赤ちゃんの先天緑内障とは?原因・症状・治療・ホームケア・体験談

1. 先天緑内障(発達緑内障)はこんな病気

眼球の内側は、房水(ぼうすい)という液体で満たされています。

房水は角膜や水晶体に栄養分を運び、その後角膜と虹彩の間のすき間「隅角(ぐうかく)」から排出されます。

先天的に隅角の形成異常があると房水が排出されにくくなり、房水がたまって眼圧が上がることがあります。

この眼圧上昇によって視神経に支障をきたし、視野が狭くなるのが先天緑内障です。

先天緑内障の分類

早発型発達緑内障

先天緑内障の80%は、生後1年以内に発症します。

なかには、出生時すでに発症しているケースもあります。

遅発型発達緑内障(若年緑内障)

隅角の異常が軽い場合、10~20代になるまで症状がないことがあります。

他の先天異常との併発

以下の先天異常にともなって、緑内障の症状が出ることがあります。

  • 無虹彩症
  • スタージ・ウェーバー症候群
  • ペータース異常

2. 先天緑内障の原因

その名のとおり先天的異常が原因ですが、詳しい原因は解明されていません。

女の子より男の子に多い

常染色体劣性遺伝で、女の子より男の子にやや多く起こります。

先天緑内障が遺伝する確率

親や親族に先天緑内障の人がいる子どもは、そうでない子どもより発症率がやや高いことが知られています。

しかし、だからといって必ず先天緑内障になるとは限りません。

逆に、親族に先天緑内障の人がいないのに発症するケースもあります。

先天緑内障は、1種類の遺伝子だけでなく複数の遺伝子・環境因子が影響しあって起こると考えられています。

3. 先天緑内障の症状

先天緑内障の75%は、両眼に発症します。

赤ちゃんの眼球は大人より柔らかく、眼圧が上がると眼球全体が大きくふくらみます。

黒目が大きくなり牛の眼のように見えるので、「牛眼」と呼ばれることもあります。

眼圧の上昇によるおもな症状

  • 角膜(黒目)が大きくなる
  • 角膜が白濁する
  • まぶたが痙攣する
  • 涙・目やにが増える
  • 光をまぶしがる
  • 逆さまつげ

遅発型発達緑内障の場合

遅発型発達緑内障では、上記のような症状はほとんど現れません。

初期では自覚症状がほとんどなく、気付いたときにはかなり症状が進んでいることが多いです。

4. 先天緑内障の検査法

おもな検査の種類

眼圧検査

眼球に少量の空気を吹きつけ、眼球の柔らかさを調べます。

空気をたくさん入れたボールが固くなるように、眼圧が高いと眼球が固くなります。

隅角検査

特殊なコンタクトレンズを装着させ、専用の顕微鏡で隅角の様子を調べます。

点眼麻酔薬を使用するので、痛みはほとんど感じません。

眼底検査

眼球の奥が見える特殊なメガネを装着させ、網膜・血管の様子を調べます。

乳幼児でも検査できる?

乳幼児はじっとしていることが難しく、思うように検査できないことが多いです。

そのため、全身麻酔や催眠剤を使いながら検査することがあります。

5. 先天緑内障の治療法

早発型発達緑内障の場合、薬物治療だけではそれほど効果がありません。

進行も早いため、できるだけ早めの手術が必要です。

全身麻酔による負担を減らすため、両眼に症状がある場合は一度に手術することが多いです。

レーザー治療

レーザーで虹彩に小さな穴を開け、房水を排出しやすくします。

施術時間が短く、副作用も少ない治療法です。

手術

レーザー治療で改善がみられなければ、手術を行います。

手術内容によりますが、手術そのものは1時間ほどで終わります。

ただし術後すぐは視界が狭まり、さまざまなアフターケアも必要です。

そのため、1~3週間入院することが多いです。

隅角切開術(ゴニオトミー) ・線維柱帯切除術(トラベクレクトミー)

