赤ちゃんの運動発達の遅れとは?原因・症状・治療・ホームケア・体験談

1. 運動発達の遅れはこんな状態

運動発達が気づく年齢は?

「運動発達の遅れ」は、低酸素性虚血性脳症や染色体異常など生まれたときからある程度予見されていることもあります。

予見できない場合でも、1才ぐらいまでに気づかれることもあります。

他の子どもと比べて、首のすわりが遅い、おすわりが遅いといった症状が出ます。

運動発達の遅れの判断は難しい

未熟児や早産などが原因で発達が遅い子の場合、同年齢の子どもよりも成長がスローペースになることもあります。

ただし、病気が原因になっていることもあります。脳性麻痺と筋肉の病気が多いです。

運動発達にまったく問題ない成長の遅れなのか、病気が原因によるものかは、医師に診てもらい判断してもらうしかありません。

ママやパパだけで心配していてもしかたがないので、気がついた時点で受診や相談をして、発達を促す働きかけをするといいでしょう。

発達障害の可能性もある

発達障害には、自閉症やアスペルガー症候群、注意欠陥多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)などがあり、脳の異常から来る発達障害もあります。

筋肉や神経、視覚や聴覚に大きな問題はなくても、発達障害が原因で、運動発達の遅れが出ることもあります。

発達性協調運動障害と呼ばれることもあり、一種の運動発達の遅れと見ていいでしょう。

乳幼児のときには、ハイハイする、歩くといった部分などに、運動発達の遅れが出ることもあります。

保育園や幼稚園に入園、または小学校に入学後、運動面、学習面に遅れが出て、はじめて発達障害と気づくこともあります。

2. 運動発達の遅れの症状

以下のような症状があったら、発達の遅れが心配されます。

一般的にいって早く遅れが出てきたほうが重症のことが多いです。

0ヶ月~6ヶ月

運動発達の遅れ

  • あまり動かない、だらんとしている
  • 首が据わらない
  • 呼吸が常に苦しそう
  • 体がふにゃふにゃして力がはいらない
  • 体や関節がかたい
  • 手伝っても寝返りをしない
  • 片手(片足)しか使わない・左右差がある
  • 反り返りが強い(抱っこされにくい)

知的発達の遅れ

  • 表情が乏しい
  • 芽で追わない
  • あまり笑わない
  • 寝てばかりいる
  • 反応が乏しい
  • 奇声が多い
  • 怒りっぽい

1才~2才

運動発達の遅れ

  • おすわりしない
  • はいはいしない
  • おすわり姿勢のまま移動する
  • 足を床につかない
  • 歩かない
  • 視線が合わない
  • 「いないないばあ」や「パチパチ」に興味を示さず、真似もしない
  • 喃語(なんご:バブバブ、ダアダアなどの赤ちゃん語)が少ない

知的発達の遅れ

  • いつも機嫌が悪い
  • おうむ返し
  • こだわりが多い
  • くるくる回るなど、繰り返しが多い
  • 指差ししない

3〜6才以降

運動発達の遅れ

  • 字が汚い
  • 箸やコップがうまく使えない
  • はさみや定規がうまく使えない
  • 着替えがうまくできない
  • 楽器の演奏ができない

知的発達の遅れ

  • 言葉を話す、理解ができない
  • 周りに合わせられない
  • 忘れやすい
  • 落ち着きがない

3. 脳性麻痺による運動発達の遅れ

脳性麻痺とは、胎内にいる時から生後4週までの間に、何らかの原因で受けた脳の損傷によって引き起こされる運動機能の障害をさします。

脳性麻痺を起こすことで、脳の運動を司る部分や神経が損傷し、自分の意思で身体を動かせなくなる状態(運動麻痺)を引き起こします。

知的発達の遅れはないこともありますが、同時に遅れている場合も多いです。

妊娠中に異常がわかる場合もありますし、生まれてからわかる場合もあります。

脳性麻痺が起こる確率

1,000人に2人が脳性麻痺を起こすと言われています。

早産や低体重児の場合、脳性麻痺の発症率は10倍に上がります。

早産や低体重児で出産しても医療の発達により、生存率が上がっています。

しかし、おなかにいる時点で脳性麻痺が起きていることが多いため、生存率が上がった一方、脳性麻痺の子どもが増加傾向にあります。

脳性麻痺の原因

脳の障害の原因として、以下があります。

  • ウイルスやトキソプラズマといった寄生虫などの感染症
  • 胎児期に脳に酸素や血液がうまく回らない(脳室周囲白質軟化症)
  • 出産のとき脳に酸素が不足する(低酸素性虚血性脳症)
  • 頭の中(脳室)に水がたまる(水頭症)
  • 染色体の異常
  • 核黄疸による血液の異常
  • 生まれてすぐに髄膜炎、脳炎にかかる

