人工授精とは?方法・流れ・費用・タイミング・痛みの有無は?

1. 不妊の定義とは?

不妊症について

一般社団法人日本生殖医学会の公式サイトをみると、不妊とは「何らかの治療をしなければ、それ以降に自然に妊娠する可能性がほとんどない状態」と定義されています。

そして、既往症のない健康な男女が妊娠を希望し、避妊せずに夫婦生活を持っているにも関わらず、1年以内に妊娠しない場合、不妊症と診断されます。

かつては、避妊せずに妊娠しない期間を2年としていましたが、日本の晩婚化や初産年齢の上昇も考慮して、2015年より1年に短縮されています。

不妊の原因

不妊の原因は、男女ともに持っている可能性があります。

女性不妊の原因

女性が不妊症になる原因には、以下のものがあげられます。

  • 排卵障害など排卵因子
  • 卵管閉塞や狭窄、癒着など卵管因子
  • 子宮筋腫や子宮内膜ポリープ、先天奇形など子宮因子
  • 子宮頚管炎や子宮頚管からの粘液分泌異常など頸管因子
  • 抗精子抗体など免疫因子

男性不妊の原因

男性が不妊症になる原因には、以下のものがあげられます。

  • 射精がうまくいかない性機能障害
  • 射精される精液中の精子の数や運動率が悪い精液性状低下

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2. 人工授精とは?

生殖医療技術の一つ

人工授精とは、女性の子宮内に精子を人工的に注入することで受精させる方法のことをいい、2つに区分されます。

AIH

配偶者が提供する精子を用いる方法を、「配偶者間人工授精(AIH=Artificial Insemination by Husband)」といいます。

AID

第三者が提供する精子を用いる方法を、「非配偶者間人工授精(AID=Artificial Insemination by Donor)」」といいます。

人工授精を行う条件

人工授精にチャレンジするためには、女性に排卵があること、子宮や膣があること、最低限片側の卵管の通過性が保たれている必要があります。

また男性側にも、精液1ml中に1500万個以上の精子が見られること、精液中の全身運動精子が50%、あるいは高速直進運動精子が25%以上いることが条件となります。

人工授精に適している人

人工授精のチャレンジ条件を満たし、以下の5項目のいずれかに当てはまり、妊娠のリミットが近いなどの事情があれば、すぐに人工授精を始めることをおすすめします。

  • 軽度の男性不妊である
  • 勃起障害(ED)である
  • 頸管粘液分泌不全である
  • タイミング法を半年から1年続けても妊娠しない
  • 抗精子抗体が弱陽性である

3. 人工授精の流れとは?

人工授精の進め方

人工授精は、以下のような流れで行われるのが一般的です。

排卵日の予測

女性が基礎体温表をつけ、おおよその排卵時期を予測します。

月経周期が28日型の場合、生理が始まって14日目が排卵日にあたることが多いです。

卵胞の成長をチェック

排卵日が近づいたら、病院で経膣超音波検査を行い、卵胞の成長度合いをチェックします。

約20mmを超えると、排卵するといわれています。

頸管粘液のチェック

通常は子宮内への細菌の侵入を防ぐため、子宮頚管は乾き気味です。

ですが、排卵が近づくと、その時期特有のよく伸びて、透明なおりものが分泌されます。

女性が自分で触ってみて、そうしたおりものを感じたら、夫婦生活を持っておくことをおすすめします。

排卵検査薬でのチェック

不妊クリニックによっては、排卵日を予測するために、排卵検査薬を用いるところもあります。

卵胞サイズを計測し、導き出した排卵予定日の数日前から使い始めます。

男性の採精

女性に排卵検査薬で陽性反応が出たら、男性は採精を行います。

自宅のことも、病院で行うこともあるようです。

人工授精の実施

排卵のタイミングに合わせて、人工授精を行います。

超音波による排卵のチェック

人工授精を行った翌日に病院に行き、超音波検査で排卵確認をして、タイミングの検証を行います。

妊娠判定

排卵後1週間ほどで、着床が確認できます。

血液中のhCGで妊娠判定を行います。

妊娠成立

妊娠5週に子宮内に胎嚢が確認され、妊娠6週以降に心拍が確認されれば、妊娠が成立します。

人工授精での妊娠率

人工授精の妊娠率は、5~10%です。

人工授精の有効回数は5~6回とされており、それでも妊娠しなかった場合には、次のステップに進むことになります。

4. 人工授精の方法は?

調整を行った精子を注入する

男性の生殖器に炎症が起こっていると、精漿と呼ばれる精液の液体部分に、白血球や雑菌が混入してしまいます。

そのため、ほとんどの不妊クリニックで、採精した精子を洗浄濃縮処理し、精子調整を行います。

精子調整の方法には、アイソレート法やパーコール法に代表される、細胞密度の高い成熟した精子を集める密度勾配遠心法か、スイムアップ法といわれる運動性の高い精子を集める方法が用いられます。

そして、洗浄濃縮処理を行った精子を、できるだけ早く子宮内に注入します。

男性が無精子症の場合

無精子症とは、精液中にまったく精子がない状態のことをいいます。

無精子症であっても、手術やホルモン剤の投与により改善されることもあります。

ですが、それでも改善が見られないときには、精子バンクなどから提供を受け、非配偶者間人工授精(AID)を選択するという方法があります。

5. 人工授精を受けるタイミングは?

