赤ちゃんの先天性水頭症とは?原因・症状・治療・ホームケア・体験談

1. 先天性水頭症とは?

水頭症について

脳のまわりは、髄液で満たされています。

髄液は脳や脊髄の周囲を循環し、栄養を送り届けたり脳を衝撃から守ったりしています。

水頭症は、何らかの原因で髄液が頭の中にたまる病気です。

先天的なものと後天的なものがある

生まれつきの異常による水頭症が先天性、出生後のケガや病気による水頭症が後天性とされます。

先天的水頭症は、10000人に7~8人の確率で起こる病気です。

2. 先天性水頭症のおもな症状

頭が大きい、もしくは急に大きくなる

生まれたばかりの赤ちゃんは、まだ頭蓋骨が完全にくっついていません。

もし髄液が頭にたまると、頭蓋骨が広がって頭囲が大きくなります。

大泉門がふくらむ

大泉門は、赤ちゃんの額にある頭蓋骨のつぎ目です。

通常であればへこんでいますが、頭の髄液が増えるとふくらみます。

頭の血管が目立つ

たまった髄液によって血管が圧迫され、静脈が太くなります。

そのため、頭の血管がはっきり浮き上がります。

なかなか首がすわらない

頭が重くなるので、首すわりが遅れることが多くなります。

5ヶ月を過ぎても首すわりの気配がないときは、病院で検査してもらいましょう。

落陽現象(黒目が下まぶたに入り込む)

