赤ちゃんの新生児メレナとは?原因・症状・治療・ホームケア・体験談

1. 新生児メレナってどんな病気?

生後数日の新生児の消化器官などで、出血が起こる病気です。

「真性メレナ」「新生児ビタミンK欠乏出血症」と呼ばれることもあります。

近年は新生児メレナの予防法が確立されており、国内での発症率は年間十数件にとどまっています。

2. 新生児メレナの原因

ビタミンKの不足

最大の原因は、ビタミンKの不足です。

ビタミンKは胎盤を通過しにくいので、多くの赤ちゃんはビタミンK不足の状態で生まれてきます。

ビタミンKが不足すると、血液が固まりにくくなる

ビタミンKには、血液を固める作用があります。

そのため、ビタミンKが不足すると血液が固まりにくくなります。

ある程度成長すれば、腸内細菌によって必要量の約1/2のビタミンKが合成されます。

しかし新生児の腸には腸内細菌がほとんどいないので、体内でビタミンKを作ることができません。

赤ちゃんの消化器官は傷つきやすい

新生児の消化器官は傷つきやすく、ちょっとした刺激でも出血することがあります。

ビタミンK不足で血液がなかなか固まらないと、その出血が唾液や便とともに体外に出てしまいます。

その他の原因

ビタミンK不足以外では、分娩時の低酸素状態やストレスなどが原因になることもあります。

3. 新生児メレナのおもな症状

おもな症状

口からの出血

消化器官から出た血液が逆流し、口から茶褐色の血を吐くことがあります。

血便(下血)

生後数日で、便に赤黒い血や茶褐色の血が混じることがあります。

症状が悪化すると、鮮血が混じるようになります。

皮下出血、臍出血

まれに、皮下出血や臍出血(おへそからの出血)をともなうことがあります。

貧血・ショック状態

出血量が多い場合、まれに貧血・ショック状態になることがあります。

発症しやすい時期

新生児メレナが最も発症しやすい時期は、生後1~5日目ごろです。

入院中に発症することが多いので、対処が遅れることは少ないでしょう。

万が一退院後に症状が見られたら、すぐ病院に相談しましょう。

乳児ビタミンK欠乏性出血症

生後半月~2ヶ月ごろに発症した場合、「乳児ビタミンK欠乏性出血症」などと呼ばれて区別されます。

その名の通りビタミンK不足が原因となり、母乳育児の赤ちゃんに多いようです。

頭蓋骨内出血をともなうことが多く、頭蓋骨内出血特有の症状があらわれます。

  • 機嫌が悪くなる
  • 嘔吐
  • 大泉門(額にある頭蓋骨のつぎ目)が張る
  • 顔色が青白くなる
  • けいれん・意識障害

もしこれらの症状がみられたら、すぐに病院で診てもらいましょう。

4. 新生児メレナと間違えやすい症状

仮性メレナ

分娩時の出血を、赤ちゃんが飲み込んでしまうことがあります。

授乳でママの乳首から出血した場合、血液と母乳を一緒に飲み込んでしまうこともあります。

飲み込んだ血液が口から出たり、便に混じって出たりするのが仮性メレナです。

症状は一時的なものなので、治療の必要はありません。

肛門からの出血

新生児のころは、消化器官だけでなく肛門もデリケートです。

下痢などを起こすと、肛門が切れて便に鮮血が混じることがあります。

その他の病気

赤ちゃんの消化器官から出血した場合、新生児メレナ以外では以下の病気が疑われます。

  • 腸重積
  • 腸炎
  • 腸軸捻転
  • 細菌・ウイルスによる感染症
  • アレルギー など

5. 新生児メレナの治療方法

検査方法

血液検査

最初に、新生児メレナか仮性メレナか見分けるための血液検査を行います。

血液中に大人(ママ)のヘモグロビンが見つかれば、仮性メレナと診断されます。

レントゲン撮影・造影検査

次に、レントゲン撮影・造影検査などで消化器官の状態を調べます。

他の病気が隠れている恐れがあるので、出血が起こっている場所と原因を慎重に調べます。

治療方法

点滴などでビタミンKを投与し、出血が多い場合は輸血を行います。

一般的な新生児メレナなら、数日~10日ほどで良くなります。

消化器官の状態によっては、さらに薬物治療や外科治療を行います。

状態が悪い時の薬物治療

制酸薬、胃粘膜保護薬、ヒスタミンH2受容体拮抗薬(潰瘍の薬)などを用いて治療します。

状態が悪い時の外科治療

血小板輸血、胃洗浄、高圧注腸などの処置を施します。

6. 新生児メレナの後遺症はある?

