卵管の機能性障害(ピックアップ障害、線毛機能不全)とは?

1. 卵管の機能性障害とは?

卵管の機能性障害とは、卵管が本来果たすべき役割がうまく機能しなくなる障害のことです。

卵管とは?

卵管とは子宮の両脇にある、卵巣と子宮をつなぐ管のことです。

卵管の長さはおよそ10cmほどで、内径の狭いところが約1mmほどの狭い管になっています。

卵管と妊娠の関係

卵管は卵巣から飛び出した卵子と精子が出会い、受精卵になる場所です。

受精卵は卵管を通って子宮へ向かい着床することによって妊娠が成立します。

卵管の機能障害とは?

卵管の機能障害とは、このように妊娠の成立を助けるための卵管の役割が、うまく機能しなくなる障害のことです。

卵管の機能障害の種類には、以下の2つのようなものがあります。

  • ピックアップ障害
  • 線毛機能不全

それでは、1つずつ説明していきます。

ピックアップ障害

本来、卵巣から排卵によって飛び出した卵子は、卵管采という部分にキャッチされて卵管に送り出されます。

しかしこの卵管采が正常に機能しないと、卵子が卵管に送り出されません。

その結果、卵子は精子と出会うことができず、不妊の原因を引き起こします。

線毛機能不全

精子は泳ぐことによって卵子のいる卵管まで辿り着きます。

しかし精子と卵子が受精し受精卵になると、自らの力で動くことができません。

そのため、卵管内部にある線毛が受精卵を子宮へと運びます。

しかしこの線毛が、なにかしらの理由で動かなくなり、受精卵を子宮へと戻せなくなる場合があります。

その結果、受精卵は着床することができずに、不妊の原因を引き起こします。

2. 卵管の機能性障害の原因

卵管の機能障害が起きる原因の中には原因不明のものもありますが、考えられる要因として下記のものがあげられます。

  • 細菌感染による卵管の炎症
  • 虫垂炎などによる卵管の炎症
  • 子宮内膜症による卵管の癒着

それでは、1つずつ説明していきます。

細菌感染による卵管の炎症

性行為などにより、子宮内が細菌感染を起こし、炎症が卵管にまで広がってしまうことがあります。

卵管で炎症が起きることにより、卵管采や線毛が上手く機能しなくなり、障害を引き起こす可能性があります。

虫垂炎などによる卵管の炎症

虫垂炎は通称『盲腸』と呼ばれているもので、大腸から突き出た虫垂という部分が炎症を起こしてしまう状態です。

炎症が広がっていくと周囲にある臓器である卵管にも炎症が広がり、卵管の機能障害を引き起こす可能性があります。

子宮内膜症による卵管の癒着

子宮内膜症とは、本来できるはずのない場所に子宮内膜ができてしまう疾患のことです。

子宮内膜症が進行して卵管が癒着を起こすことによって、卵管狭窄や卵管閉鎖が起こります。

その結果、卵管が上手く機能しなくなり卵管機能不全が起こる可能性があります。

3. 卵管の機能性障害の症状

卵管の機能障害には、痛みやなどの自覚障害はほとんどありません。

そのため、普段の生活で卵管の機能障害に気づくことはありません。

ほとんどの人が不妊検査の中で、機能障害が発覚します。

4. 卵管の機能性障害の検査

卵管の機能性障害がある場合には、卵管に癒着や炎症などが見られます。

そのため、卵管の状態を調べる検査が行なわれます。

卵管の機能障害を調べるために行なわれる検査には下記のようなものがあります。

  • 子宮卵管造影検査
  • 卵管通気検査
  • 卵管通水検査
  • 卵管鏡検査

それでは、1つずつ詳しく説明していきます。

子宮卵管造影検査

子宮口から造影剤を注入してレントゲン写真を撮影し、卵管への広がり方を確認する検査です。

卵管閉塞が起きている場合には、癒着部分から先に造影剤が広がりません。

また、軽度の癒着などは造影剤の検査で解消できる場合があります。

卵管通気検査

卵管通気検査は、子宮口から炭酸ガスを注入し圧力のかかり方で卵管の詰まりを確認する検査です。

