マイコプラズマ性肺炎はどんな病気?原因・症状・治療・ホームケア

1. マイコプラズマ性肺炎ってどんな病気なの?

マイコプラズマ性肺炎とは、「マイコプラズマ」という病原体が肺に侵入して炎症を起こす病気です。

最初から肺に感染するよりも、気管支に感染した後に重症化して肺炎を起こすケースがほとんどです。

マイコプラズマ性肺炎は、患者の約80%が14歳以下の子どもです。8~9歳が発症年齢のピークです。

2. マイコプラズマという病原体について

マイコプラズマとほかの細菌の違い

マイコプラズマはウイルスより大きく、細菌より小さな病原体です。

一般的な細菌は細胞壁という壁によっておおわれているのですが、マイコプラズマには細胞壁がありません。

そのため、ほかの細菌とは区別され、有効な抗生物質も異なります。

マイコプラズマ,ウイルス

マイコプラズマは独自の性質をもつ!

マイコプラズマはどうやって肺炎を引き起こすのか?

活性酸素

マイコプラズマには、人体にダメージを与える活性酸素を産生する働きがあります。

感染すると、その働きによって肺や気管支の組織が傷つけられます。

免疫システムの過剰反応

感染者の免疫反応により肺炎を引き起こします。

マイコプラズマは病原体自体は弱いものの、感染者の免疫システムが過剰に反応して症状があらわれてしまう病気なのです。アレルギーと同じです。

マイコプラズマ,原因

過剰な免疫反応を引き起こす

感染ルート

飛沫感染

マイコプラズマは、感染者の喉や唾液などに生息しているので、感染者の咳やくしゃみを吸い込むことで感染します。

接触感染

咳を抑えた手で身のまわりのものに触れ、別の人がそれをまた手で触り、菌が手から口や鼻を通って感染するというパターンです。

特に子どもは、よだれを垂らしたり、同じおもちゃで遊んだり、手で食べ物を口に運んだりします。そのため、家の中、保育園、幼稚園、学校で感染する可能性があります。

潜伏期間

感染から発症までの潜伏期間は1~3週間ぐらいです。4週間に及ぶこともあります。

一度流行するとどんどん広がっていきます。

季節では秋から冬に多いのが特徴です。

3. マイコプラズマ性肺炎の症状は?

マイコプラズマ肺炎は、「通院や薬での外来処置で対処できる肺炎」と言われ、肺炎の中でも症状は比較的軽いと考えられています。

特に乳幼児の場合は、風邪だと思ってそのままにしておくケースも多いので、親が症状に対する理解を深め、早く気づいてあげる必要があります。

通常の症状

  • 発熱
  • 頭痛
  • コンコンという乾いた咳
  • ゴホンゴホンという痰のからんだ咳
  • 呼吸が速くなる

初めは乾いた「コンコンコン」という咳が出て、その咳が次第にひどくなって咳込むようになります。

咳の症状は、マイコプラズマ肺炎患者の100%に現れると言われています。

マイコプラズマ,咳

咳がだんだんひどくなる

年齢が上がるほど症状が重くなりやすい

乳幼児に感染した場合は風邪程度で済みますが、学童期頃になると肺炎を起こします。

同じように大人が感染した場合も肺炎になります。

通常の感染症と違い、細菌そのものが細胞を傷つけるのではなく、過剰な免疫反応によって症状が表れる病気のため、免疫力が強いほど肺炎の症状が出ます。

合併症

マイコプラズマ性肺炎の主な合併症

  • 気管支炎
  • マイコプラズマ以外の肺炎
  • 発疹やじんましん
  • 副鼻腔炎
  • 中耳炎

マイコプラズマ肺炎はおよそ6~17%の子供に皮疹(発疹)が見られます。

耳を痛がる場合は中耳炎になっている恐れがありますので、すぐに病院を受診しましょう。

マイコプラズマ性肺炎のまれな合併症

大抵の場合には重症化しませんが、次のように肺以外にも病原菌が感染することがあります。

さまざまな合併症が起こる可能性もゼロではありません。

  • 無菌性髄膜炎(ウイルス性髄膜炎
  • スティーブンス・ジョンソン症候群
  • 関節炎
  • 脳炎
  • 肝炎
  • 膵炎
  • ギラン・バレー症候群
  • 溶血性貧血

