小児がん(白血病・脳腫瘍・その他)とは?原因・症状・治療・体験談

1. 小児がんはこんな病気

子どもがかかる癌の総称

小児がんは、子どもがかかるいろいろな癌の総称です。

白血病や悪性リンパ腫を除くと、大人にはみられない種類が多いです。

主な小児がんは、以下の通りです。

白血病

白血病は、血液のがんの一つです。

血液細胞をつくる過程で、白血病細胞というがん化した細胞が発生・増殖する病気です。

小児がんの約40%を、白血病が占めています。

脳腫瘍

頭蓋骨の中に、腫瘍ができる病気です。

子どもに多いのは、「グリオーマ(神経膠腫)」や「胚細胞腫瘍」「髄芽腫」などです。

脳腫瘍は、小児がんの約20%を占めます。

神経芽腫

「神経芽細胞腫」とも呼ばれ、交感神経細胞ががん化する病気です。

腎臓の上にある副腎やその周辺、背骨のわきにある交感神経節から発症することが多いです。

ごくまれに、胸や首の交感神経節から発症することもあります。

悪性リンパ腫

悪性リンパ腫は、リンパ組織から発症するがんのことをいいます。

細菌やウイルスの排除など、免疫機能を司るリンパ節や脾臓、骨髄、扁桃、胸腺などのリンパ組織から発生します。

リンパ組織は体全体に及んでいるので、全身のあらゆる部分から発症する可能性があります。

ウィルムス腫瘍(腎芽腫)

子どもの腎臓に、腫瘍ができる病気です。

ママのお腹にいる時に、腎臓のもととなる胎児性細胞で形成された腫瘍で、そのほとんどが乳幼児期に発症します。

2. 小児がんの原因

医学的には解明されていない

小児がんが発症する原因については諸説あり、不明なことも多いです。

現在、原因として考えられているのは、以下の通りです。

遺伝的要素

子どもが免疫不全症や神経線維腫症といった遺伝性疾患を持っている場合、ある種の小児がんが発症しやすいことがわかっています。

そのため、特有のがん遺伝子やがん抑制遺伝子の異常が、一部の小児がんの原因と考えられています。

ママが遺伝性の小児がんだった場合は、生まれてくる赤ちゃんも、将来がんを発症するリスクが高くなる可能性があるそうです。

先天性の細胞異常

胎児期からすでにがんを持っていて、生まれてから発症するのは、先天性の細胞異常が原因です。

先天性白血病や先天性神経芽腫が、これにあたります。

ダウン症や先天性無虹彩症の子どもは、ある種のがんの発生率が高くなります。

高齢出産

高齢出産すると、ダウン症の子どもが生まれる確率がアップします。

ダウン症の子どもは、他の子どもと比較すると、がんの発症率が高く、小児がんになる確率も上がります。

被ばく

放射線によって被ばくすることも、小児がんの原因になります。

ママが妊娠中に被ばくすることで、生まれた後に小児がんを誘発することがあるそうです。

3. 小児がんの症状は?

小児がん全般にみられる症状

小児がんといっても種類があるため、症状の出方には違いがあります。

まず、小児がん全般にみられる症状を、まとめておきましょう。

  • 原因不明の発熱(必ずしも高熱ではない)
  • 頭痛(嘔吐を伴うこともある)
  • 骨や関節の痛み

病気別にみられる症状

小児がん別に、みられる症状もまとめておきます。

白血病

鼻血がなかなか止まらない、風邪をひきやすい、発熱、貧血などの症状がみられます。

脳腫瘍

頭痛や吐き気・嘔吐が長く続く、物が重なって見える、視力が低下するという症状が起こります。

転びやすい、鉛筆や箸が持てなくなるという症状が、みられることもあります。

神経芽腫

神経芽腫には、特有の症状がありません。

なぜだか元気がない、食欲不振が続く、横になりたがる、原因不明の発熱、腹部の腫れ、四肢の痛みなど、他の病気でみられる症状があらわれることがあります。

その場合は、骨やリンパ節に転移している可能性が高いです。

悪性リンパ腫

悪性リンパ腫は、痛みを伴わないので、自覚症状に乏しいです。

家族や本人が患部の腫れに偶然触ることで、見つかることが多いそうです。

悪性リンパ腫が進行すると、発熱や寝汗、体重減少が起こります。

ウィルムス腫瘍(腎芽腫)

ウィルムス腫瘍(腎芽腫)は自覚症状がほとんどなく、家族や本人が腹部のしこりや腫れに触れることで、気づくケースがほとんどです。

進行すると、不機嫌になる、顔色が悪い、便秘あるいは下痢、嘔吐がみられることもあります。

4. 小児がんの治療方法は?

