赤ちゃんの髄膜炎とは?原因・症状・治療・ホームケア・体験談

1. 髄膜炎はこんな病気

脳と脊髄をおおっている髄膜がウイルスや細菌に感染し、炎症が起きる病気です。

髄膜炎は6ヶ月~2歳までの乳幼児に多い病気で、大人が発症するケースは少ないです。

2. 髄膜炎のおもな症状

初期症状はふつうの風邪(感冒)と似ており、初期段階で風邪と見分けるのは医者でも難しいです。

髄膜に炎症が起こることで、次第に髄膜炎特有の症状があらわれます。

1.高熱が続く

38℃以上の高熱が何日も続いてぐったりしているときは、髄膜炎の疑いがあります。

2.頭痛

高熱とともに強い頭痛が続くのも、髄膜炎の症状の特徴です。

3.嘔吐・食欲不振

何度も嘔吐を繰り返します。

食欲が落ち、赤ちゃんの場合は母乳・ミルクの飲みが悪くなります。

4.首が曲がりにくくなる(項部硬直)

あお向けに寝かせて、おへそを見る姿勢をさせようすると痛がります。

無理に曲げようとすると上半身全体が持ち上がり、ひざも曲がります。

ひとりでお座りできる子の場合、首を前に曲げたり振ったりすると痛がります。

赤ちゃんの場合、たて抱きを嫌がります。

5.大泉門が盛り上がる

低月齢の赤ちゃん特有の大泉門(額にある頭蓋骨のつなぎ目)は、触るとへこむのが普通です。

髄膜炎になると大泉門が盛り上がって腫れたようになるので、触るとすぐに異常に気付くでしょう。

6.けいれん、意識障害

からだが硬直し、手足・口・まぶたなどがピクピク動くことがあります。

症状が進行すると意識がもうろうとしたり、眠りがちになったりすることもあります。

7.音や光を嫌がる(音恐怖・羞明)

ちょっとした音や光にも敏感になり、泣くことがあります。

8.甲高い声で泣く

赤ちゃんは言葉で症状を伝えられないので、親が赤ちゃんの様子を見て判断しなければなりません。

いつもと違う甲高い声で激しく泣き続ける場合、頭が痛い・気分が悪いなどのサインかもしれません。

3. 髄膜炎の種類の見極め・検査

髄膜炎は大きく2種類にわかれる

髄膜炎は、「ウイルス性」と「細菌性」の2種類に分かれ、症状の重さや治療法が異なります。

大多数を占めるウイルス性髄膜炎(無菌性髄膜炎)は、比較的症状が軽く予後も良好です。

細菌性髄膜炎(化膿性髄膜炎)は進行が早く重症化しやすいので、慎重に対処する必要があります。

症状を見ただけでウイルス性か細菌性かを診断することは難しく、髄液検査を行って原因を見極める必要があります。

髄液検査とは?

腰に針を刺して髄液を取り、まず炎症の有無をチェックします。

同時に培養検査を行い、どのようなウイルス・菌が原因かを調べます。

炎症の有無はその日のうちにわかりますが、培養検査の結果が出るまでに数日~1週間かかります。

4. ウイルス性髄膜炎(無菌性髄膜炎)

1. ウイルス性髄膜炎の原因

ウイルス性髄膜炎の原因として最も多いのが、夏風邪などを引き起こすエンテロウイルスです。

夏風邪や手足口病の流行とともに、エンテロウイルスによるウイルス性髄膜炎が多くなります。

そのほかに、おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)を引き起こすムンプスウイルスなどが原因となります。

