赤ちゃんの心室中隔欠損症とは?原因・症状・治療・ホームケア・体験談

1. 心室中隔欠損症はこんな病気

心臓は中央の縦方向に、心室中隔と呼ばれる筋肉の壁があります。

左側には酸素の含んだ血液、右側には二酸化炭素の含んだ血液が入り込みます。

本来、この2つの血液は混ざらないように、心室中隔があります。

ところが生まれつき、心臓下側の左心室と右心室の間にある、心室中隔に孔が開く病気が、心室中隔欠損症です。

心室中隔の孔の大きさは、数ミリと非常に小さいものから、数センチまでさまざまです。

心室中隔の孔は閉じるの?

孔が5ミリ程度なら多くの場合、2才までに心室中隔の孔が閉じます。

孔が開いたままでも孔が小さければ、日常生活に影響しないこともあります。

ただし、心室中隔の孔が大きい場合、閉じることはありません。

心臓や肺に負担がかかる、細菌性心内膜炎や肺高血圧症などの合併症も引き起こすリスクが高まります。

2. 心室中隔欠損症の原因

心室中隔欠損症になる確率は?

心室中隔欠損症になる確率は、1,000人に対して3人の割合で発症します。

また、心室中隔欠損症は、先天性心疾患の中では非常に多い病気です。

心室中隔欠損症は、すべての先天性心疾患のうち約60%を占めています。

遺伝の可能性はあるの?

遺伝の可能性はないといわれています。

一定の確率で誰にでも起こる、先天性の病気となります。

3. 心室中隔欠損症の症状

生まれて間もない頃は気づきませんが、約1ヶ月後経過した頃から、異変があらわれます。

おもな症状としては、

  • 呼吸が速い、回数が多い
  • ミルクを飲む量が少ない
  • 体重が増えない
  • 元気がない
  • 汗をかきやすい

このような症状があらわれます。

心室中隔欠損症で注意したい合併症

心室中隔欠損症の症状が重いと、以下のような合併症があらわれます。

細菌性心内膜炎

血液の中に流れた細菌が、心内膜や心室中隔の孔の開いた周辺に、巣を作ってしまう病気です。

高熱や倦怠感といった症状があらわれます。

肺高血圧症

心室中隔に孔が開くと、肺動脈に血液が多く流れ込みます。

たくさんの血液が流れこむと、肺の血圧が高くなってしまい、肺の血管が傷つき血液の流れが悪くなります。

肺高血圧症の症状が重くなると、呼吸困難を伴うチアノーゼがあらわれます。

一度肺の血管が傷んでしまうと、修復できません。

早期に手術することにより、肺高血圧症を予防できます。

4. 心室中隔欠損症の診断

おもな診断の方法は下記があります。

心雑音を確認する

心雑音とは心臓から出る雑音のことです。

ザーザーという心雑音が聞こえると、心室中隔欠損症の疑いがあります。

ただし、生まれた直後は心雑音がはっきりせず、乳幼児健診で発見されることが多いでしょう。

視診や問診で確認する

呼吸や脈が速い、息苦しそうな様子を見せている場合です。

また、母親から日々の生活状況を聞いて、心室中隔欠損症の可能性を診断します。

母乳やミルクの飲みが悪い、体重が増えないなどは重要な診断基準となります。

心電図やX線検査などで確認する

心電図のほかに心エコー検査で、心雑音や心拍数などを確認します。

また胸部X線検査で、心臓の形状を確認します。

心室中隔欠損症と判明したら

心室中隔の孔の大きさにより、経過観察をする、手術をするかを判断します。

病院の先生と確認したうえで、早めの治療や対応を行いましょう。

5. 心室中隔欠損症の治療&ホームケア

心室中隔の孔の大きさ、症状の重さ、肺への影響などにより、手術が必要かどうかを含めて、治療方法が変わります。

おもな治療方法は、下記になります。

1. 経過観察

孔が小さい場合、成長するとともに孔が閉じることもあります。

手術治療や薬物療法は行わずに、経過観察を行い、様子を見ます。

ただし、細菌性心内膜炎が起きたときには注意が必要です。

細菌性心内膜炎を予防するために、歯の治療やけが、とびひのときなどは抗菌薬の処方を受ける必要があります。

2. 薬物療法

中程度の場合には自然に孔が閉じることもあります。

薬物療法を取り入れてしばらく経過観察をします。

処方される薬は強心剤があります。

他には、むくみを減らして心臓の負担を減らすため、利尿剤などを使うことがあります。

3. 手術治療

手術の判断基準は?

  • 乳児期の早期の段階で心不全がある
  • 肺高血圧症の心配がある場合
  • 孔が大きく閉じないと判断された場合
  • 孔は小さくても、大動脈弁の変形を起こす恐れがある場合

このような判断基準を元に手術を行います。

手術を行うタイミングは?

生後6ヵ月ごろまでに手術を行うようになっています。

手術の方法は?

全身麻酔を行い、人工心肺で心臓の血流を止めて行います。

心室中隔の孔を合成繊維の布やパッチでふさぎます。

この布は成長とともに体内に同化します。

治療後のホームケア

手術をしない場合には、赤ちゃんの日々の様子を確認しましょう。

万が一、息苦しそうにしている症状が出た場合、早めに病院で診てもらいましょう。

手術後は、細菌感染や不整脈を引き起こすリスクが高くなります。

先生の指導のもと、赤ちゃんの様子を確認し、定期的に診察を行いましょう。

6. 先輩ママの「うちの子の心室中隔欠損症体験談」

北海道・3才6ヵ月の男の子・悠ママより

産院の退院診察の際に、心雑音がわかり、1ヵ月健診で、X線、心エコー、心電図などの検査をしました。

お医者さんは、「心室中隔欠損症です。100人に1人ぐらいは心臓に病気があるのですよ」と言って、図を見せながらどこに孔があって血液がどのように流れているか説明してくれました。

体内に水分がたまると心朧に負担がかかるため、利尿剤を毎日3回服用。

母乳の出があまり良くなく、飲むのに体力を使うため、体への負担を考えて1ヵ月のときミルクに切り替えました。

体重がちゃんと増えるよう願うばかりで、不安でした。

5ヵ月のときに、心カテーテル検査と、孔をふさぐ手術を受けました。

カテーテルは足の大動脈から入れる検査で、90分程度でした。

その10日後に6時間半の手術を受けました。

手術後、先生に「うまくいきましたよ」と言われて、安堵しました。

1ヵ月の入院でした。

手術後は順調で、普段の生活は心配ないのですが、出血した場合には心臓に細菌が入らないように抗菌薬を投与することを注意されています。

体重も増え、成長曲線に乗ってきています。

引用元:心室中隔欠損症のため5ヵ月で孔をふせぐ手術をしました

埼玉県・2才の男の子・かおママより

生後11ヵ月、風邪をひいて小児科を受診したときに、心雑音があると言われ、総合病院で検査を受けました。

その結果、軽度の心室中隔欠損症とわかりました。

最初はどういう状況なのかわからず、本当にびっくりしました。

自然に孔はふさがることもあるから経過を見ましょうとの説明を聞いて、一応納得しました。

薬や手術などの治療はなく、数力月に一度受診するだけで、普通の生活を送っています。

引用元:心室中隔欠損症と言われて最初は目の前が真っ暗に