治療方法はさまざま

小児がんといっても、年齢やどこに発生したか、進行具合によって、治療方法が異なります。

基本的には大人と同じで、「手術での治療」「薬物療法」「放射線治療」を組み合わせた治療が行われます。

手術での治療

脳腫瘍や神経芽腫、ウィルムス腫瘍(腎芽腫)については、がんを切除する手術が行われます。

白血病や悪性リンパ腫といった血液のがんの場合は、血液細胞をつくるもとになる、造血幹細胞を移植する手術を行います。

薬物療法

薬物治療は、抗がん剤の投与が基本です。

抗がん剤はがん細胞の分裂と増殖を抑える薬ですが、正常な細胞にも作用してしまいます。

そのため、副作用が出ることが多いです。

ですが、小児がんは大人のがんに比べて、薬物治療の効果が高いです。

白血病や悪性リンパ腫の場合は、薬物治療で寛解することもあります。

放射線治療

放射線治療とは、がんとその周辺に放射線をあてる、局所治療のことをいいます。

手術とは違い、臓器を温存できる治療方法です。

ですが、薬物療法と同じように、副作用が出ることが多いです。

放射線を照射した部分の皮膚に日焼けのような症状があらわれる、その部分が脱毛するなどです。

その他にも、口内炎や吐き気、下痢、倦怠感があらわれることがあります。

5. 小児がんのホームケア

日常生活で気をつけたいこと

小児がんでも、治療がない時期は家庭で過ごすことになります。

そのため、気をつけたいポイントをまとめておきます。

感染予防を徹底する

薬物治療中あるいは終わったばかりの子どもは、体の免疫力が低下しています。

細菌やウイルスに感染しないよう、手洗いとうがいを徹底し、外出する時にはマスクを着用させましょう。

食事は食べられるものを

小児がんの治療を終えて退院した後は、お医者さまの指示さえ守れば、食事制限をすることはありません。

ただし、治療で体力を消耗し、食欲が落ちることがあります。

その場合は、食べられるものを少しずつ食べさせたり、エネルギーが高いものを少量与えるなど、工夫しましょう。

味覚異常が起きている時には、味を濃いめにしたり、酸味のあるものを食べさせてあげましょう。

口内環境に注意する

薬物療法や放射線療法を行うと、口内炎ができやすくなります。

その場合は、刺激物や塩分の強いものは避け、体温に近い温度の食べ物を、食べさせてあげましょう。

また、薬物療法や放射線療法の後、口内が乾燥する子どももいます。

その場合は、こまめに水分補給させたり、うがいの回数を増やしてあげましょう。

腸の動きにも注意する

小児がんの治療後、便秘や下痢が起こることがあります。

小児がんの症状や治療方法によって対応が変わりますので、すぐにお医者さまに相談しましょう。

症状に対するホームケア

小児がんによって出る症状のケア方法を覚えて、実践してあげましょう。

吐き気

吐き気がみられる時には、体を締め付けない服を着せる、匂いの強いものを子どもから遠ざける、こまめに換気するのがおすすめです。

下痢

脱水症状が起こらないように、水分補給をさせましょう。

肛門がただれることもあるので、その場合はお医者さまに相談してください。

便秘

便秘の時には、お腹を時計回りにさする、便意がある時にはすぐにトイレに連れて行くようにしましょう。

貧血や出血

子どもが貧血気味の時には、部屋で安静に過ごさせましょう。

出血は予防が肝心なので、爪をこまめに切るなど、傷をつくりにくいようにケアすることが大事です。

しびれ

体にしびれを感じていると、痛みに対する感覚が鈍くなりがちです。

ぶつけたり、傷をつくったりしないよう、注意してあげましょう。

脱毛

薬物治療の後、脱毛してしまう子どもは少なくありません。

頭皮が刺激を受けないように柔らかい帽子をかぶせたり、薄く髪が生えている場合には、髪を洗う時に力を入れすぎないように注意してください。

皮膚炎

放射線治療の後、照射した部分が皮膚炎になった場合は、患部をこすらないよう、刺激のない生地の服を着せてあげましょう。

入浴時に体を洗う時も、力を入れずに、やさしく洗うのが基本です。

倦怠感

子どもが倦怠感を訴える時には、リラックスさせることが大事です。

散歩に連れて行く、好きなことをさせる、水分補給をさせるなど、気持ちがほぐれそうなことを、試してあげましょう。

6. 先輩ママの「うちの子の小児がん体験談」

2才7ヵ月の女の子・M・Nさんより

ある夜更け、娘が「いたい、いたい」と言って泣き出した。

足の甲のあたりを指さすが、見たところ腫れもなく、原因もわからない。

そのまま様子を見ながら朝を迎えると、娘は足が痛くて立つことができず、微熱もある。

総合病院の整形外科に連れて行き、検査をしたが、レントゲンでは異常がない。

3日後には歩けるようになったものの、初めて足を痛がった日から1週間後に同じ症状が出て、熱が38度5分に。

別な病院に連れて行ったところ、骨髄検査を行った結果、急性リンパ性白血病と診断され、化学療法を受けた。

脱毛したり、感染の疑いで発熱したり、肝機能が悪化することもあったが、治療は順調に進み、退院することができた。

それから1年9カ月、娘は元気に幼稚園に通っている。

引用元:体験記~あの笑顔をとり戻すまで~