赤ちゃんの胆道閉鎖症とは?原因・症状・治療・ホームケア・体験談

1. 胆道閉鎖症はこんな病気

胆管(胆汁を十二指腸まで運ぶ通り道)が閉鎖している病気です。

治療しないでいると肝硬変を起こし、生命にかかわります。

早く発見し手術をすることがたいせつです。

2. 胆道閉鎖症の原因

なぜ、胆道閉鎖症が起きるのかは、今のところ原因はわかっていません。

先天性の可能性は?

先天性はないと考えられています。

胎内で一度胆管が正常に作られたものの、ウイルス感染や何らかの原因で炎症を起こして、胆道がふさがると考えられています。

胆道閉鎖症を発症する割合は?

1万~1万2000人に1人の割合で見られます。

1年間に出生する赤ちゃんのうち、約100人が胆道閉鎖症なるといわれています。

胆道閉鎖症になる男女の比率は、女の子1に対して、男の子0.6の割合です。

遺伝の可能性は?

遺伝の可能性もはっきりとしていません。

しかし、胆道閉鎖症になると、その家族にも発症する可能性が高くなっています。

胆道閉鎖症による合併症の可能性は?

胆道閉鎖症になると、約10パーセントの割合で、何らかの合併症が出るといわれています。

多い合併症として、多脾症候群と呼ばれる脾臓の異常があります。

胆道閉鎖症は発見が遅れやすい

理由としては下記があります。

  • 胆道閉鎖症は珍しい病気のため診断が難しい
  • 出生後すぐに症状があらわれない
  • 医師の目が届かない退院後に発症する

このような理由から、おかしいと思ったら早めに病院に行きましょう。

3. 胆道閉鎖症の症状

下記のような症状が続いたら、早めに病院に行きましょう。

1. 生後1ヶ月以上黄疸が続く

生理的黄疸(皮膚や目が黄色くなること)がずっと続く、あるいは黄疸が再発することもあります。

黄疸はだんだん強くなります。

2. 白っぽいうんちが続く

うんちの色が黄土色なのは、胆汁が含まれるからです。

胆道閉鎖症により胆汁が分泌されないと、うんちが黄色くなりません。

灰白色、クリーム色のうんちが続き、おしっこは濃い黄色です。

3. 肝臓の部分が腫れてくる

肝臓はおへその右上あたりにあります。

肝臓が胆汁を排出できず、肝臓が腫れてきます。

肝臓のある部分を触ると、硬さや腫れを感じることがあります。

4. 出血しやすくなる

胆汁は脂肪やビタミンを吸収するのに必要な成分です。

慢性的なビタミン不足となります。

ビタミンKが不足すると、出血しやすくなります。

4. 胆道閉鎖症を放置するとどうなるの?

胆道閉鎖症は自然治癒するの?

自然治癒せず、どんどん状況が悪化します。

胆道閉鎖症は気づきにくい、そして治療が手遅れになる恐れがあります。

生後2ヶ月以内に治療を行うかで、子どもの将来にも関わります。

肝臓にダメージが起きる

胆道閉鎖症が起きると、胆汁が肝臓から排出されず、肝臓に腫れが出ます。

肝硬変などの重い症状が出ます。

一度肝臓にダメージが起きると、二度と正常に戻ることはありません。

一生治療する必要が出てきます。

肝移植を受ける必要がある

大人になっても肝臓の調子が悪い場合、肝移植を受ける必要が出てくることもあります。

費用負担も大きく、保険を適用しても手術費用は200〜400万円かかるといわれています。

また、肝移植をすることで、合併症や拒絶反応の危険性も高まります。

5. 胆道閉鎖症の検査

胆道閉鎖症の疑いがありましたら、より精密に検査を行います。

理由としては、他の病気や症状の可能性もあるため、その可能性を排除するため精密検査を行います。

胆道閉鎖症の検査はどこで行うの?

大学病院や大型の病院で行います。

まずは、かかりつけの小児科で確認し、紹介などをもらいましょう。

精密検査にかかる時間は?

およそ5〜10日間と時間をかけて行います。

パパとママにとっては心配ですが、胆道閉鎖症かを確認するのに、たいせつな精密検査となります。

おもな精密検査は?