少しでも若いうちがおすすめ

男女ともに、年齢が高くなればなるほど、自然妊娠する確率が下がっていきます。

そのため、排卵日に合わせて夫婦生活を持つというタイミング法を始めて、半年を経過しても妊娠に至らないときには、人工授精へのチャレンジをお医者さまに相談してみることをおすすめします。

人工授精は、行うタイミングが早ければ早いほど、妊娠する確率が高くなるといわれています。

6. 人工授精の痛みは?

痛みを感じる人もいる

人工授精は、特殊な器具を挿入して精子を送り込むため、人によっては子宮頚管に痛みを感じることがあるようです。

また、挿入する器具がまっすぐなので、子宮経験が曲がっていたりすると、痛みを感じることがあります。

子宮収縮の痛み

不妊クリニックの中には、採精した精子を原液のまま注入するところもあります。

その場合は、精液に含まれているプロスタグランジンという成分が子宮収縮を促し、強い痛みを感じることがあるようです。

このプロスタグランジンによる子宮収縮の痛みは、洗浄濃縮処理をした精子を注入する場合には起こりません。

精液の洗浄濃縮処理の有無については、あらかじめお医者さまに聞いておくとよいでしょう。

排卵誘発剤の副作用

人工授精直後ではなく、しばらく時間が経過してから、痛みを感じることがあります。

もし、人工授精のために排卵誘発剤を使っているなら、その副作用が原因かもしれません。

排卵誘発剤を使った女性は、人工授精を行った後で、生理痛に似た痛みが起こることがあります。

人工受精後の出血

人工授精を行った後で、ごくまれに出血がみられることがあります。

これは、精子を送り込むための器具が、子宮頚管を傷つけてしまうことで起こります。

ですが、ほとんどはすぐに治まるので、心配はいりません。

ただし、出血量が多い、あるいは長期間続く場合には、病院で診察を受けましょう。

着床痛の可能性もある

人工授精を行って1週間ほどたってから、腹部に痛みを感じた場合は、着床痛の可能性があります。

これは受精卵が子宮内膜に着床して起こる痛みで、自然妊娠でも起こりうることです。

痛みを感じても神経質にならず、妊娠判定日を待ちましょう。

7. 人工授精のリスクは?

リスクは自然妊娠と変わらない

不妊症のカップルには、障害児や奇形児が生まれる、あるいは流産する確率が高いなどという噂が、まことしやかに流れているようです。

ですが、これは本当のことではありません。

洗浄濃縮処理をしている精子を子宮に注入しているだけなので、障害のリスクは自然妊娠と変わらないのです。

とはいえ、妊娠年齢が高くなると、障害リスクもあがっていくので、不妊治療には早めに取り組むことをおすすめします。

8. 人工授精にかかる費用は?

健康保険は適用外

人工授精は、自由診療の扱いになるため、健康保険が適用されません。

そのため、人工授精を1回行うごとに、約2~3万円の費用がかかります。

ですが、人工授精を成功させるために処方される薬代や注射代は、健康保険が適用されます。

人工授精にかかる費用は不妊クリニックによっても異なりますので、診察を受けや際に必ず確認しておきましょう。

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9. 先輩ママの「人工授精体験談」

0歳の女の子のママ(31歳)より

タイミング法を3回トライした後、人工授精にステップアップしました。

初回は排卵誘発剤のフェマーラを服用していましたが、効きが悪くなったので、FSH注射(フォリルモン)を1日おきに打ち、卵胞を育てました。

人工授精前日に卵胞と子宮内膜を確認し、イトレリン点鼻薬を夜に噴射するように指導されました。

人工授精当日は、夫の精液をクリニックに持参。1時間ほど精液の調整を待ち、人工授精を行いました。

痛みはほとんどなく、処置後に内診台の上で5分ほど休み、hCG注射を打ってから帰宅。

その後は、感染予防のために、抗生物質を3日ほど服用しました。

3日後にクリニックで調べたところ、無事に排卵していることがわかり、黄体ホルモンを維持するためのデュファストンを処方されましたが、妊娠には至らず。

2回目も同様の流れで進みましたが、結果は出ませんでした。

排卵誘発を始めて3週期目は、薬が効きすぎて卵胞がたくさん育ってしまい、人工授精を受けることができませんでした。

4週目でも小さな卵胞がたくさん見えて落ち込んだのですが、薬と注射を止めたところ、数日後に一つだけ大きく育ち、人工授精を実施。

3回目のチャレンジが無事に成功し、2016年2月に女の子を出産しました。

引用元:人工授精の体験談