体外受精とは?方法・流れ・費用・タイミング・痛みの有無は?

1. 体外受精って何?

体外受精は、卵子を体外に取り出して精子と受精させる方法です。

卵子と精子を同じ培養皿(シャーレ)に入れ、自然に出会わせて受精させます。

受精卵がある程度育ったら、胚移植(受精卵を女性の子宮に戻すこと)を行います。

その後着床が成功すれば、妊娠成立となります。

どんなときに体外受精を行うの?

タイミング療法や人工授精を行ってもなかなか妊娠できない場合、体外受精にステップアップします。

また、以下のような原因で自然妊娠(一般不妊治療)が難しいと思われる場合にも行われます。

  • 子宮内膜症
  • 排卵・卵管障害
  • 男性不妊(乏精子症・精子無力症)
  • 女性に抗精子抗体がある
  • 女性が高齢である

顕微授精とどう違うの?

体外で作られた受精卵を子宮に戻すという点では体外受精とほぼ同じですが、受精させる方法が異なります。

顕微授精では、特殊な器具を使って卵子に精子を直接注入します。

精子の数が少ない・または運動率が低い場合などに有効な方法です。

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2. 体外受精の基本的な流れ

卵巣刺激~排卵誘発

排卵誘発方法はいくつかありますが、おもな方法は以下のとおりです。

刺激法

自然排卵の可能性が低い場合、薬で卵胞の成長をうながして排卵を起こします。

体への負担は大きくなりますが、一度の採卵で多くの卵子を採れる可能性が高まります。

ショート法

月経開始後1~3日目から、GnRHアゴニスト製剤(自然排卵を抑える点鼻薬)を投与します。

同時に、FSH製剤またはhMG製剤(卵胞の成長をうながす注射)を投与します。

11日目ごろになったら、hcg製剤(排卵をうながす注射)を投与します。

卵巣の機能が低下していなければ、短期間で卵胞が育ちやすい方法です。

ロング法

採卵周期の1サイクル前からGnRHアゴニスト製剤を投与し、卵胞をじっくり育てます。

採卵周期の月経開始後3~11日目にFSH製剤またはhMG製剤、11日目ごろにhcg製剤を投与します。

ショート法より採卵日を調節しやすいですが、使用する薬剤が多い分費用が高額になります。

また、採卵周期の1サイクル前から避妊する必要があります。

アンタゴニスト法

採卵周期の3~10日目まで、FSH製剤またはhMG製剤と並行してアンタゴニスト製剤(自然排卵を抑える注射)を投与します。

11日目ごろにGnRHアゴニスト製剤またはhcg製剤を投与し、13日目ごろに採卵します。

ショート法・ロング法より自然排卵しやすいですが、より費用が高額になります。

低~中刺激法

一度に採卵できる卵子の数は少なめですが、体に負担がかかりにくい方法です。

完全自然排卵周期法

自然排卵できる可能性が高い場合、排卵誘発剤を使わず自然に任せて卵胞を育てます。

クロミフェン法・hMG/rFSH注射

自然排卵できるが卵胞が成長しにくい場合、内服薬や注射で卵胞の成長をうながします。

採卵・採精

採卵

卵胞が十分に育ったら、採卵を行います。

膣壁から卵胞へ向かって針を刺し、成熟した卵子を吸い出して採取します。

排卵誘発方法や体質などにより差がありますが、1回の採卵でおよそ1~10個の卵子を採取できます。

採卵は基本的に日帰りとなり、採卵後しばらく安静にしてから帰宅します。

採精

採卵と同時に、男性は採精を行います。

自宅で採精した精液を持参するか、病院の採精室で採精します。

採精した精液を調べ、運動率の高い精子を選んで取り出します。

受精・胚培養

状態のよい卵子と精子を培養皿に入れ、自然に受精させます。

受精が成立したら受精卵(胚)を体内に近い環境に置き、2~3日ほど待ちます。

着床率を高めるため、胚移植の前に受精卵の表面にわざと傷をつけることもあります。(ハッチング法)

胚移植

受精卵が育って4~8分割したら、女性の子宮に受精卵を戻します。

カテーテルで受精卵を吸い上げ、膣からカテーテルを挿入して子宮内膜の上に受精卵を置きます。

胚移植時に子宮や膣を傷つけることはないので、基本的に痛みはありません。

1回で移植する受精卵の数

1回の胚移植で子宮に入れる受精卵の数は、1~3個までとなります。

原則として1個の受精卵を入れますが、着床しづらいなどの要因があれば複数の受精卵を入れることがあります。

状態のよい受精卵がたくさんできた場合は、余った分を凍結保存しておきます。

黄体ホルモン補充

胚移植が終わったら、着床率を高めるために黄体ホルモンを投与します。

内服薬・注射・膣座薬など、さまざまタイプの黄体ホルモン剤が使用されます。

妊娠判定

胚移植後2週間ほどで、尿検査・血液検査などで妊娠判定を行います。

妊娠が確定しても、初期流産を防ぐためにしばらく黄体ホルモン補充を続けます。

3. 体外受精の成功率

厚生労働省によると、平成22年に行われた体外受精の成功率は以下のとおりです。

  • 新鮮な受精卵を使う体外受精…15.9%
  • 一旦凍結保存した受精卵を使う体外受精…22.4%

なお、ここで言う成功率は「胚移植から出生に至った確率」を指します。

体外受精の成功率と年齢の関係

上のデータでは合計約40%の成功率ですが、年齢が上がると卵子・精子の質が落ちて受精率が下がってしまいます。

また加齢とともに着床率は低下し、初期流産率は上昇してしまいます。

多くの夫婦にとって、一般不妊治療から体外受精へステップアップするのは勇気がいることです。

しかし、少しでも成功率を上げるためにはできるだけ早く踏み切るのがよいでしょう。

4. 体外受精って痛いの?

