赤ちゃんの先天性代謝異常症とは?原因・症状・治療・ケア・体験談

1. 先天性代謝異常症はこんな病気

私たちの体は代謝という活動により、体の機能を維持し成長する、成長や排泄を行います。

その代謝を行うためには、酵素と呼ばれるタンパク質が必要となり、体内では5,000種類ほどあるといわれています。

しかし、遺伝子の病的な欠陥により、酵素の生産能力が著しく低下、または生成できないことがあります。

先天的に酵素が作れず、体の維持に必要な代謝ができない病気を、先天性代謝異常症といいます。

先天性代謝異常症による病気や症状は、数百種類あります。

2. 先天性代謝異常症の原因

先天性代謝異常症が起きる原因は?

多くは親から先天性代謝異常症を引き起こす、劣性遺伝を子どもが引き継ぐことで発症します。

親は劣性遺伝を持っていても病気を発症しない、保因者の場合もあります。

また、生まれてくる子どもの性別や、先天性代謝異常症の種類により、

  • 病気の遺伝子を持たずに健康に生まれる
  • 健康でも病気の遺伝子を持つ保因者となる
  • 病気を発症する

などさまざまです。

先天性代謝異常症の完治は可能なの?

遺伝子が原因のため、現時点では完治するのが難しい状況です。

ただし、治療方法が確立されているものであれば、治療により病気の症状を抑える、遅らせることも可能です。

先天性代謝異常症の症状はいつ出るの?

病気の種類や症状の重さにより変わります。

生まれつき症状がはっきりと出るものもあれば、ほとんど無症状のまま生活できる場合もあります。

ほかにも成長するにつれて、症状があらわれるものまでさまざまです。

先天性代謝異常症の種類は?

生成できない酵素の種類により、大きくわけて10種類ほどあります。

10種類ほどあるうちの一例として、アミノ酸代謝異常、糖質代謝異常、脂質代謝異常などがあります。

また、アミノ酸代謝異常が原因による病気はさらに増えて、30種類ほどあります。

先天性代謝異常症が原因で発症するすべての病気を出すと、数百種類におよびます。

3. 先天性代謝異常症の発見方法

出生して1週間前後で行う、新生児マススクリーニングでいくつかの先天性代謝異常症を発見できます。

新生児マススクリーニングは、先天性の病気を発見する方法で、血液検査で行います。

すべての先天性代謝異常症は発見できるの?

残念ながらすべての先天性代謝異常症の病気を、新生児マススクリーニングで発見できません。

新生児マススクリーニングで発見できる、先天性代謝異常症による病気は以下になります。

  • フェニルケトン尿症
  • ホモシスチン血症
  • メープルシロップ尿症
  • ガラクトース血症
  • 先天性甲状腺機能低下症
  • 先天性副腎過形成症