脳圧が上がると眼球が上を向けなくなり、黒目が下に落ちる落陽現象が起こります。

水頭症特有の症状のひとつです。

その他の脳圧亢進症状

脳圧が上がることによって、さまざまな症状があらわれます。

これだけで水頭症と判断することはできませんが、他の症状とあわせてチェックしましょう。

  • 嘔吐
  • けいれん
  • 不機嫌が続く
  • ぼうっとすることが多い

3. 先天性水頭症のおもな原因

胎児期の細胞分裂異常によるもの

以下の先天的異常により髄液の流れが悪くなり、水頭症を合併することがあります。

中脳水道狭窄

中脳水道(脳の真ん中にある通路)が先天的に狭い、もしくは完全にふさがった状態です。

脊髄髄膜瘤

脊髄髄膜瘤は、二分脊椎(脊椎の一部が欠損し、脊髄が外に出た状態)の一種です。

染色体異常によるもの

X連鎖性劣性遺伝

変異した遺伝子が、性染色体であるX染色体の1本にのって起こります。

先天的に髄液の生産が過剰、もしくは生産後の髄液が吸収されにくくなります。

胎児期の感染症による続発性水頭症

続発性水頭症は、神経完成後の出血・感染などが原因で起こる水頭症です。

妊娠中にトキソプラズマや風疹などに感染した場合、胎児続発性水頭症になることがあります。

4. 先天性水頭症の検査方法

頭囲測定

頭の大きさを計測します。

少々頭が大きくても成長曲線に並行しており、順調に発達していれば正常とみなされます。

以下のような場合、水頭症が疑われます。

  • 出生直後から頭囲が非常に大きい(+2SD以上)
  • 頭囲が急激に大きくなり、成長曲線から大きくはずれている

CT・MRI検査など

水頭症の疑いがある場合、CT・MRIによる画像検査で詳しく調べます。

同時に髄液の量や脳圧を調べ、最終的な判断を下します。

妊娠中の検査

超音波(エコー)検査

先天性水頭症は、22週以降の超音波検査である程度わかります。

ただし、生まれてみなければわからない点も多いです。

羊水検査

より詳しい検査が必要な場合、羊水検査を行うことがあります。

ただし母子ともに負担が大きく、流産などのリスクがあるため、必ず行うわけではありません。

5. 先天性水頭症の治療法

先天性水頭症のおもな治療法は、以下のとおりです。

外科治療を行うことが多いですが、脳圧亢進症状がなければ手術を必要としない場合もあります。

シャント術

たまった髄液をシリコン製のシャントチューブでお腹や心臓などに流し、吸収させる手術です。

手術自体はそれほど難しくありませんが、まれに合併症を引き起こすことがあります。

成長途中でチューブの長さが足りなくなった場合は、再手術でチューブを交換します。

髄液の流量はバルブで調節しますが、このバルブにはいくつかの種類があります。

固定式差圧バルブ

バルブ圧がはじめから固定されています。

症状の重さに応じて、低圧・中圧・高圧の3種類が使用されます。

圧可変式バルブ

磁石の力によって、体外からバルブ圧を変更できます。

重力可変式バルブ

重力でバルブ圧を調節します。

姿勢(立位・臥位)に応じて自動的にバルブ圧が変わり、自然に流量を調節できます。

特殊機能バルブ

単純な構造のバルブでは、サイフォン効果が発生します。

サイフォン効果が起こると体位によってバルブ圧が変わり、流量が増えすぎることがあります。

症状の重さによっては、サイフォン効果による流量の増加に耐えられないことがあります。

その場合、特殊構造によりサイフォン効果が抑制されたバルブを使用します。

第三脳室底開窓術

内視鏡を使用して脳室の底に穴を開け、たまった髄液を流す手術です。

安全性の高い方法ですが、水頭症の原因によってはこの手術ができないこともあります。

妊娠中に判明した場合

現在の日本では、水頭症の手術を胎児に行うことはできません。

出産が済んでから、症状にあわせて対処します。

出産後すぐ対処できるよう、脳神経外科のある病院で出産することが多いです。

抗生物質を投与することも

感染症が原因の場合、抗生物質を投与することがあります。

6. 先天性水頭症の後遺症は?

早く発見して治療すれば、以降は約2/3の割合で正常に育ちます。

ただし、最初から症状が重い場合や発見が遅れた場合は、運動・知能などの発達に支障をきたすことがあります。

身体機能を向上させるため、必要に応じてリハビリなどを行います。

7. シャント手術後の生活で注意すること

シャントシステムのトラブル

シャント感染

シャント術実施後、感染症を発症することがあります。

おもな原因は、皮膚にいる表皮ブドウ球菌や黄色ブドウ球菌などの常在菌です。

シャント感染の治療法

まずチューブの下端を体外に出す処置を行い、清潔な状態で髄液を排出します。

同時に、抗生物質を投与します。

症状がおさまったら、シャントシステムそのものの交換手術を行います。

もしシャントシステムに病原体が付いていた場合、再発するおそれがあるためです。

機械的トラブル

圧可変式バルブは、磁石の力で体外からバルブ圧を調節できます。

バルブ圧の調整が簡単なので、広く使用されています。

ただし、日常生活上にある強い磁石の影響でバルブ圧が変わるおそれがあります。

髄液の抜きすぎによる弊害

シャントシステムで髄液を抜きすぎると、以下の症状が起こることがあります。

  • 硬膜下血腫(脳の表面に血液がたまる)
  • スリット状脳室(脳室が狭くなる)
  • 低髄液圧症状(頭痛・倦怠感・抑うつ状態などをともなう)

日常生活での注意

運動面での注意

ふつうの行動や運動について、特に制限されることはありません。

ただし、無理な運動・頭の強打などでまれにシャントチューブが破損することがあります。

健康面での注意

肥満や便秘でシャントシステムに圧力がかかると、髄液をうまく流せなくなることがあります。

シャント手術後にトラブルが起きたら…

これらのトラブルの多くは、バルブ圧の調節で回避できます。

ただし、シャントシステムが破損した場合は交換手術が必要になります。

シャントシステムの動作確認のためにも必ず定期健診を受け、異常を感じたらすぐに病院へ行きましょう。

シャント手帳などを携帯すると安心

手帳などに以下の情報を書き留め、つねに携帯しましょう。

万が一旅行先などでトラブルが起こっても、現地の病院でスムーズに対処できるでしょう。

  • バルブの種類
  • バルブ圧の数値
  • シャントシステムのある位置
  • 脳室の大きさ など

7. 先天性水頭症に関する体験談

岐阜県・1才の男の子・IKママより

双子だった二男は、出生時は2560gで小さくはありませんでした。

ただ、その後の成長曲線では小柄なほうで、体に突っ張りがあるように感じられました。

9ヵ月のときに健診で相談したところ、「心配ならMRIをとってみましょう」とのことで、検査しました。

すると、水頭症を伴うキアリ奇形I型と判明しました。

発達がゆっくりなので、リハビリを続け、また頭を強打するスポーツはやめておいてくださいとのことでした。

現在は月2回のリハビリに通っています。

引用元:MRIでキアリ奇形が判明。リハビリに通っています