圧力のかかり方でしか確認できないため、左右どちらの卵管が詰まっているのかまで確認することができません。

卵管通水検査

卵管通水検査は、子宮口から食塩水を注入し、圧力のかかり方で卵管の詰まり具合を確認する検査です。

液体を注入するということで子宮卵管造影検査と同じ行程になりますが、レントゲン器具などが不要です。

そのため、子宮造影検査よりも簡易的に検査が行なえることが特徴です。

卵管鏡検査

卵管鏡検査とは、子宮口から専用の内視鏡を挿入して子宮や卵管の内部を調べる検査です。

卵管内部の様子がモニタに写し出されますので、今回あげた検査方法の中で一番詳細が確認できる検査です。

5. 卵管の機能性障害の治療法

卵管の機能性障害の治療には、下記のような方法があります。

卵管に感染症による炎症が確認された場合

卵管に感染症による炎症などが確認された場合には、抗生物質による投薬治療が行なわれます。

特にクラミジアなどの感染症にかかっている場合には、男女共に治療を行なう必要があります。

そのため、パートナーと共に通院による投薬治療で完治を目指します。

卵管狭窄や卵管閉塞が起きている場合

癒着が原因となり、卵管の内側が狭くなっていたり詰まっていたりする場合には、手術による治療が行なわれます。

卵管鏡下卵管形成術

卵管鏡下卵管形成術とは、卵管鏡を使用して卵管の治療を行なう方法です。

卵管鏡を子宮口から挿入し、卵管鏡の先についているバルーンという部分で閉塞部分を広げる方法です。

腹腔鏡下手術のように麻酔や入院は不要な場合がほとんどです。

卵管治療で改善されない場合には体外受精の検討も

卵管の機能不全の中には原因不明のものもあります。

そのため卵管の治療を行なっても機能不全が改善されなかったり、卵管に癒着などが見つからない場合もあります。

その場合には、人工授精へとステップアップします。

人工授精とは?

人工授精とは、子宮内から卵子を取り出し、採取した精子と体外で受精させる方法です。

この治療法を行なうことにより、卵子や精子、更には受精卵も卵管を通過せずに妊娠を成立させることができます。

そのため卵管の機能障害の方でも、妊娠の可能性を高めることができます。

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6. 卵管の機能性障害でも妊娠できる?

片方の卵管が機能性障害の場合

そもそも卵管というのは、子宮の左右についています。

そのため、どちらか片方が卵管の機能性障害でも、もう片方が正常の場合には、自然妊娠の可能性があります。

両方の卵管が機能性障害の場合

両方の卵管に機能性障害がある場合には、残念ながら自然妊娠を望むことはできません。

そのため、卵管を必要としない体外受精に治療をステップアップさせていく必要があります。

体外受精は他の治療法に比べ高額な費用がかかる

卵管の機能性障害で治療を行なっても改善が見られない場合には、体外受精へのステップアップが必要です。

しかし、体外受精の費用は比較的高額になっており、治療を続行するためにもある程度の費用がかかります。

体外受精は保険適用外

体外受精には保険が適用されず、全て実費での治療になります。

そして、体外受精の方法にもいくつか種類が存在します。

そのため、どの方法を選ぶかで費用も変わりますが、基本的に約10~100万円程度の費用がかかります。

医師やパートナーとも相談を

体外受精と聞くと抵抗のある方も多いと思います。

卵管の機能性障害と診断された場合には、しっかりと今後の治療方針を考えていくことが大切です。

特に、妊娠を希望している場合には、体外受精なども視野に入れて考えることが必要になります。

まずは医師やパートナーと相談し、よりよい治療方針を決めていくことが大切です。

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