おたふくかぜの流行にともなって、ムンプスウイルスによるウイルス性髄膜炎が多くなります。

2. ウイルス性髄膜炎の治療

髄液検査の結果、髄液が透明でリンパ球が増えていればウイルス性髄膜炎と診断されます。

ウイルス性髄膜炎の多くは症状が軽く、検査時に髄液を取るだけでも頭痛・嘔吐などの症状が軽くなります。

入院期間は細菌性髄膜炎とくらべて短く、安静にしていれば1~2週間ほどで回復します。

ウイルスに対する特効薬はないので、必要に応じて水分補給(輸液)などの対症療法を行います。

3. ウイルス性髄膜炎の合併症・後遺症

ウイルス性髄膜炎の場合、合併症や後遺症の心配はそれほど必要ありません。

ただしムンプスウイルスによるウイルス性髄膜炎では、合併症として難聴が起こることがあります。

4. ウイルス性髄膜炎の予防方法

一般的な風邪予防と同じ方法で、ウイルス性髄膜炎の発症リスクを下げられる

エンテロウイルスのおもな感染経路は、糞口感染と飛沫感染の2種類です。

最大の予防方法は、外出・おむつ替え・トイレの後に手を洗うことです。

身近に患者がいる場合は、タオルや食器などの共用を避けましょう。

抵抗力が落ちていると発症しやすいので、日ごろから規則正しい生活とバランスのよい食事を心がけましょう。

おたふくかぜワクチンを接種する

ムンプスウイルスによるウイルス性髄膜炎を防ぐには、おたふくかぜワクチンが有効です。

任意接種なので有料ですが、自治体によっては補助が出ることもあります。

おたふくかぜワクチンの接種時期
  • 1回目…1歳の誕生日を過ぎてから
  • 2回目…就学前(4~6歳)

5. 細菌性髄膜炎(化膿性髄膜炎)

1. 細菌性髄膜炎の原因

3ヶ月以降であれば、ヒブ(ヘモフィルス・インフルエンザ菌b型)・肺炎球菌・結核菌などがおもな原因となります。

新生児~3ヶ月なら、B群溶血性連鎖球菌や大腸菌などがおもな原因となります。

妊娠中のママがB群溶血性連鎖球菌を保菌している場合、分娩時に感染することがあります。

2. 細菌性髄膜炎の治療

髄液検査の結果、髄液が濁っていて好中球・タンパク質が増えていれば細菌性髄膜炎と診断されます。

細菌性髄膜炎はウイルス性髄膜炎に比べて進行が早く、症状も重くなりがちです。

治療が遅れた場合の死亡率は新生児なら20~30%、3ヶ月以降の乳幼児なら2%と言われています。

2~3週間ほど入院して抗生物質を投与し、同時に症状にあわせた対症療法を行って治療します。

3.細菌性髄膜炎の合併症・後遺症

細菌性髄膜炎の合併症として、硬膜下水腫・脳腫瘍水頭症などの重い病気が起こることがあります。

また、後遺症として運動障害・てんかん・知的障害・聴力低下などが起こることがあります。

後遺症の残る確率は原因菌によって異なり、ヒブなら約25%、肺炎球菌なら約30%となります。

4.細菌性髄膜炎の予防方法

肺炎球菌ワクチン・ヒブワクチンを接種する

細菌性髄膜炎の多くは、ヒブや肺炎球菌が原因で起こります。

これらの細菌による細菌性髄膜炎の予防には、小児用肺炎球菌ワクチンとヒブワクチンが有効です。

いずれも2013年から定期接種になっており、定められた期間内なら無料で接種できます。

必要に応じて同時接種が可能なので、上手にスケジュールを立てましょう。

肺炎球菌ワクチンの接種時期
  • 1回目…生後2~3ヶ月
  • 2回目…1回目の接種から4週間以上あける
  • 3回目…2回目の接種から4週間以上あける
  • 4回目…3回目の接種から12~15ヵ月後
ヒブワクチンの接種時期
  • 1回目…生後2~3ヶ月
  • 2回目…1回目の接種から4~8週間あける
  • 3回目…2回目の接種から4~8週間あける
  • 4回目…3回目の接種から約12ヶ月後

予防接種以外での予防法

ウイルス性髄膜炎と同じく、抵抗力が落ちていると細菌性髄膜炎を発症しやすくなります。

手洗い・うがいを徹底し、日ごろの生活リズムや栄養バランスに気を配りましょう。

妊娠中のママがB群溶血性連鎖球菌を保菌した場合、抗生剤を投与して赤ちゃんへの感染を防ぎます。

6. 退院後のホームケア

体調が戻ってお医者さんから登園・登校許可が出るまでは、家で安静に過ごしましょう。

髄膜炎が再発するケースは少ないですが、急に動き回ると症状がぶり返す恐れがあります。

テレビやパソコンの光は刺激が強いので、極力見せないようにしましょう。

もし自宅療養中に体調が変わった場合は、すぐに病院へ相談しましょう。

7. 先輩ママの「うちの子の髄膜炎体験談」

東京都・10ヵ月の女の子・みったんママより

2650gで誕生、新生児室で多呼吸と顔面蒼白の症状が現れ、N-CU(脳神経外科集中治療室)のある病院へ転院。

細菌性髄膜炎の診断でした。

けいれんを起こしたため、けいれんを抑える薬を投与。おっぱいは最初まったく飲めず、胃に通したチューブで飲ませました。

体重が2300gまで減り、病状も心配でたまりませんでした。

29日間の入院でした。

けいれん止めは続けていますし、髄膜炎の後遺症がないか経過観察中ですが、現在は成長に問題ありません。

引用元:出産後すぐに細菌性髄膜炎と判明して入院しました