赤ちゃんの肘内障(ちゅうないしょう)とは?原因・症状・治療・体験談

1. 肘内障(ちゅうないしょう)はこんな病気

亜脱臼の状態

肘内障とは、子どもの骨と骨をつないでいる関節がはずれかかっている、「亜脱臼」の状態のことをいいます。

5~6歳までの子どもに、多くみられます。

これは、子どもが7歳を過ぎると、骨や靭帯が十分に発達し、関節がはずれにくくなるからです。

2. 肘内障の原因は?

関節のしくみ

人間のひじから手のひらの間には2本の骨があり、親指側を「橈骨(とうこつ)」、反対側を「尺骨」といいます。

橈骨は骨が肘から抜けないように、尺骨から伸びる靭帯で固定されています。

そして、この靭帯の中で橈骨が回転することで、手首が動きます。

5~6歳までの子どもは、橈骨が未発達で柔らかい軟骨成分が多く、靭帯の柔軟性が高いので、少しの負荷でも関節がはずれやすいのです。

肘内障が起こる原因

子どもは関節が未発達なので、些細なことがきっかけで、靭帯から骨がはずれてしまいます。

そのため、子どもが筋肉に力を入れていない時に負荷をかけることで、肘内障が生じることが多いようです。

手を引っ張る

子どもと手をつないで歩いている時、転びそうになったので、手を引っ張ったことがあるママやパパはたくさんいるでしょう。

そんな時に、肘内障が起こります。

また、子ども同士で手を振り回したり、腕を引っ張って遊んでいて、関節がはずれることもあります。

腕がねじれる

子どもが鉄棒にぶら下がったり、遊んでいる時に、腕がねじれることがあります。

それが原因で、関節がはずれることもあります。

また赤ちゃんの場合は、眠っている間にひじが自分の体の下に入ってねじれてしまい、それが原因で肘内障が生じることもあります。

3. 肘内障の症状とは?

主な症状

子どもが肘内障になると、以下のような症状がみられます。

  • 腕を動かさない
  • ひじが曲げられない
  • ひじを痛がるが、腫れはみられない
  • 腕に触ることを極端に嫌がる
  • 腕がだらんとしている
  • 激しく泣く
  • 手首や肩の痛みを訴える
  • 上半身を動かさない

上記の症状がみられた時には、病院へ連れて行きましょう。

4. 肘内障と間違えやすい症状

上腕骨の骨折

赤ちゃんの場合は、外から強い力が加わることで骨折したり、ひじ以外の部分に疾患が起こっていることもあるので、注意が必要です。

特に乳幼児は骨の強度が弱く、ひじから肩の部分にあたる「上腕骨」の骨折が多くみられます。

特に「上腕骨顆上骨折」「上腕骨外顆骨折」「橈骨頭骨折」が、肘内障と間違われやすいです。

骨折でみられる症状

骨折の場合は、肘内障にはない、以下の症状がみられます。

  • 骨折した部分に痛みと腫れがある
  • 動かすと痛がる
  • 外からみて、変形や異常がみられる

肘内障と骨折を区別するポイント

乳幼児の様子を観察することで、肘内障と区別がしやすくなります。

  • 高いところから落ちた
  • 強い衝撃を受けた
  • 整復術を行っても痛がり、動かさない
  • 関節部分が腫れている
  • 発熱や吐き気を伴っている

こうした状態の時は、骨折している可能性が高いです。

5. 肘内障の治療方法は?

何科に連れて行くの?

子どもが肘内障かもしれないと思ったら、整形外科を受診しましょう。

接骨院や整骨院でも、治療を受けることができます。

関節を元に戻す

肘内障の治療は、ずれてしまっている靭帯の輪の中に関節を戻す「整復術」を用います。

治療後は痛みがなくなるので、赤ちゃんもすぐに泣き止んで、元気になります。

治療の進め方

肘内障は骨折や脱臼とは違うので、レントゲンでの確認は難しいです。

そのため、痛みが発生した状況を確認し、お医者さまが肘内障の可能性が高いと判断した場合は、レントゲンを撮らずに治療をすることが多いです。

薬や装具は使わない

肘内障は、関節が正しい位置に戻ると、すべての症状がなくなります。

そのため、整復後に投薬したり、ひじを固定する装具などを使う必要はありません。

とはいえ、赤ちゃんが成長して、骨や靭帯がきちんと発達するまでは再発しやすいので、ママやパパが十分注意してあげましょう。

6. 肘内障のホームケア方法は?