隅角もしくは線維柱帯(隅角の一部)を切開し、房水を排出しやすくします。

薬物治療

遅発型発達緑内障の場合、まず点眼薬による薬物治療が行われます。

房水の排出を促す薬や、房水の分泌を抑える薬などを使用します。

薬物治療で改善されない場合は、手術を行います。

他の先天異常がある場合

緑内障の治療と並行して、緑内障の原因となった先天異常の治療を行います。

6. 手術後のケア

定期的な検査と投薬

定期的に眼圧検査や視力検査を受け、眼の状態をチェックします。

また、眼圧上昇を防ぐための点眼薬を使用しつづけます。

眼圧が上がってきたら、必要に応じて再手術を行います。

健眼遮蔽

片目だけに症状がある場合の訓練法です。

健康なほうの眼を1日数時間だけアイパッチで隠し、手術したほうの眼で見る訓練を行います。

眼を使うことで、視力の改善が期待できます。

メガネの使用

メガネを使用して、視力を補います。

生活面での注意

テレビやPC・スマホの見過ぎを避ける

現代の子どもは、小さいころからテレビ・PC・スマホに慣れ親しんでいます。

しかし、ディスプレイを長時間見続けると視神経に負担がかかります。

テレビやPC・スマホの使用は、短時間にとどめましょう。

眼の周りに触れるものは清潔に

感染症のリスクを避けるため、眼の周りに触れる手・タオル・枕カバーなどは常に清潔にしましょう。

子どもが小さいうちから、こまめな手洗いの習慣をつけることも重要です。

自己判断で通院・投薬をやめない

症状が軽くなっても、検査や投薬を勝手に止めてはいけません。

眼圧の上昇や感染症は、いつ起こるかわかりません。

後で取り返しのつかないことにならないよう、面倒でも通院・投薬はきちんと続けましょう。

将来コンタクトレンズは使える?

思春期を過ぎた頃から、少しずつコンタクトレンズを使う人が多くなります。

医師によって意見が分かれますが、必ずしも「緑内障=コンタクト禁止」とは限りません。

ただし、長時間つけたままにしたりお手入れを怠ったりすると目に大きな負担がかかります。

コンタクトレンズの使用についてはかかりつけの医師とよく相談し、用法を守って使用しましょう。

7. 手術後の状態・回復

症状に早く気付いて処置すれば、比較的予後は良好です。

ただし術後も定期的な検査が必要であり、一生付き合っていかなければなりません。

1度の手術で眼圧が下がらない場合、何度も手術を繰り返すこともあります。

もし発見・治療が遅れた場合、重篤な視覚障害が残ることがあります。

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8. 先輩パパ・ママの「うちの子の先天緑内障体験談」

投稿者名非公開

私は今 2歳半になる息子がいます。

生後2か月で、黒眼が白濁し、緑内障が発覚しました。

生後4か月までは点眼で様子を見ましたが、白濁がくりかえしたり、眼圧が安定しなかったため、生後4か月の時点で片目ずつ手術してもらいました。

術後は点眼(炎症止めくらいしかしてなかったと思います。)をしばらくしましたが、その後、眼圧が下がったため、点眼をしばらくやめて再検査をくりかえし、眼圧が安定したため、それ以降は点眼無しで過ごせています。

引用元:mixiコミュニティ「先天性緑内障」

パット さん

息子は4歳なのですが、先天性緑内障ってやつで生後1週間から大学病院に通院しています。

生後10日で目の手術をしたのですが、それ以降も2週間に1回くらいは通院して目の状態と眼圧を検査しています。

(中略)

息子は生まれたときから明らかに目がおかしい状態でした。

病院に行ったら緑内障の診断。すぐに手術をしないと手遅れになる状態。

ほかの患者の手術を後回しにしてまで息子の手術を優先してくれました。本当に失明すれすれだったよう。

生後10日で手術って早いようですがそれでも遅かったくらいで、すでに視神経の一部がやられていました。

もうすこし遅かったら失明していたというのは担当医の話。いま思い出してもぞっとします。

引用元:いまここ庵だより「先天性緑内障とゾーン」