
1. 尿路奇形はこんな病気
尿の通り道(尿路)の構造や器官に異常がある病気です。
赤ちゃんが何度も尿路感染症を繰り返す場合、尿路奇形の疑いがあります。
尿路奇形は先天性が多く、重症の場合には手術する必要もあります。
尿路とは
尿が通る器官や管の総称を指します。
尿路に該当する部分は下記になります。
- 腎臓
- 尿管
- 膀胱
- 尿道
尿は、腎臓から尿管を通して膀胱に流れます。
そして尿道を通り尿が外に排出されます。
2. 尿路奇形の原因
尿路奇形が起きる理由
遺伝子の異常によるものとされていますが、はっきりとしていません。
遺伝よりも突発的に起こる病気と考えられています。
尿路奇形は自然治癒するの?
尿路奇形の症状が軽い場合、2〜3才までに自然治癒します。
ただし、症状が重い場合には手術が必要となります。
尿路奇形が起こる確率は?
全体の赤ちゃんのうち、0.5〜1.5%といわれています。
3. 尿路奇形のおもな症状
尿路の構造に欠陥や異常があることで、下記の症状があらわれます。
尿路が肥大化して詰まり尿の通りが悪い
尿は腎臓から尿管を通り、膀胱に移動します。
腎臓の中には腎盂(じんう)があり、尿管とつながっています。
この腎盂が肥大化し、尿の通り悪くなります。
尿が作られる腎臓に向かって逆流する
腎臓に尿が逆流しないように、尿管には逆流防止の弁があります。
尿路奇形の影響で、逆流防止の弁の働きが弱くなります。
4. 尿路奇形に関連する病気
膀胱尿管逆流症(VUR)
腎臓でつくられた尿は、尿管を通って膀胱に流れます。
おしっこをするときは、膀胱は筋肉を収縮させ、尿管に逆流しないようにします。
ところが、膀胱尿管逆流症の場合には、尿管の逆流防止の働きが弱くなってしまいます。
結果として腎臓方向に逆流してしまいます。
水腎症
腎臓の中にある腎盂(じんう)が肥大化する病気です。
腎盂が肥大化すると、尿管に尿がスムーズに流れなくなります。
水腎症は重症、軽症のものも含めると200人に1人といわれています。
5. 尿路奇形の治療&ホームケア
尿路奇形の検査方法
赤ちゃんの外見から検査できないため、下記の方法で検査を行います。
- 超音波検査
- MRIやCT検査
- 排泄後膀胱造影検査(VCG)
- 腎盂造影検査(IVP)
妊娠中に尿路器系の検査はできるの?
超音波検査により、腎盂や尿管の大きさを見て確認することができます。
胎児診断技術が発達したことにより、水腎症や重複腎盂尿管などの尿路奇形の早期発見が可能になっています。
生まれてから専門医で早期治療が可能となります。
水腎症の治療の場合
水腎症が軽症の場合、経過観察をして様子をしばらく見ます。
成長とともに自然治癒する可能性が高いからです。
重症の場合は手術をします。
膀胱尿管逆流症の治療
成長とともに自然に治る可能性が高い病気です。
男の子は2才、女の子は3才ぐらいまで様子を見ることが多いでしょう。
腎臓の機能が落ちる心配がある場合、逆流を防止する手術をします。
尿路感染症を防ぐために
水分をたくさん飲ませておしっこを出す、おしっこを我慢させないことがたいせつです。
おむつを変えるとき、赤ちゃんのおしりを拭く場合には、前から後ろに拭くようにしましょう。
尿路感染症が見つかった場合、抗菌薬を一定期間服用します。
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4. 先輩ママの「うちの子の尿路奇形体験談」
静岡県・1才2ヵ月の女の子・みかママより
妊娠7ヵ月のとき、エコーで娘は重複腎盂尿管と診断されました。
N-CUのある病院に転院して出産し、経過を見て手術の予定でした。
成長は順調でしたが、重複している尿管の1本が腫れてきたため、6ヵ月のときに腹腔鏡による手術。
狭窄した尿管をもう1本につなぎました。
その後腫れは治まっていますが、現在も経過観察中です。
7日間の入院では、おっぱいも飲ませることができましたが、ベッドのスペースで遊ばせたりするのが大変でした。
