赤ちゃんの先天性難聴とは?原因・症状・治療・ホームケア・体験談

1. 赤ちゃんの先天性難聴とは?

先天性難聴は、内耳や中耳の形成に問題があるため、生まれつき音を認識できない病気です。

聞こえにくさの程度は、病気により違います。

先天性難聴は言葉の発達を遅らせる

赤ちゃんは、耳で母親や家族の言葉を繰り返し聞くことで、自然と言葉を習得していきます。

そのため成長過程では、まだ言葉を話せなくても、簡単な単語(いいよ、だめ、ちょうだいなど)を理解するようになります。

先天性難聴の場合は、耳に入る音の刺激がないため、言葉の発達に遅れが生じやすいです。

音を理解する耳の機能とは

音はまず耳介に集められます。

音は振動となって、外耳道から鼓膜、耳小骨のある中耳を通ります。

内耳から神経を通じて、脳の大脳皮質に伝わることで音を理解しています。

難聴の種類は以下の2つと考えられます。

伝音難聴

外耳や中耳のどこかにトラブル(耳垢や滲出性中耳炎)があるので、耳の奥の神経まで音がうまく伝わらない難聴です。

神経自体は働いているので、薬や手術など治療での改善が可能です。

感音難聴

神経に何か問題があるために、音が伝えられない難聴です。

急性で発症した以外では、根本的な治療法はありません。

先天性難聴の多くは、この感音難聴です。

難聴を持つ人の中には、混合性難聴という、伝音難聴と感音難聴の両方が原因となる場合もあります。

両方の耳が一定以上の感音難聴の場合、気づかないで放置してしまうと音の刺激が全く入りません。

2. 先天性難聴の原因

先天性難聴の赤ちゃんは、1000人に2~3人といわれていて、先天性の中では、発症割合が高い病気の1つです。

先天性難聴の原因としては、1500g未満の低出生体重児、新生児重症黄疸、家族内難聴者(遺伝)の他に胎児のウイルス感染もあります。

ウイルス感染では風疹が最も有名ですが、最近ではサイトメガロウイルス(ヘルペスウイルスの仲間)の感染が注目されています。

しかし難聴の中には、原因が特定できないものもあります。

後天性難聴とは

後天性難聴の原因は、滲出性中耳炎や、おたふくかぜなどのウイルス感染の後遺症です。

おたふくかぜは片側だけ腫れることが多いので、気づきにくいものです。

症状に気付いたら、早めに病院へ受診することが大切です。

3. 先天性難聴に気づくきっかけと症状

1. 新生児聴覚スクリーニング

出産時に、病院で行う新生児の聴覚スクリーニングです。

検査方法は自動聴性脳幹反応(AABR)とスクリーニング用耳音響放射(OAE)の二種類あります。

以前は言葉を話せないことで難聴を疑ったので、発見できる年齢は平均1.8才でした。

今はスクリーニングを行うことで、難聴の早期発見に役立っています。

赤ちゃんに負担をかけずにできる検査ですが、費用の全額を自己負担、検査結果は100%ではない、検査をするのかは保護者の任意なので、検査の普及率は全国で約65%と決して高くはありません。

早期発見に役立つので、よりいっそうの理解と普及が望まれています。

2. 大きな音やママの声に反応しない

生後3ヶ月を過ぎる頃から、赤ちゃんは「音」を認識しはじめます。

大きな音にびっくりしたり、音のする方を見ようとしたりと、音に反応するようになります。

そのため、大きな音やママの声に反応しないと難聴の可能性があります。

3. 1才半を過ぎても意味のある言葉が出ない

個人差はありますが、1才半を過ぎる頃には「マンマ」「わんわん」といった意味のある言葉(単語)を話せるようになります。

音への反応や言葉の発達は個人差が大きいので、いつ頃までに話せるようになるか決まっていません。

しかし、耳の聞こえに心配があるときは、かかりつけ医や乳幼児健診の時に相談をしてください。

乳幼児健診の場合、聴覚チェックは1才半、3才児検診が主ですので、普段の生活で気になる時は早めに病院を受診しましょう。

難聴は1才までに発見をして、早めの療育を始められることが言葉の発達には大切とされています。

4. 先天性難聴の検査

精密検査を受けることで、難聴の程度がわかります。

検査ができる施設は限られていますので、かかりつけ医や保健センターで紹介してもらいましょう。

難聴の段階は以下となります。

  • 強度難聴(90db以上・電話のベルが聞こえない)
  • 高度難聴(70db~90db・耳元の大きな声は聞こえる)
  • 中等度難聴(50db~70db・大きな声が聞き取れる)
  • 軽度難聴(30db~50db・ささやき声が聞き取りにくい)

