着床障害(着床不全)とは?妊娠できる?原因・症状・治療法は?

1. 着床障害って何?

妊娠が成立するためには、受精卵が子宮内膜に着床しなければなりません。

しかし、何らかの原因で着床がうまくいかなくなる疾患があります。

これを「着床障害」と呼びます。

着床障害は、不妊治療をしている人でも中々見つからないものです。

着床障害を見つけることは難しいですが、検査によって原因が分かれば、適切な治療を受けることで妊娠できる可能性があります。

今回は、着床障害の原因や症状、治療法などについてまとめました。

2. 妊娠が成立するまでのプロセス

まずは、妊娠が成立するまでのプロセスを詳しくみていきましょう。

精子と卵子が出会う

膣内に射精された精子は、子宮頸管を通って子宮から卵管にたどり着きます。

一方、卵管では卵巣から排卵された卵子がふわふわとただよっています。

卵子と精子がタイミングよく出会うことができると、受精が完了します。

精子と卵子が受精する確率は非常に高く、排卵日付近に性交することで、80%ほどの確率で受精すると言われています。

受精卵は分裂をくり返す

受精卵は分裂をくり返しながら、卵管内を移動し、子宮内膜をめざします。

受精後2日後には細胞が4分割され、3日後には8分割と、倍々で増えていきます。

細胞分裂で分かれた細胞は、その後互いにくっつき始めて受精5日目に「胚盤胞」へと変化します。

この胚盤胞が子宮にたどり着き、子宮内膜に着床することで妊娠が成立するのです。

胚盤胞が子宮内膜に着床すると、妊娠が成立する

胚盤胞は、卵管に張り巡らされた「絨毛」の力を借りて、子宮にたどり着きます。

子宮内は、子宮内膜がふかふかの状態で受精卵の到着を待っています。

子宮内膜に受精卵が着床すると、妊娠が成立するのです。

妊娠率は約20%

受精する確率が80%と高いのに対し、妊娠率は1周期で20%程度と大変低いものです。

これは、着床率が20%だということになります。

人間は、着床しにくい動物なのです。

マカ・葉酸サプリを超えた、ピニトール配合の妊活サプリ・ベジママとは?

着床しにくい原因はさまざまある

着床に至らない原因は、約半数が「受精卵の染色体異常」です。

これは、精子か卵子どちらか、または両方に染色体異常があったということになります。

しかし、子宮内膜の状態が悪く、着床に至らないことがあります。

また、子宮筋腫や子宮の奇形などが原因で、着床しにくいこともあります。

3. 着床障害とは?

そもそも着床障害とはどのような場合をいうのでしょうか?

着床障害とは?

着床障害とは、受精はできるものの、さまざまなことが原因で受精卵が子宮内膜に着床できない状態をさします。

着床したものの長続きせずに流産してしまった場合も含めます。

この場合、流産ではなく「化学的流産」と呼ばれます。

化学的流産とは?

化学的流産とは、着床したものの受精卵が育ちきらずに流れてしまうことをいいます。

妊娠検査薬や、病院の血液検査などの化学的なことからしか分からないため、このような名称がついたのです。

化学的流産でも、陽性反応がでる?

受精卵が子宮内膜に着床する、あるいは着床しかかると、絨毛という組織から「hcg(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)」というホルモンが分泌されます。

妊娠検査薬や血液検査では、このhcgを感知して妊娠の有無を判断します。

受精卵が子宮内膜にかすっただけでも、hcgが分泌されると言われています。

体外受精をくり返して分かる

着床障害は、基本的に体外受精や顕微授精をくり返して判明します。

良質(グレードがよい)な受精卵を子宮に何回か移植しても妊娠できない場合、着床障害が疑われるのです。

初期胚よりも胚盤胞が妊娠率が高くなる

近年の体外受精では、受精卵を培養し、胚盤胞まで育ててから子宮に戻す方法が主流です。

初期胚よりも胚盤胞を移植することで、子宮内膜と受精卵の状態がより近くなり、妊娠率が高くなるのです。

胚盤胞にはグレードがあり、主に成長するスピードで評価されます。

なぜ体外受精でしか判明しないのか?

体外受精では、受精卵の質を「グレード」というランクであらわします。

ランクは5種類あり、分割スピードや細胞の状態などでランク付けされます。

体外受精では受精卵の質が目に見えて分かります。

良好な受精卵は、精子や卵子の質も良いということになります。

このため、妊娠が成立しないのは、子宮内膜側に問題があるということになるのです。

現代の医療では診断が不可能

現代の医療では、受精卵が子宮内膜に着床するメカニズムがまだ解明されていません。

このため、検査でも着床障害を事前に診断することができないのです。

着床障害の診断は、消去法でおこなわれているのが現実です。

4. 着床障害の原因は?