体外受精を行う場合、しばしば女性の心身に大きな負担がかかります。

排卵誘発

注射そのものの痛み

使用する薬剤の種類によっては、頻繁に注射をしなければなりません。

hcg注射の場合は二の腕やお尻に筋肉注射を行うので、通常の皮下注射・静脈注射より痛みが強くなります。

痛みに弱い人は、腕より痛みを感じにくいお尻に打ってもらうことをおすすめします。

なお、hcg注射は胚移植後の黄体ホルモン補充に使用されることもあります。

卵巣の腫れによる痛み

排卵誘発剤は、卵巣を刺激して強制的に卵子を作る薬です。

通常であれば1回の月経周期で1個の卵子が育ちますが、排卵誘発剤を使うと複数個の卵子が育ちます。

その代わり卵巣に大きな負荷がかかり、卵巣が腫れて下腹部痛が起こることがあります。

OHSS(卵巣過剰刺激症候群)

hcg注射は特に副作用が強く、OHSS(卵巣過剰刺激症候群)に注意しなければなりません。

OHSSになると、下腹部痛のほかにお腹の張り・腹水・内臓機能低下などの症状が起こることもあります。

重症化すると入院が必要になることもあるので、体調がおかしいと思ったらすぐに病院に相談しましょう。

採卵

採卵時は麻酔を使うことが多い

病院の方針や卵胞の状態によりますが、採卵時には局所もしくは全身麻酔を行うことが多いです。

そのため、採卵中はほとんど痛みを感じることはないでしょう。

麻酔を使わない場合

麻酔を行わない場合は、女性に負担をかけないよう極細の針を使用します。

極細の針による痛みはほとんどないようですが、子宮の状態や針を刺す回数によっては痛みをともなうこともあります。

不安な方は、事前に医師に相談しましょう。

採卵後の痛み

麻酔が切れると、下腹部の違和感や生理痛のような鈍い痛みが残ることがあります。

また、子宮・膣壁が傷ついて出血が起こることもあります。

いずれも自然におさまることが多いですが、強い痛みや出血がが続く場合は医師に相談しましょう。

男性側の負担は?

女性と異なり、男性の場合は採精までに薬を投与する必要はありません。

ただし、質のよい精子を育てるためには生活習慣に注意しなければなりません。

タバコやアルコール摂取は極力控え、健康的な生活を送りましょう。

精巣への負担を減らすため、股間を温めすぎたり自転車に頻繁に乗ったりするのも避けましょう。

5. 体外受精にかかる費用のめやす

体外受精にかかる費用

病院や卵巣刺激方法によって差がありますが、1周期あたりの費用は20~50万ほどになります。

費用のおもな内訳は、以下のとおりです。

  • 各種検査費
  • 排卵誘発費
  • 採卵費
  • 授精操作費
  • 受精卵保存費

1周期で成功しなかった場合は…

凍結しておいた受精卵があれば、次回以降の周期に再度胚移植を行います。

受精卵が残っていなければ、再度排卵誘発を行います。

凍結受精卵の有無や卵巣の状態によって、加算される金額は大きく変わります。

健康保険は適用される?

健康保険は、あくまで「病気の治療」に適用されるものです。

体外受精は病気の治療とはみなされないので、健康保険は適用されません。

体外受精で利用できる助成制度

不妊に悩む方への特定治療支援事業

不妊治療の中でも特に高額となる特定不妊治療(体外受精・顕微授精)に対して、国から助成金を受け取れる制度です。

助成の対象となるのは、以下の条件をすべて満たした夫婦です。

  • 特定不妊治療以外の治療法で妊娠できる見込みがない(もしくは非常に少ない)と医師に診断された
  • 前年度の所得が夫婦合わせて730万円未満
  • 治療開始時点での妻の年齢が43歳未満
  • 国が指定する医療機関で治療を行っている
助成金額・回数について

初回の治療で30万まで、以降は1回の治療につき15万円が助成されます。

ただし、凍結胚を使う場合などは7万5000円となります。

助成回数は女性が40歳未満で6回、40~43歳未満で3回までとなります。

申請窓口について

申請窓口は各都道府県となりますが、大都市の場合は市が窓口となることもあります。

もし夫婦が別居している場合は、収入が多いほうが住む都道府県で申請します。

都道府県によっては、国からの助成金に都道府県からの助成金が上乗せされることもあります。

自治体独自の助成制度

国・都道府県の助成制度とは別に、多くの市区町村では独自の助成制度を実施しています。

助成内容や金額は自治体によってバラバラなので、HPや窓口などで確認しましょう。

自治体が定める資格を満たしていれば、国からの助成制度とあわせて利用することもできます。

医療費控除制度

その年にかかった世帯全員分の医療費の合計が高額になった場合、確定申告時に費用の一部が払い戻されます。

特定不妊治療は医療費控除制度の対象となり、その年にかかった費用から助成金を差し引いた分を申請します。

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