免疫性不妊とは?抗精子抗体ってなに?原因・症状・治療法

1. 免疫性不妊とは?

免疫性不妊とは、本来体を守る働きをするための免疫が間違った働きをし、不妊の原因となってしまう状態のことです。

この免疫性不妊の中で、一番代表的なものが抗精子抗体です。

2. 抗精子抗体とは?

抗精子抗体とは、女性の体が男性の精子を異物と認識して排除してしまう免疫異常です。

子宮頚管粘膜が正常な場合

子宮頚管とは、子宮と膣をつなぐ細い筒状の管のことです。

通常この子宮頚管は、外からの細菌の侵入を防ぐために酸性の状態に保たれています。

しかし排卵期だけは、精子が子宮まで辿り着きやすいように子宮頚管粘液を分泌して、管の中をアルカリ性に変化させます。

その結果、排卵期には精子が子宮に侵入しやすくなり、妊娠成立の手助けをしています。

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子宮頚管粘液に抗精子抗体がある場合

通常精子を子宮へ入りやすくする子宮頚管粘液ですが、粘液の中に抗精子抗体が含まれていることがあります。

粘液に抗精子抗体が含まれていると、たとえ排卵期でも女性の体が精子を異物と認識します。

その結果、精子の侵入を妨害し外へ排除してしまいます。

そのため、卵子が精子と出会うことができず妊娠を成立させることができません。

2種類の抗精子抗体

女性の抗精子抗体には、下記のような2つのパターンがあります。

  • 抗体に触れた精子が動けなくなる精子不動化抗体
  • 精子同士をくっつけて機能を失わせる精子凝集抗体

抗精子抗体は男性が持っている場合もある

まれに、精巣と血液が混じり合うことによって、男性側に抗精子抗体ができることがあります。

男性側に抗精子抗体がある場合にも、射精の段階で精子を攻撃する作用があります。

そのため、性交渉を行なっても妊娠が成立することがありません。

男性が抗精子抗体を発症する原因としては、精巣の外傷や炎症、またおたふく風邪による高熱などが原因とされています。

3. 免疫性不妊の原因と症状

免疫性不妊の原因

免疫性不妊(抗精子抗体)の原因は、いまだにはっきりとは分かっていません。

しかし、アレルギーをもともと持っている方に多い傾向があるとされています。

免疫性不妊の症状

免疫性不妊(抗精子抗体)の症状についてですが、特にこれといった自覚症状が現れることはありません。

そのため、免疫性不妊(抗精子抗体)は不妊検査で発覚することがほとんどです。

4. 免疫性不妊の検査と治療法

免疫性不妊(抗精子抗体)の検査

免疫性不妊(抗精子抗体)を調べる検査には、おもに3つの検査があります。

  • フーナーテスト
  • 血液検査
  • 精子不動化試験

フーナーテスト

フーナーテストとは、別名性交後試験、ヒューナーテストとも呼ばれています。

性交渉後の子宮頚管粘液を採取し、粘液に含まれる精子の状態を顕微鏡で確認する検査です。

この粘液の中に精子が確認できない場合には、不妊原因の1つに抗精子抗体が疑われます。

しかしフーナーテストだけでは、確実に原因を突き止めることはできません。

血液検査

女性に抗精子抗体の疑いがある場合には、血液検査によって抗体が含まれているかどうかを調べます。

血中に抗体がどれだけ含まれているかにより、今後の治療方針が決定されます。

精子不動化試験

精子不動化試験とは、精子不動化抗体の有無や抗体価の強さを調べる検査です。

女性の血液を採取し、その清血中に男性側の精子を入れて精子の動きを確認する検査です。

精子の運動率が低下した場合、精子不動化抗体が疑われます。

基本的には血液検査の結果で治療に移行する

たとえ免疫性不妊(抗精子抗体)であったとしても、基本的に精子不動化試験を行なうことはまれです。

フーナーテストの後は、女性側の血液検査や男性側の不妊検査にうつります。

その段階で抗精子抗体が見つかれば、人工授精などの治療に入ることがほとんどです。

男性側の抗精子抗体検査もある

男性側にも抗精子抗体の可能性はありますので、男性の抗精子抗体を調べる検査もあります。

男性の場合は血液ではなく、精液を採取して顕微鏡で抗体が含まれている疑いがあるかどうかを調べます。

しかし、この検査だけでは原因がはっきりと抗精子抗体であるとは断定できません。

そのため、頸管粘液通過性や受精機能などと共に検査を行なっていきます。

免疫性不妊(抗精子抗体)の治療法

現在のところ、免疫性不妊(抗精子抗体)を根本的に治療する方法は存在しません。

そのため、不妊の原因が免疫性不妊(抗精子抗体)である場合には、人工授精へとステップアップします。

人工授精とは?

人工授精とは精子を子宮内へ直接注入し、卵子と精子が出会う確率を高める方法です。

精子が子宮頚管を通る必要がないため、抗精子抗体に妨害されずに卵子と出会うことができるのです。

そのため、妊娠の確率があがります。

人工授精のおおよその流れ

  1. 生理日後より、排卵日の推測が始まります。この時期から排卵誘発剤を使うこともあります。
  2. 生理後〜排卵日前に超音波や排卵検査薬を用いて排卵日を予測します。
  3. 排卵期に入ると、24時間以内に治療が行なえるように定期的に通院します。
  4. 排卵が確認できたら、男性側が精子を採取して病院側に提出します。
  5. 洗浄した精子を、細いチューブを利用して女性の子宮内に注入します。

人工授精には複数回の通院が必要

人工授精は、1度の通院で治療ができるものではありません。

そのため、生理周期に合わせて何度も通院する必要があります。

生理不順の場合や、排卵予定日を過ぎても排卵しない場合には排卵誘発剤を利用する場合もあります。

5. 免疫性不妊でも妊娠できる?

免疫性不妊(抗精子抗体)は、精子を攻撃して妊娠の成立を妨げます。

そして、現在のところ免疫性不妊(抗精子抗体)を根本的に治療する方法は見つかっていません。

しかし、人工授精によって免疫性不妊(抗精子抗体)による不妊の原因を解決することは可能です。

人工授精は早い年齢の方が妊娠の確率が高い

人工授精と聞くと、自然妊娠ではないため抵抗のある方も多いようです。

しかし、自然妊娠にだけこだわって長い年月が経ってしまうと、それだけ妊娠の可能性を下げてしまいます。

妊娠を希望しているのになかなか授からないという方は、パートナーと相談の上、早めの診療をおすすめします。

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