着床障害の原因の多くは、受精卵が着床しやすいような子宮環境が整っていないことです。

子宮内膜は、排卵後に分泌されるホルモンのはたらきにより、受精卵が着床しやすい状態へと変化します。

しかし、子宮内膜に問題があったり、ホルモンバランスの乱れなどにより、受精卵が着床できない状態になってしまうことがあるのです。

着床障害となる原因をあげていきましょう。

黄体機能不全

排卵後、卵巣からは「プロゲステロン」が大量に分泌されます。

これにより、子宮内膜の厚みが徐々に増していくことで受精卵が着床しやすくなります。

しかし、何らかの原因により、プロゲステロンの分泌が悪くなることがあります。

すると、子宮内膜が十分に厚くならず、受精卵もうまく着床することができません。

この状態を「黄体機能不全」とよびます。

手術の影響によるもの

過去に帝王切開や子宮外妊娠、盲腸、腹膜炎などで開腹手術をおこなった場合、卵管に菌が進入し、癒着を引き起こすことがあります。

ときには子宮の周りの組織に癒着がみられることがあり、着床障害の原因になることがあります。

子宮の異常、奇形

子宮の異常や奇形なども、着床障害の原因になることがあります。

子宮筋腫

子宮のあちこちに出来る良性の腫瘍です。

腫瘍のできる場所によっては着床に問題はないこともあります。

しかし、子宮内部に向かって突き出ていたり、卵管を圧迫するほど大きい腫瘍がある場合は、着床障害の原因となってしまうことがあります。

子宮内膜ポリープ

子宮内膜ポリープとは、粘膜から出来たコブのことです。

大きさや場所によっては、受精卵が着床しにくくなることがあります。

子宮内膜の癒着

クラミジアや中絶、帝王切開などが原因で、子宮内膜が癒着を起こし、受精卵の着床を邪魔してしまう場合があります。

子宮奇形

本来、子宮は洋ナシを逆さまにした形をしています。

しかし、身体がつくられる過程で異なる形になってしまうことがあります。

子宮奇形の種類は、以下のようなものがあります。

重複子宮

独立した子宮が2つあり、膣や子宮口も分かれている状態。

双角双頚子宮

子宮の中に2つの内腔があり、子宮口も2つある状態。

双角単頚子宮

子宮がハートの形で、子宮内腔がくびれている状態。

中隔子宮

子宮の形は正常だが、内腔に壁ができている状態。

弓状子宮

子宮の上の子宮底部が少し窪んでいるような形をしている。

単角子宮

子宮ができるときに左右のミュラー管が癒合して、片側が欠損した状態や痕跡だけを残した状態。

子宮が通常の大きさの半分ほどしかない場合がほとんど。

5. 着床障害の検査方法は?

着床障害の検査は、内分泌の異常や血液凝固など、あらゆる角度から検査する必要があります。

着床障害の検査ができる病院は限られているのが現状です。

着床障害の検査方法は?

さまざまな検査項目がありますが、検査自体は血液検査だけです。

しかし、多くの血液を採取する必要があるため、2日に分けて検査が行われることもあります。

着床障害の検査項目は?

着床障害の検査項目は、以下のようなものがあります。

感染症

主にクラミジア感染症の検査をします。

血液検査をすることで、クラミジアによる炎症の有無が分かります。

内分泌検査

プロゲステロン、卵巣刺激ホルモン、黄体形成ホルモン、甲状腺ホルモンなどの分泌量を調べます。

自己免疫異常

精子や受精卵を異物とみなし、免疫機能が攻撃してしまわないかが分かります。

血液凝固検査

血液がかたまりやすくなると、着床しにくくなることがあります。

子宮形態の検査

子宮奇形の有無を調べます。

夫婦染色体検査

夫婦の染色体を調べます。

できた胚を異物と認識してしまわないかが分かります。

6. 着床障害の治療法は?

着床障害の治療は、検査によって判明した原因によって治療方法が変わってきます。

黄体機能不全が原因の場合

プロゲステロンを補充する内服薬や、注射による投薬をします。

黄体機能不全の治療に用いられる薬は、以下のようなものがあります。

  • デュファストン
  • ルトラール
  • ネルフィン
  • ヒスロン
  • プロゲストン
  • プロペラ
  • プロゲデボー(注射)
  • hcg注射(高温期に入ってから1週間後に投与する)

また、クロミッドなどの排卵誘発剤が使用されることもあります。

内分泌異常の場合

卵巣刺激ホルモンや黄体形成ホルモンの分泌に異常がある場合は、効果的な排卵誘発剤を投与して治療します。

また、甲状腺ホルモンに異常がある場合は、甲状腺ホルモン剤を投与します。

血液凝固が原因の場合

血液がかたまりにくくなる薬を服用します。

場合によっては、出産まで服用することもあります。

子宮筋腫や子宮内膜ポリープが見つかった場合

着床のさまたげになる子宮筋腫や子宮内膜ポリープが見つかった場合は、基本的にそれらを取り除く手術をします。

開腹、もしくは膣から子宮鏡(子宮用の細い内視鏡)を挿入し、子宮鏡先端の電気メスを使って筋腫を取り除く手術がおこなわれます。

多くの場合は、子宮鏡を使用した切除手術がおこなわれます。

状態によっては、非ステロイド性抗炎症薬やプロゲスチンによる薬物療法が用いられる場合もあります。

子宮奇形の場合

明らかに着床のさまたげになる子宮奇形の場合は、手術がおこなわれます。

膣から子宮鏡を挿入、または開腹手術のどちらかが選択されます。

妊娠を妨げていると考えられる部位をととのえ、形成する手術がおこなわれます。

マカ・葉酸サプリを超えた、ピニトール配合の妊活サプリ・ベジママとは?

不妊治療専門の病院を
探す・口コミを見る