5. 赤ちゃんの難聴の治療とホームケア

難聴の種類、原因、程度などによって違いますが、治療方法には薬物療法、手術、療育があります。

1. 薬物療法

胎児がサイトメガロウイルスに感染した場合は、出産直後に抗ウイルス薬での治療が可能なこともあります。

2. 手術

人工内耳(内耳に電極を挿入する手術)は1才6か月以上で、療養と補聴器では音をきちんと聞き取れない場合に手術となります。

伝音難聴(外耳道閉鎖や中耳奇形の場合)は10才以上で可能となります。

手術では耳の後ろを切開して、鼓膜や耳小骨の修正をします。

3. 療育

療育とは障害のある乳幼児や児童に対して医学的な診断、評価、個別指導を行う支援です。

感音難聴には有効な治療法がほとんどありません。

そのため、音楽療法、聴覚訓練と言葉の訓練が必要になります。

手術をしても効果がないときの伝音難聴も、同様です。

生後6ヵ月以前から補聴器をつけて訓練を始めると、療育の効果がより上がるといわれています。

高度難聴のときは、2才ぐらいで人工内耳を埋め込んで聴覚訓練をすることもあります。

4. ホームトレーニングとは

わが子が難聴だとわかり、戸惑ってしまうのは、どの保護者も一緒です。

しかし難聴は、早い発見と治療、そして保護者の接し方が、言葉を習得するには何より大切です。

保護者が、難聴を持つ子どもをどのように育てたいのか勉強することが、ホームトレーニングです。

ホームトレーニングによって難聴を理解することが、保護者の不安解消にも役立ってます。

5. 音楽療法

音楽は耳で聞くだけでなく、振動を体全体で感じることができます。

個人ではなく集団で行うので、ほかの子どもたちと一緒に過ごすことで、コミュニケーションの楽しさも知ることができます。

5. ホームケアのポイント

先天性難聴は、何より早めの発見が大切です。

出産後の聴覚スクリーニング検査は、自己負担となりますが、もしものために是非受けてください。

先天性難聴の場合、言葉の発達を遅らせないために、生後6か月頃から適切な治療を始めましょう。

6. 赤ちゃんの聴覚検査の種類と解説

1. 耳音響放射(OAE)

特殊な音の刺激に対する内耳の反射を見る検査です。

生後まもなくでもできますが、耳あかが詰まっている、赤ちゃんの機嫌が悪いなどの場合は結果が正しく出ないことがあります。

2. 自動聴性脳幹反応検査(AABR)

35dBの非常に小さな音を聞かせ、脳波の反応から聴覚神経に問題があるかどうかを調べます。

眠った状態で検査するので生後直後の赤ちゃんでも検査できます。

3. 聴性行動反応聴力検査(BOA)

赤ちゃんの後ろから、太鼓や笛などで音を出して、驚いたり振り向いたりする反応を見ます。

4. 紙もみ検査

赤ちゃんの耳元で、紙をくしゃくしゃもんで反応を見ます。

6~7ヵ月ごろから可能な検査で、耳の聞こえを左右別々に確認するのに適しています。

5. 絵カード検査

犬や猫、傘などのわかりやすい絵を描いたカードを並べ、検査員が一つずつ絵の名前を読み上げ、その絵を指をさすことができるかどうかを見ます。

3才前後にならないと、正確に検査できませんが、幼児健診で行われることが多い方法です。

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6. 先輩ママの「うちの子の難聴体験談」

神奈川県・1才7ヵ月の男の子・タケママより

産院入院中の新生児の聴覚検査で、聴覚の反応に問題があるとのことで、総合病院を紹介されました。

専門の耳鼻科で検査後、やはり難聴だろうとの診断で、定期受診しています。

初めは「なぜ、うちの子が...」という思いで先のことは考えられませんでしたが、同じ病気を持つ子のママとも知り合い気持ちも少しずつ切り替わりました。

今後もできるだけのことをしていくつもりです。

週2回のリハビリを続けています。

引用元:新生児聴覚検査で難聴と判明。定期受診しています。