タンデムマススクリーニングについて

新生児マススクリーニングは発見できる病気に制限がありました。

そこで2014年にタンデムマススクリーニングが導入されました。

新生児マススクリーニングの検査項目とあわせて、16〜22種類と検査項目が増えました。

これにより、先天性代謝異常症の病気をより発見できます。

しかし、すべての病気を発見できず、また自治体により検査項目が異なります。

先天性代謝異常症を発見したら

新生児マススクリーニングで見つかる病気は、早期発見して早期治療をすれば発症を防止できる、症状を軽くすることもできます。

まずは病院の先生の指示をもらいながら、適切な治療を行うことがたいせつです。

4. 代表的な先天性代謝異常症の病気と治療法について

先天性代謝異常症による病気は数百種類になるため、すべてを紹介することはできません。

そこで新生児マススクリーニングで発見できる、代表的な6つの先天性代謝異常症の病気と治療法を紹介していきます。

1. フェニルケトン尿症

原因や症状

アミノ酸の代謝異常で起こる病気です。

アミノ酸の一種である、フェニルアラニンが代謝で消化されず体内にたまります。

たまったフェニルアラニンが尿に混じる病気です。

フェニルアラニンが体内にたまると、知能障害、脳波の異常、けいれん、髪の毛や皮膚の色が薄くなります。

8万人に1人の割合で起きます。

治療法

フェニルアラニンの摂取を制限する食事を行います。

フェニルアラニンは、おもに肉、魚、大豆、卵などのタンパク質に多く含まれます。

そのため、低タンパク食品を取る必要があります。

赤ちゃんの場合には、フェニルアラニンを含まないミルクを飲ませます。

2. ホモシスチン尿症

原因や症状

アミノ酸を代謝するために必要な酵素が、生まれつき欠損しているために起こる病気です。

治療をしないと、視力低下や緑内障、骨粗しょう症といった症状が起こります。

また、1歳になると、知能障害や精神障害、てんかんといった症状が出ることもあります。

19万9900人に1人の割合で起きます。

治療法

赤ちゃんの場合には、アミノ酸の一種である、メチオニンを除いたミルクを飲ませます。

また、タンパク質の取得を制限した食事を取る必要があります。

血液内にあるホモシスチンの濃度を下げるため、ビタミンB6、B12、葉酸を摂取する方法もあります。

3. メープルシロップ尿症

原因や症状

アミノ酸を代謝するために必要な酵素が、生まれつき欠損しているために起こる病気です。

尿や汗からメープルシロップのようなにおいが出ます。

出生後からすぐに症状があらわれ、元気がない、哺乳力の低下、不機嫌になる、嘔吐といった症状が出ます。

60万人に1人の割合で起きます。

治療法

アミノ酸を制限したミルクや食事を取ることで治療します。

4. ガラクトース血症

原因や症状

糖質の代謝異常で起こる病気です。

糖の成分であるガラクトースの代謝が行われず、体内にたまっていく病気です。

哺乳力の低下、嘔吐、下痢の症状が出ます。

症状が進行すると、白内障や敗血症、髄膜炎などの症状が出ます。

3万6200人に1人の割合で起きます。

治療法

食べ物にガラクトースの入っていない食事を取ります。

ガラクトースは、乳製品や大豆製品、母乳などに多く含まれます。

赤ちゃんにはガラクトースの入っていない、ミルクを与えます。

5. 先天性甲状腺機能低下症

原因や症状

ホルモンの内分泌の異常で起こる病気です。

甲状腺は喉仏の周辺にある、生命を維持するのに必要なホルモンを生成しています。

ところが、先天性甲状腺機能低下症により、甲状腺でホルモンや酵素が作れません。

黄疸が続く、哺乳力の低下、元気がない、手足が冷たい、便秘や体重が増えない、といった症状が出ます。

赤ちゃんが成長すると、発育障害や知能障害があらわれます。

治療法

チラージンSと呼ばれる、甲状腺ホルモンを補う薬を飲むことで治療します。

6. 先天性副腎過形成症

原因や症状

副腎皮質ホルモン、いわゆるステロイドやコルチゾールなどの生成が低下することで起こる病気です。

副腎は腎臓の上にある、小さな臓器です。

血圧や血糖値を上げるなど生命を維持する、男性や女性の性を維持するのに必要なホルモンです。

副腎皮質ホルモンの分泌が低下すると、哺乳力の低下、元気がない、体重が増えないといった症状が出ます。

女性の場合、女性器が男性器のようになる症状が出ます。

治療法

症状の状態を見ながら、不足しているホルモンを薬で補うことで治療します。

女性器の形成に異常がある場合、手術して元の形状に戻します。

5. 先輩ママの「うちの子の先天性代謝異常症体験談」

娘さんを持つめるちるママより

2014年3月20日に生まれた、娘の第3子。

名前は「乃々華」に決まりました。

「もう3人目だからお手のもの」のようですが、退院後の一週間、「ガラクトース血症」という言葉にかなり悩まされました。

先天性代謝異常の血液検査に2回ひっかかり、昨日(3月31日)広島大学病院で3回めの検査を受けたのです。

「ガラクトース血症の値に異常が・・・」と聞いた時には、まず「何それ?」から始まり、即ネットで検索。

不安材料が先走る情報ばかりで、暗い数日を過ごしました。

そして昨日広大病院で検査を受け、数値的には心配することはないとの説明を受けて立ち込めていた暗雲がさっと消え、目の前がパーッと晴れ渡りました。

ただし、良性の血管腫が見つかったので、経過観察のために病院に通うことになりました。

良性の血管腫は1、2歳になる頃には自然消滅するのが一般的ということで、通院も消滅を確認するまでということになります。

引用元:「ガラクトース血症」小さな身体で再々検査