにくくなる要因

女性の年齢が若くても、以下の要因があると着床率は下がります。

子宮内膜が厚くならない

受精卵がスムーズに着床するためには、排卵後の子宮内膜が十分に厚くなることが大切です。

排卵後の子宮内膜の厚みが6mm以上にならないと、妊娠しにくくなります。

子宮内膜が育ちにくくなるおもな原因は、以下のとおりです。

  • 黄体機能不全
  • 子宮内膜の血流不全・低下

子宮内膜の厚みはどのくらい必要?

一般的には8mm以上が望ましく、理想的な厚みは10mm以上です。

排卵後7~10日目の厚みが15mm以上あれば、より着床率が高くなります。

子宮内膜症

何らかの要因で、子宮内膜が卵巣・卵管などにできる病気です。

子宮内膜症が発生すると、骨盤内にある臓器どうしが癒着しやすくなります。

その結果、排卵や卵子の卵管内移動がさまたげられることがあります。

子宮内膜症の原因は?

子宮内膜症は、エストロゲン(卵胞ホルモン)の影響で起こることが知られています。

ただし具体的な原因はまだ不明で、経血の逆流・アレルギー・先天的原因などの説があります。

同種免疫異常

男女のリンパ球の型が似ていると、男性のリンパ球に対して女性の体が拒否反応を起こすことがあります。

種の保存のため、自分に近い遺伝子を近親者のものとみなして攻撃してしまうのです。

性感染症

不妊の原因となる性感染症には、性器クラミジア感染症や淋菌感染症(淋病)などがあります。

女性が性感染症になると、子宮周辺の臓器が炎症・癒着を起こすことがあります。

その結果、受精卵および精子・卵子の移動が妨げられます。

7. 流産が起こる確率は?

若くて健康な女性でも、10~15%の確率で流産が起こると言われています。

流産の原因の多くは、受精卵が持つ遺伝子のエラーです。

妊娠が成立しても、遺伝子に重大なエラーがあると自然淘汰されてしまいます。

もし無事成長して分娩に至っても、重い障害が残ると考えられます。

女性の加齢による流産率の変化

女性の年齢が上がると、流産率が高くなります。

  • ~35歳…15%
  • 35~40歳…20%
  • 40歳~…40%

加齢とともに卵子の染色体異常が起こりやすくなり、卵子そのものの生命力も落ちるためです。

安定期を迎えても、高齢出産はハイリスク

無事に安定期を迎えても、高齢出産にはリスクがつきものです。

35歳以下での妊娠と比べて問題が起こりやすいので、注意が必要です。

  • 妊娠中の病気(妊娠高血圧症候群・妊娠糖尿病など)
  • 分娩異常(早産・難産など)
  • 子どもの染色体異常(ダウン症など)

男性側の加齢も流産の原因に

精子は毎日新しく作られますが、やはり加齢によって染色体異常が起こりやすくなります。

女性側が若くて健康でも、男性の年齢が高いと流産率が上がることが知られています。

近所の産婦人科の病院を
探す・口コミを見る