肘内障は家でも治せる

肘内障は、お医者さまや整体師の方に治療方法を教えてもらえば、家庭でも治すことができます。

整復術の進め方

手順を守れば、ママやパパでも整復することができます。

  • 子どものひじを伸ばし、片側の手でひじをおさえる
  • 子どもの手のひらを下向きにしてから、もう一方の手で、手のひらをにぎる
  • ひじを固定したままゆっくりと曲げ、子どもの手のひらが上向きになるように動かす
  • ひじを曲げる時に「コリッ」という音がして、ひじがはまる
  • 子どもの腕の曲げ伸ばしが自然にできる

家庭で整復術を行う時の注意点

ママやパパが腕を引っ張った後に症状が出るなど、肘内障の可能性が高い時は、自宅で整復術を行うのは問題ありません。

ですが、大人が目を離している時に異変がある場合は、脱臼や骨折の可能性があります。

素人判断で整復術を行うと、症状を悪化させることがあるので、病院へ連れて行きましょう。

7. 肘内障の後遺症

後遺症が残ることもある

肘内障は、整復術を用いれば、簡単に治療することができます。

ですが、肘内障が頻繁に起こると、後遺症が残ることがあります。

何度もひじがはずれる、はまることをくり返していると、関節の軟骨の発達が遅れてしまいます。

その結果、外科手術で治療を行わなければならない可能性があるのです。

まれなケースではありますが、肘内障を何度もくり返さないように注意しましょう。

7. 肘内障の予防方法は?

家庭での予防方法

肘内障予防のために、ママやパパが気をつけたいポイントをまとめておきましょう。

手を引っ張らない

肘内障は、子どもが意識していない時に、強く引っ張られることで起こりやすいです。

そのため、日ごろから手を引っ張らないことを意識するのが大事です。

また、やむをえず手を引っ張る必要がある時には、手首から先を持つのがポイントです。

子どもの手首がクッションになれば、肘内障は起こりにくくなります。

乳幼児の転倒は体で止める

子どもが転倒しそうになった時に、とっさに腕を引っ張ることは、よくあります。

ですが、これが肘内障が起こる原因になるのです。

そのため、子どもが転びそうになった時には、手で引っ張るのではなく、胴体をつかんだり、体全体で受け止めることを意識しましょう。

子どもの手をにぎる時は、手のひらをにぎるようにしましょう。

寝ている時にも注意する

睡眠中の乳幼児はよく動き、寝た時と起きた時では180度、体の向きが変わっていることも珍しくありません。

そんな時に、自分の体の下にひじが入ってしまうのです。

お昼寝している時だけでなく、夜眠っている時にも、できるだけ子どもが寝ている姿をチェックして、ひじが下敷きになっている時は、戻してあげましょう。

8. 先輩ママの「うちの子の肘内障体験談」

愛知県・3才8ヵ月の女の子・ハナちゃんママより

初めてひじがはずれたのは、1才8ヵ月のときでした。

遊んでいるとき、なぜか左手を使わないのです。

痛がらないけれど何か変なので、整形外科へ連れて行くと、ひじがはずれていました。

先生がちょっと触って「はい、戻りました」というと、娘は普通に左手を動かしたのです。

その後、1年に1~2回のペースで、左のひじがはずれるようになりました。

鉄棒をしたりしても平気なのに、人形を渡したりして、特定の向きに力を入れるとはずれるようです。

5~6才になると、はずれにくくなるらしいので、様子を見ています。

引用元:左のひじが何度もはずれます。肘内障でした