受精卵の凍結保存とは?方法・流れ・費用・タイミング・痛みの有無

1. 受精卵(胚)の凍結保存について

体外受精を行う場合、採卵後すぐに移植せず受精卵(胚)を凍結保存しておくことがあります。

受精卵凍結保存を行うおもな理由

1回の採卵で、受精卵がたくさんできた

新鮮胚移植のための採卵・採精で、質のよい受精卵が複数個できることがあります。

その場合、余った受精卵を凍結保存することができます。

新鮮胚移植で妊娠できなかった(または流産した)場合、凍結した受精卵を使って再度移植を行うことができます。

凍結受精卵があれば採卵回数は少なくなり、妻の身体的負担を減らすことができます。

子宮の状態がよいタイミングを狙って移植する

子宮の状態が妊娠に適していないと、移植しても妊娠率は低くなります。

子宮の状態がよいタイミングを狙って移植することで、いくらか妊娠率を上げることができます。

また、排卵誘発の影響でOHSS(卵巣過剰刺激症候群)になることがあります。

OHSSになると卵巣の腫れや腹水などの症状が起こり、移植よりも治療を優先させなければなりません。

妊娠によるOHSSの発症・重症化を防ぐ

近年、妊娠によってOHSSが発症・重症化しやすくなることが明らかになりました。

そのため、新鮮胚移植を行わず受精卵を凍結させるケースが増えています。

しばらく時間をおいてから妊娠・出産したい

妊娠は、「妊娠したい」と思ってすぐにできるものではありません。

しかし、仕事などの都合ですぐに妊活を始められないこともありますね。

凍結受精卵があれば、自分がよいと思えるタイミングで妊娠できる確率が上がります。

受精卵凍結保存のデメリットはある?

メリットの多い受精卵凍結保存にも、以下のようなデメリットがあります。

費用が高い

受精卵を凍結・融解する手間がかかるため、新鮮胚移植に比べて費用がかかります。

また、保存期間が長いとその分費用も高くなります。

凍結・融解によるダメージ

近年は技術が進歩しているので、凍結・融解しても受精卵の質はそれほど低下しません。

しかし、受精卵の質が低いと凍結・融解によって受精卵がダメージを受けることがあります。

災害による破損

地震・火事などの災害が起こった場合、受精卵が破損してしまう恐れがあります。

2. 受精卵の凍結保存を行うタイミング

受精卵の凍結保存は、不妊治療の一環として行われることが多いです。

しかし、卵子の質は加齢とともに低くなります。

よい受精卵を得るためには、妻が少しでも若いうちに行うのがよいでしょう。

受精卵はいつまで保存できる?

特殊な技術で凍結保存された受精卵は、理論上は何年でも劣化せず保存することができます。

しかし受精卵の凍結保存には手間がかかるため、病院ごとに月・年単位で保存期間が定められています。

保存期間を過ぎると、一定期間ごとに更新手続きと更新料が必要になります。

受精卵を破棄するタイミング

以下の条件のいずれかを満たした場合、病院側は受精卵を破棄することができます。

妻が妊娠可能年齢を超えた

いくら受精卵の質が良くても、移植時の妻の年齢が上がるほど出生に至る確率は下がります。

そして、妻が妊娠可能年齢を超えると受精卵は破棄されます。

(一般的には、妻が閉経すると妊娠可能年齢を超えたと判断されます)

夫婦が受精卵を破棄する意思表示をした

妊娠・出産に成功したり不妊治療をやめたりしたときに、凍結受精卵が残っている場合もあります。

夫婦から「受精卵を破棄しても良い」と申し出があった場合、凍結受精卵は破棄されます。

夫婦が離婚した、または一方が死亡した

夫婦間の婚姻関係が無くなった場合、婚姻中に凍結保存した受精卵は使えなくなります。

3. 受精卵凍結保存のおもな流れ

排卵誘発

採卵の1~2サイクル前からホルモン剤を投与し、卵胞を育てます。

排卵誘発にはいくつかの方法があり、体質や予算・スケジュールに合う方法を選びます。

妻の体に負担をかけたくない場合は、負担の少ない薬を使う方法や自然な排卵を待つ方法がよいでしょう。

排卵誘発にともなう体調不良と痛み

OHSSのほかにも、ホルモン剤の副作用でさまざまな体調不良が起こることがあります。

また、ホルモン剤を注射する場合はほとんどが筋肉注射となります。

そのため、通常の静脈注射より痛みが強い傾向があります。

採卵・採精

採卵

卵胞がしっかり育ったら、採卵を行います。

膣壁から卵巣の方向へ針を刺し、育った卵子を吸い出して採取します。

1回の採卵で、およそ1~10個の卵子を採ることができます。

採卵時に痛みはある?

たいていの病院では、採卵時に全身麻酔・局所麻酔を使用します。

麻酔を使えば痛みを軽減できますが、麻酔を使っても若干の痛みを感じることもあるようです。

また、麻酔が切れた後にしばしば下腹部の痛みや出血が起こります。

採卵後数時間は病院で安静に過ごし、体調がある程度回復してから帰宅します。

採精

採卵日当日、夫は採精を行います。

病院の採精室で採精するか、自宅で採精した精子を病院に持って行きます。

受精・培養

質のよい卵子と精子を選び、同じ容器に入れて受精させます。

受精が成立したら、数日間培養します。

前期胚まで育てる場合は約2~3日、胚盤胞まで育てる場合は約5~6日培養します。

凍結

受精卵の質をできる限り保つため、特殊な技術で急速凍結を行います。

現在の日本では、液体窒素を使う「ガラス化凍結法」などが広く行われています。

融解・移植

移植のタイミングに合わせて、凍結しておいた受精卵を融解します。

数時間~数日間追加培養した後、子宮内に移植します。

移植前のホルモン投与

移植日の数週間~数日前から、ホルモン投与を行うことがあります。

ホルモン投与によって子宮の状態を整え、妊娠率を上げることができます。

4. 受精卵の凍結保存にかかる費用のめやす

不妊治療の多くは保険適用外であり、病院によって費用は大きく変わります。

受精卵を凍結保存する場合、採卵~移植までに最低でも10~20万円はかかります。

凍結保存する受精卵の数が多いと、その分多くの費用がかかります。

また、受精卵を長期間保存したい場合も費用が高額になります。

助成金制度を活用しましょう

受精卵の凍結保存は、特定不妊治療の一環として認められます。

特定不妊治療を行う場合、国や自治体から助成金を受け取ることができます。

不妊に悩む方への特定治療支援事業

以下の条件をすべて満たすと、国から助成金を受け取ることができます。

  • 特定不妊治療以外の方法で妊娠できる見込みがない(もしくはほとんどない)夫婦
  • 前年度の夫婦合計の所得が730万円未満
  • 治療開始時点で妻が43歳未満
  • 国が定める医療機関で治療している
受給できる回数・金額

女性が40歳未満なら計6回、40~43歳未満なら計3回まで受給できます。

1回あたりの受給金額は初回の治療なら30万円まで、それ以降は1回あたり15万円までとなります。

また、凍結胚移植のみを行う場合(採卵しない場合)などの受給金額は75,000円となります。

医療費控除

その年に支払った世帯全員分の医療費が一定額を超えると、控除を受けることができます。

確定申告時に申請すると、控除分のお金が後で戻ってきます。

自治体ごとの助成制度

多くの自治体では、不妊治療に対する独自の助成制度が実施されています。

実際の助成内容や金額は、自治体によってさまざまです。

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