赤ちゃんの心房中隔欠損症とは?原因・症状・治療・ホームケア・体験談

1. 心房中隔欠損症はこんな病気

心臓の中央は、右側と左側をわける心房中隔と呼ばれる壁があります。

心房中隔があることで、酸素を取り込んだ血液と、体内の二酸化炭素を回収した血液が、混ざらないようになっています。

ところが心臓上部の左右の心房の間にある、心房中隔の壁に生まれつき孔が開いている病気が、心房中隔欠損症です。

酸素を効率よく体内に運ぶことができず、心臓や肺だけでなく、体全体に負担がかかり続けます。

2. 心房中隔欠損症の原因

心房中隔欠損症が起きる割合は?

1,500人に1人に起こるといわれています。

すべての先天性心疾患の約6~10%を占める病気です。

男女比での発症確率は、男性1に対して女性は2となっています。

女性に多く発症します。

心房中隔欠損症は遺伝するの?

両親のどちらかが心房中隔欠損症の場合、子どもに発症するリスクが高まるといわれています。

しかし、現在のところ遺伝が関係しているのか、明確な答えは出ていません。

孔の大きさはどのくらいなの?

孔の大きさは、数ミリから数センチまでさまざまです。

孔が閉じることはあるの?

心内膜の部分に開いた一次孔型の場合、孔は閉じません。

一次孔型以外の二次孔型で、孔の大きさが3ミ未満であれば、成長とともに孔がふさがる場合がほとんどです。

孔の大きさが3〜8ミリであれば、出生後18ヶ月以内に約80%の赤ちゃんが閉じるといわれています。

心房に孔が開くとどんな影響が出るの?

酸素を多く含む血液を、効率よく体に流すことができません。

肺から取り入れた酸素を多く含んだ血液が、体内から回収した二酸化炭素の多く含む血液に流れてしまいます。

車にたとえるなら、燃費の悪い状態となり、心臓や肺、体に大きな負荷がかかります。

一例として、どうきや息切れなどを引き起こします。

治療を放置するとどうなるの?

命に関わることもあるため、早めの治療が必要です。

症状の重さにもよりますが、50歳まで生きられる確率は50%といわれています。

3. 心房中隔欠損症の症状

心房中隔欠損症の症状は乳幼児、そして成人になってから症状が変わります。

乳幼児の場合

以下のような症状があらわれます。

  • 呼吸困難を引き起こす
  • 風邪などの病気にかかりやすくなる
  • 体重が増えない
  • 運動ができない

成人の場合

30歳になるまでに、心臓疾患に関する病気や症状が出ます。

以下のような症状があらわれます。

  • 肺高血圧
  • 心不全
  • 不整脈

40代以降となると、心臓病の兆候が出ることもあります。

心房中隔欠損症が見過ごされることはあるの?

心房中隔欠損症は、心雑音を確認することで判断できます。

しかし、乳児期の場合には心雑音があまりないため、見過ごされることもあります。

幼児期以降になり、学校の定期検診の心電図検査で、はじめて異常が見つかることもあります。

妊娠した女性の場合、心臓に負担がかかることで、呼吸困難や息切れ、どうきの症状が出ることもあります。

4. 心房中隔欠損症の合併症

心房中隔欠損症は、他の合併症を引き起こすリスクが高まります。

おもな合併症は下記のとおりです。

肺高血圧症

左心房の血液が右心房に流れると、肺に流れる血液量が増えてしまいます。

結果として肺の血圧が高くなり、肺を壊してしまいます。

呼吸困難などの症状があらわれます。

三尖弁閉鎖不全症

三尖弁(さんせんべん)とは、右心房と右心室の間にある弁です。

三尖弁は、血流が逆流しないようにする働きを持っていますが、この機能がまったく働かなくなります。

僧帽弁閉鎖不全症

僧帽弁とは、左心房と左心室の間にある弁です。

先ほどの三尖弁と同様に血液の逆流を防ぐ働きを持っています。

三尖弁閉鎖不全症と同様に、僧帽弁の機能がまったく働かなくなります。

心房細動

心房は1分間に60〜100回と規則正しく、収縮と拡張を繰り返し、血液を送ります。

心房細胞は、心房が1分間に400〜600回と、収縮と拡張を来り返してしまう症状です。

不整脈の原因の1つで、どうきや息切れを引き起こします。

5. 心房中隔欠損症の診断

おもな診断方法は下記があります。

視診

乳幼児の場合、呼吸が早く息苦しそうにしている、体重が増えない場合に心房中隔欠損症の可能性を疑います。

聴診

聴診器を用いて、心雑音がないかを確認します。

より正確に確認するため、心電図や心エコー検査を行います。

胸部レントゲン検査

心臓のレントゲン写真を撮り、心臓の状態を確認します。

心房中隔欠損症と確認ができたら

症状の重さにより、経過観察または手術による対応を行います。

6. 心房中隔欠損症の治療&ホームケア

心房中隔欠損症の症状により、治療方法が異なります。

おもな治療方法は、下記になります。

1. 経過観察

心房中隔の孔が小さい場合、成長とともに孔が閉じることもあります。

また、開いたままでも影響が少ないと判断された場合、経過観察でしばらく様子を見ることとなります。

2. 手術療法

人工心肺を使いながら手術を行います。

孔の部分を縫い縮めるか、合成繊維の布でふさぎます。

乳児期のうちに治療する場合、緊急を要する以外であれば、体重が7~8kgを超えるのを待ち、手術を行います。

体重が増えてからの手術には、全身麻酔や人工心肺のストレスに耐えられる、輸血をしないで済むなどのメリットがあります。

3. カテーテル治療

カテーテルを使用して、特殊な栓で心房中隔に開いた孔をふさぎます。

通常、体重が15㎏を超えるのを待ちます。

心房中隔欠損症の多くは、幼児期になってから手術しても問題ありません。

カテーテル治療は手術後の傷がほとんどない、入院期間も短いのがメリットです。

症状によりカテーテル治療には適さない場合もあるため、主治医との相談が必要です。

治療後のホームケア

経過観察の場合、心房中隔欠損症による症状が出ないか、子どもの様子を確認しましょう。

手術を行った場合にも、完全に心房中隔の孔が閉じることができないこともあります。

日常生活に戻って、生活に影響がないかをこまめに様子を確認しましょう。

7. 先輩ママの「うちの子の心房中隔欠損症体験談」

三重県・6ヵ月の女の子・すずかママより

娘は3160g、48㎝で生まれました。

出産後も問題なく、健康そのものだと思っていたのですが、1ヵ月健診で心雑音が指摘され、心エコーの検査の結果、心房中隔欠損だとわかりました。

病名がはっきりして、詳しく説明してもらったため、少し安心できました。

今は小さな孔ですが、成長するに従って大きくなる可能性もないわけではないらしく、心配です。

ただ、生活は普通にしていても大丈夫で、投薬はせずに定期的に検査をしていくそうです。

引用元:心臓に小さな孔が開いている!想像もしなかったのでショック