引用元:妊娠中に判明した尿路奇形。様子を見ながら6ヵ月で手術
5才の男の子・りーママさんより
5歳の長男が、この病気とわかったのは4ケ月の時でした。
尿路感染を繰り返し、ほぼ1ヶ月病院ですごしました。
膀胱造影の検査で右側が5度左側が4度と、医師から告げられましたが、まだ自然に治る可能性があるとゆう事で年に1回の検査とケフラールを飲み続けて様子を見るとの事でいました。
それから検査に行っても本人が抵抗するため、思うように検査ができずに、2年ほどたった去年の夏ごろから不明熱を繰り返しはじめ、3~4日の入院を繰り返しました。
先月からは、熱を出し1ヶ月小児専門の病院に入院しました。
エコーの検査の結果、右側の腎臓が赤ちゃんの大きさしかない腎機能も低下していると告げられました。25日から検査のために大学病院に入院します。
子供のこと、医療費のこと、不安なことばかりです。
でも、同じ病気の子を持つ親御さんと知り合うようになり、とても勇気付けられました。
今までは、この病気のことを知る人がいなくて今まで誰にも話せずに、どんな病気かもよくわからず悩んでいました。
同じ病気の子を持つ方に出会えてよかったです。
これからどうなるかわかりませんが、みなさんと一緒に頑張っていこうと思います。
引用元:膀胱尿管逆流症のお友達のこと
小学校2年の女の子・ようさんより
私の娘は、今小学2年ですが、小学校入学前に膀胱尿管逆流の診断を受け、ずっとフォローしておりました。
抗生剤とトフラニールとポラキスの内服を続け、自然治癒を期待しておりましたが、とうとう半年前の検査で逆流の程度が変わっていないと言われて、手術をうけることになりました。
12月の10日に手術です。
しかし半年前の検査なので、その後もしかしたら自然治癒してるかも・・とか考えて不安になったりします。
また、1年半も薬を飲み続けて治らなかったので、今は抗生剤だけはまじめに飲んでいるのですが、トフラニールとポラキスに関しては、あまり気が進まずに、まじめに飲ませていません・・。
これではいけないのでしょうが・・とにかくもうすぐ手術。
これで治癒してくれることを祈る日々。
また、小さなお腹を見るたびにメスを入れることを考えてせつなくてたまりません。
小さい頃からおもらしばっかりで、親子ともに大変でしたが、なんとか改善してくれたら・・と、それだけが心の支えです。がんばってきます!
同じ病気を持つ子供を持つ親御さん方、頑張りましょう!
引用元:膀胱尿管逆流症のお友達のこと
2才の男の子・ちかさんより
こんばんは。以前、書き込みさせていただいたちかです。
今日2歳の誕生日を迎えた息子は2月3日に逆流防止手術を受けました。
左側のみの逆流でレベルは5。
開腹手術で巨大尿管を細くし、尿管をつなぎかえる手術を行いました。
小さな体にメスを入れなければならないかと思うと本当につらい思いでした。
うちの子の場合は、傷の痛みよりもオチンチンに入っている管の痛みの方が大変でした。
点滴はすぐに漏れてさしかえなければならないし、おなかにも管が入っているし術後一週間はかわいそうでした。
管をすべて抜いてもらってからは、だんだんと機嫌も良くなり経過も良好で術後二週間で退院することができました。
今は元気に走り回っています。
膀胱の機能もあまり良くないと言われており残尿が多かったので朝と晩に2回導尿をしていたのですが、今後導尿しなくてもいいようになるのかが心配なところです。
今、術後は導尿していません。
夜寝ている間はおしっこは出ずに朝起きてたくさん出ます。
ですが日中はホントにごく少量ずつを頻繁にするのです。
こんなおしっこの様子ってどうなんだろう?
自分でちゃんとおしっこができるようになるんだろうか?
2歳ぐらいだとある程度ためておしっこができるものでしょうか?
みなさん教えてください。
まだまだ心配はつきませんが親がゆったりとした気持ちでいないといけないんでしょうね。
今はまず手術が無事終わりホッとしています。
小さな体で本当によく頑張ったと思います。
引用元:膀胱尿管逆流症のお友達のこと