日本国内で新生児メレナを発症した場合、後遺症が残る心配はほとんどありません。

ただし、100%後遺症が残らないという保障はありません。

神経質になりすぎる必要はありませんが、普段から赤ちゃんに異常がないかよくチェックしましょう。

乳児ビタミンK欠乏性出血症の場合

頭蓋骨内出血が起こった場合、半数近くの赤ちゃんに何らかの後遺症が起こると言われています。

ただし現在は治療方法が確立されているので、そこまで病状が進むことは少ないです。

7. 新生児メレナの予防法

入院中にビタミンK2シロップを飲ませる

分娩後~退院までの間に、ビタミンK2シロップを2回飲ませます。

シロップを飲ませる前の発症率は約1/4000、飲ませた後の発症率は1/16000~1/20000になります。

1回に飲ませるシロップの量はごくわずかなので、副作用の心配はありません。

1カ月検診までに、再度シロップを飲ませる

生後半月~2ヶ月ごろに起こる乳児ビタミンK欠乏性出血症は、新生児メレナより重症化しやすいです。

これを防ぐため、1カ月検診までにもう一度ビタミンK2シロップを飲ませます。

母乳育児のママは、食事内容に気を配る

母乳は栄養豊富ですが、ビタミンKだけは不足しやすいという特徴があります。

赤ちゃんのビタミンK不足を防ぐため、ママがビタミンKの多い食材を積極的に摂る必要があります。

なお、粉ミルクにはビタミンKが含まれているのでそれほど心配いりません。

ビタミンKの多い食材

  • 小松菜
  • モロヘイヤ
  • しそ
  • 春菊
  • ほうれん草
  • 納豆(ひきわり納豆が特に多い)
  • 海藻類 など

質のいい母乳を出すためには、和食中心の食生活がよいと言われています。

これらの食材は和食メニューにも使いやすいので、積極的に摂りましょう。

サプリメントの飲み過ぎに注意!

現在のところ、ビタミンKの摂取上限量は特に定められていません。

栄養バランスのとれた普通の食生活を送っていれば、過剰摂取になる心配はないでしょう。

ただし、サプリメントなどで無茶な摂り方をすると新生児黄疸のリスクが高くなります。

妊娠中からできる対策

新生児メレナの発症リスクを下げるには、妊娠中からビタミンKを積極的に摂ることも大切です。

栄養バランスの偏りに注意しつつ、さまざまな食材からビタミンKを摂りましょう。

また、妊娠後期に赤ちゃんが新生児メレナになりやすいかどうか検査することもあります。

8. 新生児メレナに関する体験談

神奈川県・10ヵ月の女の子・ちびはなちゃんママより

生後14時間のことです。飲んだミルクを吐いてしまい、そこに血が混じっているのを看護師が見つけてくれました。

すぐ胃洗浄をしても出血が止まらなかったため、娘だけNICUのある病院に転院しました。

ビタミン剤を投与して、症状が落ち着くまで3日かかったそうです。

私も入院中なので、娘の様子がまったくわからず、情緒不安定で体も精神的にもつらかったです。

10日後に、娘は元気に退院できました。

引用元:吐いたミルクに血が!新生児メレナで転院。ヤキモキしました

みなみさんより

赤ちゃんこれから血液検査しますねと言われ、聞き慣れない病名に焦りましたが、「欠乏しているビタミンKを補う点滴をし、また採血して戻っていれば問題なく一緒に退院できますよ」と言われ安心しました。

それから、3日間点滴をして、退院直前の検査で問題がなかったため一緒に退院することが出来ました。

一ヶ月検診も何も異常ありませんでした。

引用元:赤ちゃんが生後2日目に吐血。「新生児メレナ」という珍しい病気でした。