4. マイコプラズマ性肺炎の診断・検査・治療

診断と検査

聴診器と胸部X線検査

肺炎という名前がついていますが、マイコプラズマ性肺炎は、聴診しても肺炎を疑うような音を発生しないため、わかりません。

したがって、肺炎になっているかどうかは、胸部X線で診断します。

しかし、胸部X線では、それがマイコプラズマ肺炎かどうかの確定は困難です。

マイコプラズマ,原因

聴診では判断できない

血液検査

採取した血液からマイコプラズマ肺炎の抗体を測定します。

ただ、子どもの場合、抗体が陽性を示すのは発病してから1週間後といわれており、治療には役立ちづらいです。

感染しているかどうかがすぐにわかる迅速検査という方法もありますが、精度が低い点が問題になっています。

のどの分泌物を検査

ノドの奥をしっかりとこすってマイコプラズマ性肺炎の菌の成分を検査する迅速検査があります。

この検査はその日に判明して、血液の迅速検査より精度が高いです。

咳がひどくないと、肺に居るマイコプラズマ肺炎がノドに付きませんので、咳のひどい時に特に有効な検査です。

診断と検査のまとめ

子どもがマイコプラズマ性肺炎にかかっても、比較的元気で咳以外の症状がなく、気づきにくいことがあります。

そのうえ、マイコプラズマ性肺炎では検査での早期診断は難しいです。

病院に行き、年齢や経過、レントゲンなどの所見から、医者に診断してもらいましょう。

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自分で判断しないこと!

治療法

基本的な治療の考え方

基本的には自然治癒できる病気です。

水分や栄養補給に気をつけて安静に過ごすようにします。

抗生剤を処方されたり、咳や鼻水、鼻づまりといった症状に応じて薬が処方されたりしますので、用法用量を守って服用しましょう。

抗生剤による治療について

マクロライド系の抗菌薬を使うときれいに症状がなくなります。

ただ、最近問題となっているのが、これまで使われてきたマクロライド系の抗生剤(クラリス、クラリシッド、ジスロマックなど)が効かないマイコプラズマ肺炎が増えています

場合によっては、テトラサイクリン系抗生剤(ミノマイシンなど)やニューキノロン系抗生剤が処方されることがあります。

これらにも副作用がありますので、十分な注意が必要となります。

5. 肺炎にかかった子どもを家でどうケアしたらいい?

肺炎は抗生物質によって治療できるとはいえ、咳をはじめとする症状が非常につらい病気です。

少しでも症状のつらさを和らげ、回復をはやめるには、正しいホームケアが必要です。

部屋の換気と湿度調整

咳をひどくしないために、こまめに部屋の空気を換気し、湿度は60%前後に保ちましょう。

空気清浄機や加湿器を使用しましょう。濡れたタオルや洗濯物を部屋に干すのも効果的です。

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換気と加湿を十分に!

家の中で安静に過ごす

体を使った遊びは控え大人しく遊べるように工夫しましょう。

泣くと呼吸の乱れや咳がさらにひどくなり、苦しくなってしまいます。赤ちゃんはなるべく泣かさないようにしてあげてください。

こまめに水分補給

高熱があるときや食欲が低下しているときは脱水症状になりやすく、痰が切れにくくなって苦しさが増すので、水分を積極的に与えましょう。

咳が落ち着いたら、湯冷ましやお茶などを、少しずつ数回に分けて飲ませます。

冷たいものよりも、常温か温めて飲ませてあげてください。

一度にたくさん飲むと咳と一緒に吐くこともあるので、スプーンで飲ませるのがおすすめです。

肺炎,水分補給

水分補給をしっかりと!

食事は消化の良いものを

食事は消化の良い物で食べやすいものにしましょう。

お腹いっぱいに食べると咳が出やすくなったり、せき込んだ時に吐いてしまうこともあります。

そういう場合は、何回かに分けて与えてください。

横向きに寝かせる

横向きにしてあげると呼吸がしやすくなります。

咳き込んで吐いてしまったときに、喉に詰まるのを予防することにもつながります。

呼吸が苦しくて寝つけない場合は、たて抱きで抱っこするか、枕やクッションなどを赤ちゃんの頭から背中部分に当ててあげると、上体が起きて呼吸が楽になります。

肺炎,横向き寝

呼吸のしやすい体勢を

お風呂は避ける

お風呂は体力を消耗するので、熱が下がって元気が出るまでは避けましょう。

オムツをしている場合はお風呂に入らないとかぶれやすいので、1日に1~2回程度洗ってあげましょう。

とくに下痢をしているときはおしりふきであまりこすらず、シャワーで洗ってあげましょう。

肺炎,シャワー

下痢の時はシャワーで優しくおしりを洗う

6. 一度かかったらもう大丈夫?

マイコプラズマ肺炎は、一度かかったら大丈夫というわけではありません。

なぜかというと、マイコプラズマは菌自体は弱いものの、感染者の免疫システムが過剰に反応して症状があらわれてしまう病気だからです。

そのため、抗体はできず、何度も掛かる恐れがあります。

過去にかかったマイコプラズマ性肺炎に子どもがかかった場合も、咳がひどいようなら必ず病院に行きましょう。

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参考:病院で処方される薬