
1. 先天性精管欠損はこんな病気
精巣で作られた精子は精管を通り、尿路から外に放出されます。
しかし、先天的に精管が欠損し、精子が外に放出されない症状です。
先天性精管欠損症と呼ぶこともあります。
閉塞性無精子症に分類されます。
子どもはできるの?
精巣から直接精子を取り出す手術をすることで、子どもを作ることは可能です。
精子そのものに異常がないかを含め、精液検査や血液検査もあわせておこなう必要があります。
2. 先天性精管欠損の原因
精管について
精管は精子が作られる精巣と、尿路をつなげる精子の通り道です。
睾丸を触るとわかるように精巣は2つあり、精管も同様に2つあります。
精巣で作られた精子は、精巣上体に蓄えられます。
精巣上体に蓄えられた精子は精管を通り、尿路の出口にある射精管へと流れて陰茎から放出されます。
この精管が先天的に欠損していれば、精子が作られても放出することができません。
閉塞性無精子症について
先天性精管欠損は閉塞性無精子症の一種です。
閉塞性無精子症は、精管だけでなく精巣上体や射精管が詰まり、結果的に精子が放出できない症状です。
閉塞性無精子症の原因は、先天性精管欠損のように先天的なものだけではありません。
病気や炎症などにより、後天的に精管などが詰まることもあります。
先天的なものなのか後天的なものなのか、詳しく検査する必要があります。
先天性精管欠損の確率は?
閉塞性無精子症のうち、10〜20%が先天性精管欠損といわれています。
先天性精管欠損を引き起こす原因は?
何らかの理由により精管の形成異常があります。
ほかには嚢胞性線維症と呼ばれる難病があります。
CFTRと呼ばれる遺伝子の異常により、気管支炎などと併発して先天性精管欠損を引き起こします。
とくに白人に多く見られる病気で、2,500人に1人発症するといわれています。
日本人は症例が非常に少なく、嚢胞性線維症以外の可能性が高いとされています。
精子に異常はないの?
先天性精管欠損を引き起こしている半数に、精嚢(せいのう)の欠損があるといわれています。
精嚢は、前立腺付近にある袋状の器官です。
精嚢では精嚢液を作り、精液全体の7割を占めています。
役割として、精子の運動を活発化させるエネルギーとなります。
精嚢に欠損があると、精子の量が少なくなる、質が悪くなるため、検査が必要です。
3. 先天性精管欠損の症状
先天性精管欠損は、下記の大きく2つにわかれます。
- 先天性両側精管欠損
- 先天性片側精管欠損
精巣は2つあり、本来なら精管も2つあります。
片方のみの精管欠損であれば、正常な精管側から精子が出ている可能性はあります。
しかし、精管が欠損している場合、精子そのものにも異常が考えられるため詳しく検査が必要です。
4. 先天性精管欠損の診断
先天性精管欠損のおもな診断は以下になります。
精液検査
精液の中に精子があるかを確認します。
精子がない場合、閉塞性無精子症の可能性を疑います。
血液検査
血液中の男性ホルモンなどの状態を確認します。
遺伝子や染色体検査
先天性精管欠損は、CFTRの遺伝子異常による、嚢胞性線維症を引き起こしている可能性があります。
また、男性不妊の原因として、遺伝子だけでなく染色体の異常も考えられるため、あわせて検査します。
5. 先天性精管欠損の治療法
精管が欠損している場合、精巣から直接精子を取り出す手術をおこないます。
TESEやMESAと呼ばれる手術方法で、精子を取り出します。
手術方法によっては日帰りも可能です。
どのような手術が適しているか、専門医と相談する必要があります。
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