具体的な精密検査として、下記があります。

症状や状況により、精密検査の項目は変わります。

血液検査

尿が黄色くなる色素として、ビリルビンがあります。

胆道閉鎖症になると、血液中のビリルビンの量が増えます。

肝機能の働きを確認する、ALTとASTも調べます。

便検査

胆道閉鎖症になると、便の色が白っぽくなります。

超音波(エコー)検査

胆汁を貯める胆のうがあるかを確認します。

レントゲンやMRI検査

肝臓などの臓器の形状を確認します。

胆道造影シンチグラフィ

体に害のない放射性物質を注射し、どう流れていくかを確認します。

十二指腸液採取検査

鼻からチューブを入れて、十二指腸に胆汁が流れているかを確認します。

6. 胆道閉鎖症の治療

胆道閉鎖症の治療方法は、手術のみとなります。

1. 肝門部腸吻合(ふんごう)術

胆汁が十二指腸に流れるようにする開腹手術で、体重は3kgあればできます。

50〜60%はうまくいきますが、再手術になるケースもあります。

生後60日以内に手術をすると成功率が高いので、早期発見がたいせつです。

2. 生体肝移植

大人(多くの場合は母親、父親)の肝臓の一部を切除して、移植する方法です。

手術をしても胆汁が流れるようにならなかったとき、肝硬変に進んでいるときなどに行われます。

現在、生体肝移植は、設備の整った限られた病院だけ(全国登録されています)で行われています。

7. 胆道閉鎖症のホームケア

胆道閉鎖症の手術後、退院してからのホームケアが重要です。

便の色を確認

胆道閉鎖症の治療後、胆汁が出るようになれば、便の色が黄土色に近づきます。

母子手帳の中に便色カラーシートがあります。

便色カラーシートとあわせて、子どもの便の色をチェックしましょう。

小児科でも配布していることもあるため、確認してみましょう。

薬の服用と検査を行う

手術後は、胆汁の分泌を促す利胆剤や、ビタミン剤、カルシウム剤などを服用させます。

ほかにも、最近の感染から防ぐため、抗生剤も投与されます。

また、肝臓の機能が正しく働いているか、肝機能の検査を定期的に行います。

胆道閉鎖症の知識をつける

赤ちゃんの状況を知るため、パパとママも胆道閉鎖症の知識をつけることが大切です。

知識を身につけることで、日々の子どもの状況や様子を確認することができます。

手術後の合併症にも要注意!

合併症は手術直後に出るとはかぎりません。

手術後しばらく経って、合併症が起きることもあります。

注意したい合併症として、下記があります。

  • 上行性胆管炎
  • 門脈圧亢進症
  • 肝内結石症
  • 肝肺症候群

合併症を防ぐため、子どもの様子を常にチェックし、様子がおかしいと思ったらすぐに病院に行きましょう。

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8. 先輩ママの「うちの子の胆道閉鎖症体験談」

東京都・Sさんより

◆発覚

何かおかしいなと生後2ヶ月あたりから感じてはおりました。

肌が黄色い、白目も黄色い…。でも、自費で行った2ヶ月健診では医師に「黄色いね」と言われただけで、他に何も言われませんでした。

生後66日頃、同じ月齢の赤ちゃんママ仲間と集まる機会があり、そこで他のお子さんが排便し、偶然おむつを換えるところを目にしました。

「えっ?赤ちゃんのうんちの色ってこんなに濃いの?」「混合栄養のうちの子より、母乳の子のうんちが濃いもんなの??」と嫌な予感がしました。

そしてその翌日、2ヶ月ぶりに子どもに会いに来た親戚に「生後二ヶ月のわりには黄色くない?」と言われ、これは何かおかしいと、生後70日目に産まれた総合病院の小児科に「うんちのついたおむつ」を持って受診しました。

おむつのうんちの色と、肌や白目の黄疸を見た医師はさっそく採血をしました。

結果が出るまでの間、とっても不安でたまりませんでした。

結果が出て、「胆道閉鎖症という病気の可能性があります。すぐに手術をしないと命に関わります。大学病院を紹介しますので、すぐに行って下さい。」と医師から伝えられ、頭の中が真っ白になりました。その足ですぐに大学病院へ向かいました。

◆検査と手術

大学病院ではすぐに手術の予定を入れられ、それまでの一週間、様々の検査をしました。その間、検査のため絶食している子どもはずっと大泣きし、私は目の前の我が子をなだめるのに必死でした。

検査の結果、「胆道閉鎖症の可能性が非常に高い」と思われるが、「開腹して胆道造影をしてみないと確定できない」と言うことで、腹腔鏡による胆道造影をし、胆汁が流れないことが確認されたため、そのまま手術となりました。生後80日目でした。

その後、原因不明の消化器官下血や胆管炎、また投薬や手術の影響による合併症などがおこり、ビリルビン値は一向に下がらず、栄養の吸収も悪くなり、QOLが低下していきました。

◆移植

生体肝移植を提案され、そのために生後8ヶ月に国立成育医療研究センターに転院し、生体肝移植を行いました。

肝移植前に我が子は二度の手術に加えて、合併症の腸閉塞の手術も行っており、三回開腹していたため、かなりの癒着が予想されました。しかし、大学病院の先生方が丁寧に手術を行ってくれたためか、移植手術の際は思ったほど癒着はひどくはなかったとのことでした。

移植手術後は、免疫抑制剤の調整に時間がかかり、一ヶ月間ICUに滞在しました。

その後は順調に回復し、移植手術してから2ヶ月後に退院できました。

◆退院後

退院後は感染症などに不安がありましたが、少しずつ普段の生活を送れるようになりました。

熱や嘔吐下痢症で緊急入院することも何度かありましたが、年齢の成長とともに身体も少しずつ丈夫になっていきました。

今では普通の子どもと変わらない生活を送ることができています。

難病と知った時、同じ大学病院でも同じ病気の方に出会う機会もなく、とても孤独でした。

しかし、mixiなどインターネット上で同じ疾患の方と出会い、また移植先の病院でも沢山の仲間に出会うことができました。

今では、同じ病気の子を持つ親御さんや移植をしたお友達と交流しています。

引用元:体験談 of 胆道閉鎖症・乳幼児肝疾患母の会 肝ったママ’s