など、いろいろな原因が考えられます。

脳性麻痺の5つの型

脳性麻痺には症状により、5つに分類されます。

1. 痙直型

脳性麻痺の70パーセントが痙直型です。

麻痺をした筋肉が硬くなり硬直化します。

筋力が低下してしまい、両手両足が麻痺する四肢麻痺や、片側のみに麻痺が出る片麻痺など、さまざまです。

2. アテトーゼ型

脳性麻痺の20パーセントに見られる症状です。

筋肉は通常、脳の制御により動きをコントロールできます。

アテトーゼ型の場合、脳の制御に関係なく、筋肉が勝手に動いてしまい、けいれん症状が出ます。

3. 失調型

脳性麻痺の5パーセントに見られる症状です。

平衡感覚に異常をきたし、歩行できても転倒してしまいます。

4. 硬直型

固縮型とも呼ばれます。

筋肉の強固な緊張により、硬直化します。

硬直化した部分は、他の人が動かそうとしても、動かないほど硬直化します。

5. 混合型

上記4つの型の症状が、複数あらわれたものです。

4. 筋肉の病気による運動発達の遅れ

脳性麻痺が原因で、筋肉の病気が併発します。

筋ジストロフィー、ミオパチーなど筋肉に生まれつきの病気があって、姿勢を保ったり、運動をすることに障害が出ます。

筋肉の低下や萎縮が起こり、先に書いた脳性麻痺の分類の症状とあわせて、引き起こされます。

5. 運動発達の遅れの診断

生まれてからの発達や妊娠経過、出産時の様子などをママからよく聞き、赤ちゃんの体の状態や筋肉の緊張の状態、呼びかけや音への反応性、腱反射などを詳しく診ます。

神経系の病気を疑ったら、採血と脳の検査(頭部CT、頭部MRI、脳波測定)などをします。

必要があれば、神経専門の病院を紹介するということになります。

6. 運動発達の遅れの治療

原因となっている病気の治療とともに、リハビリテーションを行います。

脳性麻痺は、神経内科などで診てもらうことになります。

1. 原因となっている病気の治療

水頭症なら手術をして脳に水がたまらないようにする、髄膜炎なら薬で治療するなど、運動マヒの原因になっている病気に対しての治療をします。

2. リハビリテーション

運動マヒがあるときは、それぞれの赤ちゃんに合った理学療法、作業療法などのリハビリテーションを行います。

赤ちゃんの脳は発達途上で、ダメージを受けた部分をほかの部位が補う可能性があります。

大人は脳の部位ごとに働きが決まっているので、ある部位がダメージを受けるとほかの部位で代替するのは難しいのですが、赤ちゃんは発達途上なので軌道修正をしやすいといえます。

3. 理学療法(PT)

運動発達を促す訓練が中心ですが、呼吸障害や骨や関節の変形・拘縮(自由に動かせず固まってしまうこと)を改善する援助をします。

発達に応じて、自分で姿勢を変えられるようにしたり、マットやバランスボールでバランス感覚を身につけられるような訓練を行います。

筋力強化やストレッチ、バランストレーニングなどの運動療法が中心となります。

また、日常の生活をよりよく送るための装具や車いす・座位保持装置などの助言もします。

ボパーズ法、ボイタ法など、訓練のやり方は施設によって違います。

4. 作業療法(OT)

日常生活を送る上で必要な体の機能、とくに手の発達を促すための訓練をします。

運動発達の遅れのある子は、指先などのこまかい動きが苦手で、いわゆる「不器用な子」が多いです。

その子の発達に応じて、ものをつかむ、動かす、小さなものをつかむ、ひもを結ぶなど日常生活に必要な動作を身につけることが目的です。

5. 言語聴覚療法(ST)

社会生活を送るうえで、コミュニケーションはとてもたいせつです。

言葉を理解する、話すといった訓練を行います。

脳性麻痺の状態により、言語聴覚療法のメニューは異なります。

7. 運動発達の遅れで障害者手帳は発行できるの?

脳性麻痺などの症状がある場合、障害者手帳を交付してもらえる可能性があります。

脳性麻痺の症状の重さにより、等級も異なります。

申請できる条件もあるため、病院の先生や市町村の役所で確認をおこないましょう。

8. 先輩ママの「うちの子の運動発達の遅れ体験談」

埼玉県・1才9ヵ月の女の子のママより

わずか966gの超低出生体重児で生まれた娘は、生後間もなく脳内出血を起こし水頭症を併発、左半身不全マヒの障害が残りました。

ミルクの飲みが悪く体重が増えない、不全マヒの影響で寝返りが打でない、左手でものを持てないなど山のような不安を抱えて退院。

毎日のリハビリでは娘は大泣き、私も見るのがつらくて……しかし、頑張っている娘を見ているうちにだんだん勇気がわいてきました。

ちょうどそのころ、リハビリの効果もゆっくりとですが、表れてきたのです!

時間をかけてできるようになったそのときの喜びは、何倍にもなりました。

娘は今、1才9ヵ月。

おすわりも上手になり、左手でものをつかめるようにもなりました。

はいはいやつかまり立ちはまだですが、あせらずに成長を見守っていきたいと思います。

引用元:脳内出血で不全マヒが残った愛娘、ゆっくり成長中

埼玉県・2才の男の子のママより

2才の息子は脳性マヒとてんかんの障害を持ち、寝たきり全介助です。

「たまたま早く生まれただけで、ほかの子と同じように育っていく」と信じていたので、障害の告知を受けたときは「私には障害児は育てられない!この子を殺して私も死んでしまいたい」とさえ思いました。

一緒に過ごしていく中で、やはりわが子、とても愛らしい存在となっていきました。

また、家族や担当医に支えられ、障害のあるお子さんを育てているご家族に勇気づけられてきました。

「この子がたくさんのことを教えてくれる。たくさんの人と出会わせてくれる」という担当医の言葉が忘れられません。

そしてこの子から小さな幸せをたくさんもらっています。

引用元:寝たきりの息子からたくさん幸せをもらっています